WORLD TODAY ネパールのフェアトレード


生産者を支えるマーケティング団体と働く女性たち

 ネパリ・バザーロは、ネパールの中でも私たちを最も必要としている、小さな生産者とお付き合いをしています。個人で製品を作っている方や小さな工房など、その形態は様々です。私たちは頻繁に現地を訪れ、生産者と直接話をし、ゆっくりゆっくり信頼関係を築いていきます。ほとんどの生産者と直接やりとりをしていますが、中にはあまりにも遠方のため足を運ぶことが難しい生産者もいます。そんな生産者と私たちの間をつないでくれているフェアトレード団体があります。ここでは、その中の2つの団体と、そこで働く2人の女性をご紹介します。


サナ・ハスタカラ
マンジュシュリー・カルジーさん

 サナ・ハスタカラは、個人や数人規模で製品を作っている小さな生産者団体を100以上抱え、マーケティングや輸出業務を行い、生産者と私たちをつないでくれているNGO団体です。そこで輸出担当として働いているのが、マンジュシュリーさんです。彼女は仕事を始めてまだ2年ほどですが、誠実で丁寧な仕事ぶりに、安心して一緒に仕事をすることができます。
 彼女はもともと、大学教授も務めるサナの実行最高責任者、チャンドラ・カチパティさんから経営を学んでいました。チャンドラさんから多くのことを学ぶ中で、大好きなハンディクラフトに関わりながら、地域貢献のために働きたいと思ったマンジュシュリーさんは、厳しい面接に見事合格し、今の仕事に就くことができました。
 主な仕事は、生産者を訪問し、オーダーを出したり、商品のフィードバックをしたり、生活の状況を聞いたりすることです。私たちを生産者のところに案内してくれることもよくあります。遠方の生産者の中には電話がないところも多く、連絡を取るのに数日かかることも珍しくありません。そんな生産者と海外のバイヤーの橋渡しをするのは大変な時もありますが、生産者の笑顔を見ると、本当にこの仕事をやって良かったと思うそうです。
 さらに早朝には、ボランティアで40人程の学生にビジネスを教えているマンジュシュリーさん。フェアトレードのことをもっと学びたいと意欲を燃やす彼女です。

WEANコープ
カラワティ・ライさん
 小柄な身体にサリーをまとい、いつも私たちを笑顔で迎えてくれる、WEANコープのマネージャー、カラワティさん。私たちが事務所に行くと、事務局長のタマナ・ハマルさんと一緒に新しい商品を次から次に紹介してくれます。WEANコープとは、ネパール人の女性起業家9名が、女性たちの事業設立や成長を助けるために始めた女性起業家協会WEANの姉妹組織で、女性生産者の協同組合です。生活が厳しい女性たちや小さな生産者団体に仕事を紹介し、私たちとの間の橋渡しをしてくれています。また、起業以上に事業を継続することが難しい状況の中、融資制度を最近作り、女性たちが低利子で運営資金や投資金を借りやすくなるようなシステムを作りました。
 カラワティさんは、WEANコープで一番古くから働いているスタッフです。12年の間に、ネパールの多くの女性の起業を助けてきました。スパイシー・ホーム・スパイシーズのシターラさん、コットンクラフトのサラダさん、紙布の草木染めと縫製を担当しているサルミラさんもその一人です。最初はおどおどしていた彼女たちが、起業をし、事業がうまくいくに従い自信を得て、みるみるうちに美しく生まれ変わっていったそうです。
 生産者にも慕われ、ネパールの女性の自立を陰ながら支えてきたカラワティさん。これからも一人でも多くの女性が自立して、いきいきと輝く手助けをしたいと、熱く想いを語ってくれました。

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