新潟でのお話会と新潟のお店紹介
文:土屋春代

2005年2月27日、「第7回NGOカレッジ―買い物次第で地球も変わる」と題し、「with・・・若き女性美術作家の生涯」の上映会とフェアトレードのお話会をしたいとの要請があり、上越市に出向きました。主催団体の「にいがたNGOネットワーク」事務局メンバーの丸田祥子さんが司会をしてくださいました。「ナルニア」というフェアトレードショップを経営される丸田さんと久し振りの再会でした。昨年、同様のイベントを企画されつつ実現できなかった「サバーイ」の萩原さん達の思いが今回のイベント実現に結びついたことを知り、新潟のお店同士のつながりを感じ、うれしさに胸が熱くなりました。



今回のイベントの開催経緯について
丸田さんからメッセージを頂きました。

新潟には国際交流、支援活動を行っている市民団体が200近くあります。これらの団体は世界中の人々と連絡を取り合い、様々な国際協力活動を展開しています。これらのグループ同士で情報を交換したり、支えあったりするのが目的で3年前に「にいがたNGOネットワーク」が発足しました。始めは団体間の交流や意見交換が活動の中心でしたが、他の団体の活動をもっと勉強したいという声を反映してNGOカレッジを不定期で行っています。カレッジの内容は学びたい事を会員の意見などを聞きながら決定していきます。今回はフェアトレードを取り上げました。理由は、これが社会的理念をもった経済活動である点です。経済活動において環境や社会生活に対する配慮がなされていれば、現在問われている地球環境問題も防ぐことが可能と考えます。フェアトレードは南北問題の壁を超えた貿易スタイルであり、環境や人に優しい経済活動だと思います。それだけにこのカレッジを通してフェアトレード商品の付加価値を多くの人に知ってもらいたいと思いました。

2年越しでこのイベントを実現した
フェアトレードショップ「サバーイ」の
萩原壮一さんにその情熱溢れるメッセージを頂きました。

 無事に終わりました、にいがたNGOネットワーク(以下Nネット)の出前講座「NGOカレッジ」。今回はサバーイのある上越市内での開催ということで、Nネットには加盟していないのに(ごめんね)、真っ先に声を掛けていただいた。内容は「with…若き女性美術作家の生涯」上映会とわれらがネパリ代表春代さんの講演会。この企画が日の目を見ることができ正直うれしい。
 そもそも1年前、地元国際交流協会の求めに応じ、同じ企画を提案した。が、諸般の事情でお蔵入り。先走った準備がきっちり水の泡となり、講師をお願いした春代さんにも少なからず迷惑をかけてしまった。そんな時に降ってわいた今回のオファー。時間も半年間ある。もちろん快諾、リターンマッチのつもりで準備を進めたのだった。
 2004年10月23日夕、新潟県中越地震が発生し、1週間前の水害と合わせて県内もNネットも大混乱。しかし、年が明けるとやや落ち着き、そしていよいよ我々の本番だ。80人は入る会場だが入場者はなんと35人。Nネット理事によれば「上々ですよ」。でも、やっぱり「ちょっと寂しい」。しかし、「with…」の感想は上々。閉会後の座談会では「フェアトレード初めて」組の発言が積極的だったのもうれしかった。春代さんはいつまでも離してもらえないほどの人気ぶりで、やや強引に引き離し、打ち上げに急いだのだ。
 遠方からのはるばる組や新しい理解者の登場に勇気をもらえた講演会。満杯の会場での春代さん再登場と、打ち上げ1軒貸し切りを誓った雪国の夜空に、久しぶりに星が見えた。きれいだった。


グローバルワールド ナルニア

代表:丸田祥子
〒950-0075
新潟県新潟市沼垂東4-7-5
Tel:025-248-5664
Fax:025-244-0968

 グローバルワールド「ナルニア」はJR新潟駅から徒歩20分。昔なつかしい下町の商店街の一角にあります。店名は、英国童話「ナルニア国物語」に因んだものですが、同時に何処にも属さない平和な国をイメージして名づけました。音楽CD店の店舗の半分に展開しているので、演歌が鳴り響いている店内に様々な国で作られたフェアトレードの衣類、雑貨、食品が並んでいたりと、ちょっと不思議な空間を作り出しています。「にいがたNGOネットワーク」の事務局にもなっています。

