紙からできた布の服。

ネパールのロクタから作る純度の高い手漉き紙、ロクタ紙の販路を広げ、人々に仕事の機会を創るため、その紙から紙布を織り、服に仕立てようと始めた「紙布プロジェクト」。昔日本でも、極貧に苦しんだ農民たちが、貰い受けた反故紙から布を織り、野良着に仕立て、寒さから身を守っていたそうです。
 細く切った紙に、強い撚りをかけて紡ぐのは気の遠くなるような作業です。しかし、ヤングワオ代表のウシャさんを始め、働く女性たち自身が工夫と努力を重ね、2006年春、ついに紙布の服が誕生しました。その後も、質の向上に向けて惜しみない努力を続けました。紙の漉き方も研究を重ね、より軽くて薄い紙を漉くことにも成功しました。様々な方向を向きながら絡まり合った、ロクタの繊維からなる紙布は、細い糸の中に空気をたくさん含み、私たちの身体を暑さや寒さから守ってくれます。その上ふわりと軽く、肩もこりません。

紙の布ができるまで
たくさんの人の手を経て、想いが織り込まれた紙布の服。紙の布が織り上がるまでの、長い長い道のりをご紹介いたします。

その一、収穫して乾かす

収穫したロクタを届けに来た村の女性。奥地の山から運んで来ます。


その二、硬いロクタの繊維

やわらかいロクタ紙からは想像できないくらい硬いロクタの樹皮。


その三、ロクタを煮る

長時間煮てロクタをやわらかくした後、石板の上で木槌を使って叩き、細かいパルプ状にします。


その四、紙を漉く
一枚一枚、手作業で紙を漉き、天日で干します。天気が良いときは、3時間程で乾きます。


その五、紙を裁断する

漉き上がった紙を細く切って、
一本の長いテープ状にします。


その六、紙糸を紡ぐ

少し湿り気を持たせ、強く撚りをかけながら、するすると紡いでいきます。
大変根気のいる作業です。


その七、紙布を織る

紙糸は、綿にくらべてひっかかったり、切れたりしやすいので、ゆっくりゆっくり慎重に織っていきます。多くの人の力が合わさり、ようやく紙布が織り上がります。


ユニセックスの半袖シャツを作りました。襟がついているので、改まった席にも着ていただけます。落ち着いた色合いのチャコールグレーとブラウンは、草木で染めた深みのある色合いです。水牛の角のボタンがついています。



YOUNG WOW CRAFT

ネパリ・バザーロが2001年に構想を思い立ち、ネパールで本格的に紙布プロジェクトを始めた2003年春、パートナーには当時WEANコープ事務局長だったウシャ・ゴンガルさんを選びました。ウシャさんは「ヤングワオ」という組織を2005年9月に起ち上げ、未知の世界である紙布にすべてをかけて取り組みました。紙から糸を紡ぐのは大変な仕事にもかかわらず、女性たちはいきいきと仕事をしています。


サルミラさん

妹と2人で小さな工房を営むサルミラさんは、布を草木で染めるところから自分で行い、一着一着パターンを当てて裁断し、服に仕立てています。日本で研修を受けたサルミラさんの仕事ぶりはとても丁寧です。



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