IFAT自己評価会議

  ネパリ・バザーロが加盟する「国際フェアトレード連盟IFAT」では、加盟している各フェアトレード組織が自らの活動を見直し、「フェアトレード基準」(P.110参照)に沿って活動しているかどうか、自らの目標を達成できているかどうかなどを検証する自己評価会議を、2年に一度実施し、報告することとしています。
 2006年7月、代表の土屋春代をはじめ、スタッフ、外部の方、総勢13名で第3回目の自己評価会議を実施しました。フェアトレード基準についての確認、ネパリ・バザーロと母体となるNGOベルダレルネーヨの組織についての説明、2005年度の経営状況・活動報告を行いました。さらにゲストとしてお招きした長坂寿久さんより欧州のフェアトレードの動きについてもお話を伺いました。そして参加者一人ひとりから活動について感じていることや疑問など、自由に意見を出し合い、日頃の活動を振り返り、評価を行いました。
 ネパリ・バザーロは1992年に活動をはじめて2007年8月で16年目に入ります。今後も現地の生産者と共に、自分たちの規模にあった形で、しっかりと着実に活動を行っていくため定期的に自己評価会議を実施し、厳しい検証を行ってまいります。


お話:拓殖大学国際開発学部教授 長坂寿久
文責:編集部

EU(欧州議会)の
フェアトレード推進決議と今後の政策

 アジアでも、お隣の韓国や台湾へ広がりをみせるなど、時代の流れは、着実にフェアトレードへ近づいてきています。IFAT自己評価会議で長坂さんにお話頂いた内容とご提供頂いた資料を基に、今回は欧州の動きをお伝えします。誌面の都合で、欧州議会のフェアトレード推進決議に限定していますが、お話は、欧州議会フェアトレード2005報告書、ネスレなど大企業の関わりにも及びました。(編集部)

T EUのフェアトレード決議とその背景

 2006年7月6日、EU議会は「フェアトレードと開発」決議を絶対的多数で採択しました。これはEUとして今後フェアトレードを本格的に促進していくことを決議したもので、背景には消費者の認知度向上により、フェアトレード市場が欧州で急速に成長している状況があります。欧州のフェアトレード市場は2001年からの5年間に年率20%というきわめて高い成長をみせ、世界フェアトレード市場の60〜70%を占めています。本決議は、フェアトレード団体・生産者・小売店・消費者への支援を尚一層促進していこうとするためのものですが、フェアトレードへの直接的恩恵のみならず、貿易を監視する活動も対象としています。
 フェアトレードは、「貧困削減と持続可能な開発」を効果的にもたらし、2000年の国連ミレニアム会議において世界の首脳が約束した「2015年までに貧困を半減させる」という目標を実現する有力な手段と見なされています。さらに、フェアトレードは途上国産品の欧州市場への安定的かつ持続的アクセスを保証し、EUの社会的・環境的基準を引き上げるのに貢献しています。また、フェアトレードの登場で、多国籍企業による価格や輸送の独占を打破する助けになり、南北問題への認識を高める重要な役割も果たしています。政府がフェアトレードを支援することは、WTO加盟国間の差別的な取扱いを排除することにつながることを意味しています。

U EUのフェアトレード政策

 EUとしての具体的なフェアトレード政策は、今後貿易委員会の中で本格的に検討・策定し、提案していくことになっています。具体的政策措置として考えられるものは、フェアトレードが持続可能な貿易モデルであり、均衡ある南北貿易を可能にするものであることの調査研究、そしてその影響に関する調査、フェアトレード商品のVAT(付加価値税)の引き下げ、輸入関税の撤廃、EU公共機関での「フェアトレード調達」のガイドラインの策定。支援政策としては、エンパワーメント・プログラム、生産者への前払い金融、ローカル市場でのフェアトレード商品の流通支援、女性地位向上支援強化、広報キャンペーン、フェアトレードショップへの具体的支援、フェアトレード団体の活動促進支援策等があります。また、EU関係機関は自ら積極的にフェアトレード商品を使用するなど具体的な支援策も考えています。その他、EUのCSR(企業の社会的責任)政策の中に、企業がフェアトレード団体と提携したり、フェアトレードのメリットについて消費者へ伝えていくと評価が上がる仕組みも取り入れようとしています。      




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