サバーイ
店長:宮崎聡子
〒942-0004
新潟県上越市西本町3-8-8 
直江津SCエルマール2F
Tel&Fax:025-539-5327

 4年前に古民家を改装し、フェアトレードショップとしてオープンした「sabaay」。もっとたくさんの人にフェアトレードを知ってもらいたいという想いで2年前に地元のショッピングセンターに移転しました。ネパリ・バザーロのロクタの手漉き紙を壁に張った通路。そこに並べられた、フェアトレードの衣服や雑貨・エコグッズたち。奥には、角材を作る際に出る端材を使い、スタッフと有志で手づくりしたログハウス調のサロンスペース。きれいなショッピングセンターの中では異空間な隠れ家的お店です。サロンではお客さん同士がおしゃべりを楽しんだり、ヘンプ編みやろうけつ染めのワークショップや、布ナプキンの勉強会を開いたり、たくさんの人たちの交流とわくわく体験の場になっています。ほかにも定例で海岸清掃をしたり持ち寄りでお花見をしたり、のんびり、心と体と自然環境に気持ちのいい暮らしを提案しています。


「With・・・」 ネパールで活動した日本の若き女性のドキュメンタリー映画

 言葉も知らない、資金もない、知人もほとんどいない。頼れるのは、自分の美術の才能だけという主人公の佐野由美さん。大学卒業と同時にネパールに渡り、貧困地区の小学校でボランティアの美術教師になります。彼女は、あの阪神大震災で神戸の自宅が全壊し、ガレキの中から命拾いしていました。そして、多くの人々から支えられた経験が、彼女を変えたのです。---私は望んで、ここまで来た。私はここで探すものがある--- 美術作家であることを「世の中での自分の使命にしたかった」と志した彼女が、貧困下で生きる人々と日々ふれ合うことで、社会の矛盾に悩み苦しみながらも成長していきます。
   
 「W@th・・・」、ネパールで活動した日本の若き女性のドキュメンタリー映画とは、2002年2月6日に講演をお受けしたことから、出会いが始まりました。一人でネパールに渡り、美術を通してネパールの下町に住む貧困層の人々と向き合い、日々の暮らしの改善に何か手に技術を付けてほしいと折り紙の指導を始めました。それは、仕事創りを考えるフェアトレードのコンセプトと同じです。仕事をして生活の糧を安定させること、と気づいた主人公の佐野由美さんの想いは、とても深く共感でき、多くの方に鑑賞して欲しい作品です。
「広い深い意味で、心が洗われる映画でした」「感激しました。由美さんの生き方、ご両親の愛情、ネパールの人達、子どもたちとの交流。そして、由美さんの力強く素晴らしい色使いの沢山の作品に」「とてもとても感激しました。私も子どもを育てておりますが、自分に重ねて沢山のことを感じました」「本は読んでいたのですが、動いて話をする由美さんに会えて良かったです。彼女の素直な言葉や考え方に再び学ばさせてもらいました」
   
 「この映画の主人公、佐野由美さんの美術は、世界の現実を自分の目で見て、それを誰もがわかる形でキャンバスに投影する…というものでした。23歳の若さで見聞きする世界は、普通広くはありません。だからこそ彼女はあえて見知らぬ土地に住みつき、現実の苦味を吸収し、人間の普遍的な心理を求めたのです。その「現実」を追求する彼女を描く私もまた、今回、「現実」と向き合うことを迫られました。事の成り行きは明かせませんが、すべてはカメラの向こう側で起きた事実です。それを劇映画のように「どこかの出来事」として眺めるのではなく、同じ時代を生きる当事者の一人として受け止めていただければと思います。その意識が集まれば、いつか世界を変える力になるはずです。映画を見終わった時、皆さんの心に「何か」が生まれることを願ってやみません。「W @th・・・」。その「・・・」に、あなたならどんな気持ちを書き入れますか?」 監督 榛棄健 (しば・たけし)


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