開発物語 : 人とともに生きる服をめざして


〜開発物語・ネパリ・バザーロの服作り(企画から販売までのステップ紹介♪♪)〜

【その1.企画】  ネパリ・バザーロの服を作る生産者団体は,コットンクラフト,マハグティ,マヌシ,ミラン・ガーメント, ヤングワオ,ニットのウールンガーデンの6団体です。 生産者団体の環境,ワーカー数,習熟度,染めや織りをするかどうかなどから,それぞれに合った素材やレベルを考えて企画します。 企画は,カタログ発行時期の1年前,早いものでは2年前くらいからスタートします。1冊のカタログに掲載できるデザイン数(型数)は決まっているので, 定番や継続以外に新しく加える型数をブランドごとに割り出します。製造限度や状況から各生産者への発注型数を決めます。  ネパリ・バザーロの服は'07秋カタログからターゲットに合わせてブランドを分けました。'08秋カタログからは,さらにローズマリーも加わります。 先ず,カタログの全体イメージとブランドごとのイメージを設定します。レモングラス,セージとローズマリーはプランナーが違います。 それぞれが,普段からマーケットリサーチや,雑誌などの媒体からヒントを掴み,各生産者に向いた素材,得意な技術を考えてデザインをします。 次にパタンナーを加えてデザイン会議をし,アイディアの段階から実際の服を想定した細部までの検討をします。 この時にプランナーとパタンナーの意識のすり合わせをしっかりします。 パタンナーはデザインと素材が合うか合わないか,考えている生産者の技術,環境からイメージに近い仕様のアドバイスをします。 その結果,想定していた生産者には難しいと判断し,他の生産者に移ることもあります。 ☆コラム☆  レモングラス・・・シンプルなデザイン。ちょっと力を抜いた大人の女性のナチュラルスタイル。細身のシルエットを愉しみたいあなたに。  セージ・・・素材にこだわり,感性豊かに服を愉しむ。遊び心もプラスして。  ローズマリー・・・天然素材を贅沢にまとう。ゆったりしたデザインが特徴です。 【その2.パターンメイキング】  デザインのイメージを実際の型紙にします。服のよしあしはパターンで決まると言っても過言ではありません。 ネパリ・バザーロの服は立体裁断パターンです。シーチングという布をボディーに当て,ピンで組み立て,美しいライン,着心地の良さを追求します。 形が決まるとラインを紙に写し,予定している布を使ってファーストサンプルを作ります。 パタンナーの青木いみ子 【その3.サンプルチェック】  できあがったサンプルを様々な体型のスタッフが着て検討します。着丈や袖丈などを変える時は,パターンを修正します。 大きな仕様の変更がある時はセカンドサンプルを製作します。こうしてできたパターンとサンプルを生産者に渡し,試作してもらいます。 生産者はコスト計算をして,自分たちで作ったサンプルを日本に戻します。 【その4・5.現地サンプル製作とフィードバック】  生産者の作ったサンプルをチェックします。サンプル通り,仕様書通りにできているか,全体がすっきりきれいに見えるか, 縫製に問題がないか,コストはマーケットに合うかどうかなど,たくさんの項目をチェックし,フィードバックします。 そして,必要に応じて,何回か試作してもらいます。 【その6.オーダー】  サンプルが問題なくできるようになると,実際に製品にする色を指示し,試し染めをしてもらいます。 色もイメージ通りにあがれば,いよいよ本格オーダーです。 大量生産ではなく,一点一点,手間をかけた服ばかりなので,遅くともカタログ発行の半年前にはオーダーをします。 オーダー後も納期通りに仕上がってくるかどうか,頻繁に現地に出向いて工程の管理もします。 どの段階でも常に生産者に寄り添い必要なサポートをし,一緒に製品作りをしています。 【その7.カタログ制作】  こうして,多くの人の手間と時間をかけてできあがった服やそのストーリーを皆さまにご紹介するために,カタログ「ベルダ」を制作します。 撮影や編集も発行の半年前にはスタートします。 【その8.販売】  そして,販売です。お得意様や小売店にカタログをお届けし,全国の書店にも置き,ご注文を待ちます。 カタログ発行後は出荷に関わるスタッフは連日ご注文に追われ,うれしい悲鳴です。 カタログやお届けした商品の感想などメッセージもたくさんいただき,励まされています。 クレームだけでなく,そういううれしいお声も生産者に直接届け,共有します。お互いにもっと良いものを作ろうという意欲が湧きます。 ☆このようにして……☆  年4回発行するカタログに合わせて,企画,製作,販売,フィードバックが繰り返されます。 その繰り返しの中で生産者の生活が確実に変化し,向上しているのを見ることができるのは何よりの喜びです。 作る人,売る人,使う人,皆が笑顔でつながれるように,それを願って,日夜努力を続けています。 喜びと誇りをもって作られた物に出会うしあわせ。いつまでも大事にしたくなります。自分の周りの品々を少しでも, 作り手の見えるものに代えていくと,とても豊かな気持ちになれます。作る人は使う人がいなければ生活できず, 使う人も作る人がいなければその豊かさを享受できません。お互いを尊重し合い,よい関係であるように。 それがネパリ・バザーロの目指しているフェアな関係,フェアな社会です。




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