朋ボランティアグループ主催 自主製品 福祉ショップ研究セミナー
「フェアトレードとのコラボレーション」

2005年9月17日(土)フォーラム横浜にて
コーディネーター
「手作り品の店・朋」遠藤礼二・斉田聖子

パネリスト
NPO法人 FHCYアジア障害者パートナーズ 代表 小俣典之
福祉施設 みやこ授産所 岐阜市福祉ショップ「WA!」 担当職員 松原久美
フェアトレード団体 コンシャスコンシューマー 代表 早苗康子
フェアトレード団体 ネパリ・バザーロ 副代表 丑久保完二



鎌倉にある「手作り品の店・朋」は、各地で作られる障害者の製品を販売するお店です。遠藤さんを代表に結成された朋ボランティアグループが運営しています。様々な形での支援を目指し、フェアトレード(以下FT)商品も販売しています。
 国内の障害者福祉施設・地域作業所とFT団体との連携は、最近、新たな試みとして模索され、少しずつ実を結んできています。朋は、各地の福祉ショップにFT商品を委託販売するだけでなく、地域作業所での活動とFT団体との連携を様々に提案し成果を上げています。
 今回のセミナーは、商品開発や店舗経営に試行錯誤する各地の福祉施設を対象として開かれました。「フェアトレード」とは何か、今行われている活動とは・・・、そこから自分達の活動を考える機会になるのではと、地域作業所との連携を実践しているFT団体や施設の職員を招き、今の活動の様子を紹介し、今後の展開について話し合いました。
 NPO法人FHCYアジア障害者パートナーズの小俣さんからは、南タイを中心とした活動の様子が語られました。1987年にタイ障害児絵画展から始まった活動は、現地スタッフや障害当事者の人材育成、就労支援、地域の育成に発展しました。就学の機会もなく自立の可能性を狭められてきた障害者が、ココナッツ加工や染めの工房を立ち上げ始め、FHCYが製品開発と販売を支援しています。
 コンシャスコンシューマーの早苗さんは、北インドの村で代々作られているビーズをFT商品として輸入しています。立場の弱いビーズ職人は安値で買い叩かれてきましたが、現地のNGOの支援により、収入が安定し、利益は教育や植林にも還元されています。ビーズは、これまでバラでFTショップで販売されてきましたが、朋のアドバイスを受け福祉作業所でネックレスや携帯ストラップなどに製品化されるようになりました。
 岐阜市社会福祉事業団「みやこ授産所」が運営する岐阜市福祉ショップ「WA!」の担当職員、松原さんからはショップでのFTとのコラボレーションが語られました。商店街の空き店舗を利用して始めた福祉ショップでFT商品も販売しています。始めは売り上げのうちFT商品の占める割合が多かったのですが、最近は作業所製品も売り上げが伸び、よい効果をもたらしているとのことでした。
 ネパリ・バザーロの丑久保は、紅茶クッキーなど福祉作業所との合作で製品化に広がりができたこと、ネパールでもFTの生産団体が障害者の雇用機会を提供していること、FTは環境、ジェンダー、福祉、人権など多くの問題と関わっていることを報告しました。ネパリ・バザーロと作業所との関わりは、ヘナの袋詰めから始まりました。納品などで行き来を繰り返すうちに、作業所の人が商品の売れ行きを心配してくれます。自分の仕事が海外の人のためになっていること、日本各地で購入されていることが、社会参加の実感となり、モチベーションを高めているのです。
 ネパリ・バザーロの紅茶を使ったクッキーを作っている「かたくりの里」の小笠原さんからも現場の様子が報告されました。スタートは4年前。もともとクッキーは作っていましたが、ネパリから依頼があり、初めての紅茶クッキーに挑戦。材料にもこだわり、3種類のクッキーが毎週各300袋出荷されています。作業所の販売ルートには限界があり、ネパリの流通に乗れたことで仕事が安定し、収入もアップしました。クッキー作りはデリケートで、今も皆で話し合いながら作っています。
 FTとのコラボレーションは、作業所で働く障害者にとって、仕事の意味が実感でき、関心が広がる機会となります。今後もFTのような異業種との関わりを広げていくことで、障害者の生き方も広がっていくことでしょう。

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