盛岡料理教室 盛岡に広がる支援の輪 文:阿部好春


昨年10月25日、紅葉が真っ盛りの盛岡でネパール料理教室が行なわれました。開催をしてくださったのは、「ネパール友の会ルン」の阿部好晴さん。昨年春から、とてもパワフルにネパリの活動を応援してくださっています。ネパリからは代表の土屋春代とボランティア1名が参加し、料理説明や活動の紹介をしました。翌日は、阿部さんや「おいものせなか(花巻)」の新田さんを通じて広がった小売店を回り、思いを語り合うことで、つながりを深めることができました。

   ネパリ・バザーロとの出会い

 私がネパリを知ったのは昨年3月末に出席した司さんという友人の結婚披露宴でした。ネパリを応援していた司さんは、引き出物にネパリのカレースパイスを入れていました。そして、この私もきっとネパリの活動に共感するに違いないと思ったようで、代表の土屋春代さんを私の隣の席にしてくれていたのです。ネパリ・バザーロのことをお聞きして、なんて素晴らしい活動だろうと思ったのはもちろんですが、同時にネパールカレーに心惹かれました。ネパールカレーの美味しさは、ネパール好きの山仲間からご馳走になって知っていて、作り方を覚えたいと思っていました。司さんの活動の応援になるならばという軽い気持ちで、友人・知人にネパリを紹介するようになりました。
        
   フェアトレードに対する考え
 
 フェトレードは、毎日の生活の中で、美味しいもの、素敵なものを買うことによって、生産者の自立を支援できるというものです。環境に配慮し、作った人が幸せになり、それを買った人も幸せ、そして販売に関わる人も幸せになれます。与える援助ではなく、対等な立場で自立の支援をするという、どこにも矛盾がでない理想的な国際支援活動、経済活動だと思います。
 学生だった頃、これからどう生きていこうかと、ずっと悩んでいました。そして、何か目標を持って、それに向かっていくことが、充実感と幸せにつながるのだという結論に至りました。その後、坂本竜馬の生き方を知り、彼のように社会を変えていく生き方をしたいと思いました。卒業後の就職の際も、営利目的ではなく、ボランティア精神を持ち、社会活動や街づくりにつながる仕事を選びました。
 テレビなどで、チェルノブイリの放射能患者を救うためにポストを捨ててロシアに駆けつけた大学教授や、アフガニスタンで活躍する医師など、身をていして活動している人たちの姿を見るにつけ、自分も現地の人のためにできる具体的な方法はないだろうか、と思っていました。「若ければ青年海外協力隊として現地にいけるのに」「ODAはどうも問題がありそうだ」「いろいろな寄付はどうも違うような気がする」・・・けれど、どこかへ行って活動をしたいと思っても、みんなで作り上げてきた会社もありますし、両親もいますし・・・無力感さえ感じていました。
 そう思っている時に出会ったのがネパリ・バザーロだったのです。これなら盛岡で仕事をし、親と一緒に暮らしながら、無理せずできると思いました。
 資本主義は、いずれ行き詰まりが来るでしょう。近いうちに崩壊すると言う学者や経営コンサルタントもいます。フェアトレードのような、関わる人や環境すべてに配慮した経済活動が一つのモデルとなって、世の中が変わっていくと思います。フェアトレードはまさに21世紀の経済活動のモデルだと思います。
          
   料理教室を開いた理由
 
 披露宴でお会いした2ヵ月後、おいものせなかの10周年記念イベントで春代さんに再会し、ネパールの現状やフェアトレードの趣旨、そして、その活動にかける強い想いを聞きました。特に、活動がうまく行かない時の祈るような思い、ネパールの生産者達がネパリに寄せる期待の重圧、経営が苦しくて前に進むことも辞めることもできない辛さ・・・そうした春代さんの生の声に感動し、自分ももっと本腰をいれて応援したいと思いました。
 さっそく、秋に盛岡で春代さんのお話を聞く会を開くことにし、春代さんに依頼をすると、快く受けてもらえました。参加者には、ぜひネパールカレーを味わってもらいたいと思い、料理教室と組み合わせることにしました。参加の呼びかけも、このあと活動の輪を広げてくれそうな人を優先しました。そして、当日はフェアトレード商品を扱うお店の方、美味しい素材にこだわるレストランや食材店の方、ネパール好きの方・・・など30名もの方々が集まってくれました。
 賑やかに調理に奮闘し、美味しさに大満足した後に、春代さんからネパールの現状やネパリの活動についてお話をしていただきました。スライドや図表を交えてのお話で、ネパールに行ったことがない人も風景が浮かび、フェアトレードを知らなかった人にも活動の想いを理解してもらえたようです。 
       
       これからの活動
 
 ネパリを応援する活動を始めてみて、様々な出会いがありました。ネパールが大好きな人、ネパールを支援している人、ネパールに学校を贈る活動をしている外国人、プロとして美味しいカレー作りに取り組んでいる人、すでにフェアトレードをやっている人、社会に問題意識をもつ仲間が集える場として喫茶店を経営する人、何か社会の役に立ちたいと思っている人・・・。こうした人たちとさらに連携を取りながら、地域の多くの人たちに、ネパールの現状、ネパールカレーの美味しさ、ネパリ・バザーロの活動、フェアトレードなどを知ってもらえるよう活動を続けていきたいと思います。


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