ネパールデイ2007 公開セミナー
環境から国際協力へ
「私たちにできること、国際協力フェアトレード」


 2007年10月21日、地球市民かながわプラザでネパール・デイを開催しました。(財)かながわ国際交流財団と(社)日本ネパール協会との共催で、スタンプラリー、写真展、パンチャ・ラマさんの演奏会、おしゃべりワールド、サリーの着付けなど開催し、レストラン「メルヘン」ではネパールカレーも用意されて館内はネパール一色。

 ネパリ・バザーロ(以下ネパリ)は「With・・・若き女性美術作家の生涯」の上映、ネパリの服のファッションショー、講演「教育現場から見えるもの:体験から実践へ」などを企画し、120名を越える参加者で会場は満席になりました。
 「With・・・若き女性美術作家の生涯」は、阪神大震災を経験した佐野由美さんがネパールの小学校で美術教師として働く中で、貧困の厳しさや社会の理不尽さを目の当たりにし、何を感じ、どう行動したかを綴ったドキュメンタリーです。若い由美さんが現実を真正面から受け止める姿に、終了時、会場からは自然と拍手が沸きました。

 ネパリの新作ファッションショーを楽しんでいただいた後の講演の始めに、ネパールから研修に来ている生産者お二人を紹介しました。生産団体の中でも高い品質の服作りをしているコットンクラフト(87頁参照)でマネジメントをしているギタ・ラジカルニカルさんと、ミランガーメント(48頁参照)で縫製の仕事をしているロミ・トゥラダールさんが挨拶をしました。1年ほど前に結婚したばかりのロミさんは、家族全員分の家事をこなし、日中はミランで働き、水不足の今は深夜に起き出して翌日1日分の水汲みもしているという働く女性の厳しさも教えてくれました。

 「教育現場から見えるもの:体験から実践へ」と題した講演では、ネパリの活動に協力いただいている新垣誠さん(沖縄キリスト教学院大学准教授)と丑久保完二(ネパリ副代表)が学生たちの活動を中心にフェアトレードの動きを語りました。
 新垣さんとネパリとの出会いは、2年前。「大学で平和学を研究し、学生たちに何を伝えるべきか、反対だけでは生み出すものがない、新しい視点で未来をつくりたいと考えていた時に、沖縄のフェアトレードショップ『風の里』からネパリのことを聞きました。スタッフの高橋百合香さんに大学でお話をしてもらい、同世代の百合香さんのお話は学生たちに大きな刺激となりました」

 大学生の活動の主流はフェアトレード商品の販売です。売るには商品背景を勉強しなければならず、そこから見えてくるものがたくさんあります。沖縄キリスト教学院大学では、2007年5月の世界フェアトレードデイに地域も巻き込んでイベントを開催しました。また、学生たちは自らフェアトレードを実践したいと、フィリピンのスラムの若者たちとプロジェクトを起ち上げました。不法居住区に住む若者は、仕事に就けず、学校に行っても文房具を買うお金もありません。プロジェクトでデザインし、現地の若者たちが作ったストラップを日本で売り、生活費や学費に役立てています。「生活が経済的に改善することももちろん大切だが、フェアトレードは自身が人とどう向き合うかを教えてくれる。物質だけのやりとりや、戦争などの壊れた関係ではなく、人と人が出会い、共有し、協働し、作り上げていく、人間としてのあるべき姿を、若者に体験してもらいたい」「大学生協での学生の活躍、高校生との奨学金支援、小学校での活動など様々な形で若者たちの活動に協力してきたが、我々もそこから学ぶものが大きい。どこに視点を置くかを大切にし、卒業して社会人になってからも自分なりの関わりを持ち続けてほしい」という二人からのメッセージが、参加した若者たちの胸に残りました。


ファッションショーのフィナーレの様子


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