所長:多芸正之
〒612-8089
京都府京都市伏見区銀座町1丁目360
Tel:075-612-0364
Open:11:00〜17:00 定休:日、月、木曜
megumiho@hera.eonet.ne.jp
場所は近鉄伏見桃山駅の駅前商店街。入って直ぐの横道を右に曲がると看板が見えます。便利な場所で広い空間。さぞ家賃が高いだろうと思っていたら、ホーム所長の多芸正之さんの実家だったと伺い納得しました。20年近く前、障がいのある人の居場所づくりとして、多芸さんはホームを建設しました。障がいの有無や違いによって人を分けたくない、誰でも集えるようにしようと云う想いは行政の施策からはみだし、自己資金で運営せざるを得ませんでした。資金を集める目的もあり、様々な福祉作業所の製品を販売する店をも兼ねるようになりました。ところが却って持ち出しになるばかりで販売の難しさを痛感。当初から関わるスタッフの廣野智子さんは作る人に惜しみない協力をしながらも、商品として優れたものでなければ売れないことを知って欲しいと、時には厳しいアドバイスもされました。その甲斐あって「さをり織り」のおしゃれな服がたくさん生まれ、売れ行きも好調でした。更に、障がいを乗り越えて一心に織る姿に、服を作った後に残る布も、どんな小さな端切れも、端糸も捨てられないと言う施設職員の言葉に、溜めてあった布片を預かり小物を作って販売もしました。作品にめぐみホームの気持ちも添えたいと、ラッピングやのし書にも心を込めました。
ところがここ数年、福祉制度が変わり、補助額が減り運営が厳しくなった施設は職員を減らし、作業内容を見直し「さをり織り」を止めてしまいました。多くの人に喜ばれ、お店の顔にもなっていた個性的でおしゃれな服が姿を消し、多芸さんも廣野さんも悔しく淋しい想いで店の閉鎖も考えました。人に喜ばれることで仕事に誇りを感じ、生きがいにもなっていた障がい者の皆さんの落胆も大きいものでした。そんな時、横浜に住む娘さんを訪ねた廣野さんは、偶然ネパリ・バザーロを知り、その服や商品、活動に共感しました。障がい者への想いがネパリの生産者や活動と重なりました。「これだ!」廣野さんは興奮しながら、多芸さんに電話でネパリとの出会いを伝えたそうです。
伺ったお店はネパリの服が野の草花と共に美しく飾られ、優しく癒される素敵な空間でした。作った人と使う人をつなぐ熱い想いに深く共感し、いつか「さをり」の商品がここに復活する日を一緒に待ちたいと強く思いました。
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