Japan Today −フェアトレードニュース−
「フェアトレード学生ネットワーク(FTSN)」

フェアトレードが日本でも少しずつ広がり、高校生や大学生の中にも興味を持つ人が増え、文化祭でフェアトレードを取り上げるケースが増えています。大学で卒業論文の研究テーマとする人たちも徐々に増え、現地まで調査に行く人も出てきました。昨年に入り、ネットワークの動きも活発となり、フェアトレード学生ネットワークが誕生しました。

FTSNとは?
 フェアトレード活動を行っている全国の学生をつなぎ、情報交換や相互の協力を促進していくための緩やかなネットワークです。関東、関西、九州という3つの地域内でのネットワークを活動の拠点としています。今後、更に中部、東北、北海道の学生たちともつながった幅広い活動を目指しています。
 FTSN事務局長兼FTSN東京代表の内田陽子さん他10名のコアメンバーが事務局を組織し支えています。メールマガジンは、そのコアメンバーの一人、多田敦洋さんが担当。夫々に、卒論研究でフェアトレードに関わったり(南澤祐也さん、安田加世さん)、関連団体でボランティアしたり(内田陽子さん、多田敦洋さん、岡谷賢孝さん)と、今までにもフェアトレードに関わったことがある人たちです。

 今回は、FTSN事務局長の内田陽子さんに、フェアトレードにかける想いを伺ってみました。

編集部 フェアトレードに興味を抱かれたのはいつ頃ですか?

内田 大学3年生の時に、飢餓で苦しむエチオピアの大地に足を踏み入れたことが始まりです。特に印象的だったのは、ある施設のスタッフの方から飢餓の原因となる社会的構造をいろいろ伺い、その原因をなくすには「私達の側が変わらなければいけない」ことに気づかされたことです。

編集部 飢餓は、天候などの問題だけではなく、人災としての経済的構造が大きく影響しているということですね。その後、ヨーロッパ各国を1ヶ月かけて旅をしたと聞きましたが、そこで感じたことはなんでしょう?

内田 環境や南北問題の意識が大変高いということです。「無知は最大の罪である」という言葉がありますが、私達は、あまり本当のことを知らされていない、と感じました。日本が変われば世界が変わるきっかけになります。国を超えた人々が、自然、そして次世代のことも考える力も持つことができたなら、つまり、自分自身と世界がひとつと感じられるようになった時、世界は変わるんだろうな、と思います。

編集部 大国が引き起こす様々な問題は、遠くチェチェンの問題や、イラクの問題のみならず、私たちの身近な沖縄でも起きています。他人事ではないですね。そこから、フェアトレードにはどうしてつながったのですか?

内田 フェアトレードは、生産者の自立を支援するだけではなく、先進国の人々にとって南北問題の根底にある経済構造・社会構造に気づき、考えるきっかけになりうるのではないか、そこが、私のフェアトレードにこだわる理由です。

編集部 エチオピアの「飢餓の大地」がその原点ですね。

内田 それと、環境問題、女性問題、社会問題を背景とする企業の社会的責任など、様々な側面からみることができ、奥の深いテーマだと思います。この幅広いテーマのもと、多くの人とつながることによって一人ではできなかったことができるかもしれない、化学変化が起きて新しいアイデアが生まれるかもしれない。そんなことが、このFTSNによって可能になればと願っています。

編集部 21世紀は、企業も利益だけを追求することは許されず、社会的責任(CSR)を問われる時代といわれています。「飢餓の大地」に足を踏み入れた時の内田さんの想いが、今日の新しい時代のうねりと交じり合った瞬間を見たかのような新鮮さを覚えます。お集まり頂いた皆さんからも、FTSN設立に至る経緯や様々な想いを聞かせて頂きました。今後に期待します。今日はありがとうございました。


仲間募集中!活動を共にしてくれる人。気軽に事務局に連絡を。
連絡先E-mail:ftsn_info@yahoo.co.jp
ホームページ:http://ftsn.exblog.jp/

FTSN活動履歴
2004年5月  フェアトレード学生ネットワークとして発足
       フェアトレード団体へのアンケート実施
2004年6月  フェアトレードメールマガジン配信開始
2004年8月  第1回フェアトレードショップツアー実施
2004年9月 フェアトレード認知度調査協力
*ネパリ・バザーロ依頼調査
2004年10月2-3日  第1回フェアトレード学生サミット
関東・関西・九州でフェアトレードに関わる活
動を行っている学生との合同合宿
2004年10月16日 フェアトレードショップ「パッチワーク」との
共催でシンポジウム&ファッションショー開催

FTSN活動目的
フェアトレードに関わる活動をする個人・組織と、フェアトレードに関心のある人々の輪を、情報交換を通じてつなぎ、広げていくこと。
活動内容
@フェアトレードショップとの共催によるイベントの開催
 (シンポジウムやファッションショー等)
A隔週のメールマガジンによる情報の発信
Bフェアトレード団体との共同調査
Cフェアトレードショップツアー
その他、活動の情報交換、活動についての討議を行うため、年に1回程度の全国規模での合宿も予定されている。又、研究に資する情報の蓄積、利用を目的としたリソースバンクの運営やフェアトレードを実際に扱っている学生の商品を他の学生が委託販売できる販売網の確立も考えている。


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