ネパールのスパイスおいしさの秘密



なぜスパイス?

 ネパールの食卓には欠かせないスパイス。市場に行くと、赤や黄色のたくさんの種類のスパイスが、大自然で育った元気な野菜と一緒にあちこちで売られています。新鮮なスパイスの香りが、食欲を刺激します。美味しいうえに私達の体調を整えてくれる働きもあるスパイス。実は、他にも秘密があります。
 ネパリ・バザーロのスパイスは、町から遠くて生活が厳しい、しかし自然が豊富な地域で栽培されています。そのスパイスは、作っている人にとっても、食べる人にとっても安全で、現地の収入向上に役立っています。ネパール東部のフィディム、西部のグルミ、アルガカンチの村々が中心で、紅茶、コーヒーで身につけた技術を柱に、更に多くの人々に役立てようとしています。スパイスは再生産植物(NTFP*)の一種で、畑や荒地でも栽培でき、成長も早いため、環境にやさしい植物です。広大な土地を持たない小さな生産者にとって、スパイスは貴重な収入源になろうとしています。

どうやって届くの?

 村で収穫されたスパイスは、カトマンズにあるスパイシー・ホーム・スパイシーズ(SHS)という工房に運ばれます。そこでは、厳しい経済状態にある女性達がスパイスを粉末にし、新鮮なうちに一つひとつ個袋にパッキングをして、日本に出荷しています。日本に到着後、近隣の福祉作業所で箱詰めを行い、製品の完成です。

SHSではどんな女性が働いているの?

 SHSは、シターラ・ラジバンダリさんが女性の仕事創りを目指して立ち上げたのが始まりです。最初は自信がなく、穴の開いた洋服を着て、うつむいてばかりいた女性達が、仕事を得たことによって自信をつけ、街を堂々と歩いている姿を見るとシターラさんはとても嬉しいそうです。
「ネパールは、未だに女の子が生まれるとがっかりしてしまうような社会です。しかし、これからはきっと女の人が稼ぐ時代になります。もっとたくさんの仕事を必要としている女性達に、仕事を創っていきたいです」と、シターラさんは熱く想いを語ってくれました。
 
 私達が美味しく安全なスパイス料理を食べることが、遠隔地に住む立場の弱い生産者の自立に役立っているなんて、何て嬉しいことでしょう。スパイスの新鮮な香りが、私達を明るい未来に導いてくれているようです。

(*)Non Timber Forest Product

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