紙と安全
これからの環境と安全を考える
ネパール手漉き紙とその効用


「住まいの安全」は「安全な素材」から
潟eクノプラン代表取締役 1級建築士 技術士 佐藤清

建築士として活躍する傍ら、大学で教鞭を執り最新の建築技術を学生に教え、また、雨水利用の建物を建てる協力をバングラデシュで実施するなど、広い視野にたって持続的開発を考え、国際協力、特に社会的弱者の自立に向けて熱心に取り組む佐藤清代表に、ネパール手漉き紙を好んで建築に使う理由を伺いました。

ネパールの手漉き紙は、建築用途に大変良いと伺いましたが。
佐藤 ネパールの手漉き紙は、化学物質を使用してないという点で安全の代名詞です。建物設計には大変に大切なものです。私たちは、いつでも、あまりにも質の高い紙、均質性や混じり物のないものを求めていますが、その落とし穴は必ずあるものです。例えば、経典の紙は大変に質の高いことで知られていますが、和紙を作るためには、繊維を繋ぎ合わせるために糊が必要で、トロロアオイが使われます。腐りやすいので、ホルマリンを使いますが、その物質にアレルギー反応を起す人もでています。
 化学物質が入っていない安全な紙は、手に入れることが難しくなっています。必要以上の品質を要求しないことが、私たちの健康を確保するためには必要です。
 ネパールの手漉き紙がいつまでも安全で、遠い山奥の人々の生活を支え、私たちの健康にも害のない、環境に優しい社会創りに役立っていくことを心から願っています。

素材の入手先がわかっていれば、混じりがないことが確認できますね。それは、フェアトレードの考え方そのものです。ドイツでも、建築家の間でフェアトレードを意識されていると聞きましたが。
佐藤 ドイツでは、視野の広い専門家が育っています。多くの建築家が生態系を守りながら建物を如何にして作っていくかを考えています。フェアトレードへの意識、配慮もあり、進んでそのような製品も採用しています。環境を汚さないという意識は大切ですね。最近建てたシックハウスの方の家にネパール紙を使用し、良い結果を得ています。

自分たちの安全だけでなく、社会、地球規模での環境を考えていることは素晴らしいですね。

 
「安全な住まい」づくりをお手伝いします。
泣Gコ・オーガニックハウス 代表 荒川瑞代

自宅を2度建てた経験から、安全な住まいを造る難しさを実感し、自然素材健材店を始めた荒川代表に、ネパール手漉き紙の魅力を聞いてみました。

荒川 ネパールの手漉き紙の魅力は、第一に安全、第二に安価(コスト削減)です。また、手漉き紙は丈夫ですね。お客様からの要望を建築家が汲み上げて、使われるようになってきています。

貼り方や、壁紙に付けるノリなど、どうされていますか。

荒川 一般に、二重に貼る『ふくろ貼り』が多く、専門家の表具屋さんが貼ります。ワークショップを開き、自分達でも安全なノリを使って貼ることを試しています。縦横を合わせてきちんと貼るだけでなく、自由に貼りあわせて自然の美しさを演出するのは、素人にもでき一考の価値がありますね。

フェアトレードとの接点はどこにありますか。目指していることは何ですか。

荒川 可能なかぎり生産現場を訪問するようにしています。現場を訪れて、状況を知るということや、安全性を常に考えている点で、フェアトレードと共通しています。ネパールの手漉き紙を使うことによってフェアトレードに参加しているのでしょうね。心がけていることは、誰もが気軽に立ち寄れて学べる場所です。情報発信基地としても、これからも環境保全のために活躍している方々と繋がっていけたら嬉しいです。


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