WORLD TODAY フェアトレードニュース
IFAT前事務局長 キャロル・ウィルズさんインタビュー
 
2年に1度開かれる国際フェアトレード連盟IFAT国際会議が、2005年5月にエクアドルの首都キトーで開催されました。会議に参加した、ネパールの生産者団体「マヌシ」代表のパドマサナ・サキャさんにお願いして、「女性の自立」を中心にキャロル・ウィルズさんにインタビューをして頂きました。インタビュアーのパドマサナさんは、北京世界女性会議でワークショップを開いたほど女性の自立に熱心。インタビューを受けるキャロルさんも、その願いが強く、2時間を越えるインタビューとなりました。

パドマサナ:IFATはどのような組織ですか?
キャロル:IFATは、非営利、自発的で会費運営による組織で、社会から取り残された生産者や労働者の暮らしを改善しようとしています。経済的に恵まれない生産者を、地域に根ざす組織を通じて援助開発し、貿易を通して自立できる機会を創り出す、ということです。

パドマサナ:IFATでどのくらい働いたのですか?
キャロル:1989年からIFATに関わりました。そして、1997年から2005年まで専務取締役として働きました。今回のキトー会議では、名誉会員として表彰され、大変光栄に感じています。IFATがいつまでもフェアトレードの牽引役としてあり続けることを望んでいます。

パドマサナ:IFATにおける女性の地位はどうですか?
キャロル:IFATでは、女性の地位は高いです。IFATは、女性の権利を強調していますしね。IFAT基準は、平等、非差別と、女性が技術を習得する機会を与えて女性を開発することに基づいていますから。女性に関することは、フェアトレードの啓発プログラムの中にも含まれています。IFATは、女性達のハンディクラフト製品と食品を市場に出すことによって、正に直接的に女性達を援助しています。
パドマサナ:それは、私達はフェアトレードという理念を通じて女性を力づけることができるということですか?
キャロル:そうです。フェアトレードという理念が、女性達の公的な権限を向上させることができるということです。性の上の平等は、IFATの基本的な標準の一つです。
フェアトレード組織は、必要とする女性と男性に技術習得の機会を与え、仕事のない女性が新しいことに挑戦できる機会も創り出しています。たとえば、雇用されている女性は、リーダーシップのトレーニングを受け、リーダーシップをとる役割を与えられるなどです。女性は、意思決定の段階でも、その役割が期待されています。

パドマサナ:人間性のための女性のグローバル憲章(注)をどう思われますか?
キャロル:私達を取り巻く社会は根強い性差別が渦巻いています。だから、グローバル憲章が必要とされています。なぜなら、男性は、世界の中ではより大きな力を持っているからです。でも、私達は、その差別を最小限にすることができるかもしれません。IFATのフェアトレード基準も性の平等をうたい、機能しています。IFATメンバーである私達の使命、目指しているゴールは、取引を通してフェアトレード組織がビジネスとして発展することです。それは、貧困を軽減し、女性に公的な権限を与えることになるからです。

パドマサナ:どのようにしたら、日本の女性グループの間にもフェアトレードという考えを広めることができると思いますか?
キャロル:日本では女性がフェアトレード組織の重要な担い手です。フェアトレード組織の一つであるネパリ・バザーロは、日本でフェアトレード活動を広める重要な役割を担っています。そのため、マーケットの需要を調べ、それに適ったデザインや品質の商品開発を行ったり、現地を何度も訪れ、生産者との信頼関係を築き上げ、彼らのニーズに即した先駆的な仕事を行ったりしていますね。そして、その中でも特に女性の仕事創りに力を入れています。また、世界フェアトレード・デイのイベントを始めとして、フェアトレードを知ってもらうためのセミナーを開催するなど、頑張っていると思います。

パドマサナ:将来の活動に関して、何か、ネパリ・バザーロに提案はありますか?
キャロル:ネパリ・バザーロが、社会から取り残された生産者や農民達と協力していることを大変嬉しく思います。ネパールの生産者、特に女性達を支援されていますね。また、日本内外でフェアトレードの活動を広めています。そんなネパリ・バザーロへの私からの要望は、今後ますます日本の消費者にフェアトレードを知ってもらい、その基盤を創ってほしいということです。また、IFATに所属するメンバーやフェアトレードに賛同した様々なグループと共に協力して、フェアトレード商品の販売を促進することを願っています。そして、生産者が自分達の力で生活を向上させ、発展していけるよう、走り続けてほしいです。
パドマサナ:最後に、IFATの将来について話してもらえますか?
キャロル:IFATは、強い将来の展望を持っています。それは、フェアトレードの理念とフェアトレード基準遵守の強いコミットメント(約束)です。それをメンバー間で維持していくことで、社会の強い信頼を得て貧困の様々な課題改善に挑戦していきます。市場調査、製品開発、キャンペーンなど、情報交換と協力は、市場を刺激し促進することに繋がります。社会から取り残された生産者と労働者の暮らしを改善するために、これからも挑戦していきます。

(注)貧困と暴力に反対する2000年世界女性行進(WMW)から5年後、2005年の3月8日世界女性の日に、WMWは、人間性のための女性のグローバル憲章をブラジルで公式に発足させた。WMWは、グローバル・ジャスティス運動が「もう一つの世界は可能だ」というスローガンのもと、提起した諸問題に部分的に回答していく中から発展させグローバル憲章を作ってきた。

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