冬の衣料
手が伝えるやさしいニット 〜ウールンガーデンのこと〜
ウールンガーデン(Woolen Garden)
ウールンガーデンは,マティナ・シュレスタさんという女性が1985年に始めました。
彼女は世界銀行が資金を出した手編み講習会で指導を受け,その後,仕事として取り組むようになりました。
一緒に指導を受けた近所の女性たちにも依頼しながら続け,仕事が増えるに従い兄弟姉妹も加わり,
役所を退職した父親も手伝うようになり,発展してきました。
1992年,販路を広げるために首都カトマンズ市内に店を出し,今では多い時で300人ほどの編み手を抱えるまでになりました。
隣のパタン市にある小さな工房では新しいデザインを指導したり,ウールを染めて糸を配分したり,
ボタン付けや仕上げ検品などの最終工程をしています。
編み手の女性たちはそれぞれの家で家事,育児の合間に仕事をし,ウールンガーデンでは,彼女たちを含めて大きな家族と言っています。
仕事がある時だけ頼むのではなく,年間を通じてオーダーを出し,収入が途絶えない様に気を配っています。
暑い時期は在庫が増えて負担が大変ですが,利益だけで考えるのではなく,本当に皆が幸せになるように願っています。
特に生活が厳しい女性には仕事を多く回したり,子どもの教育援助をするなどの配慮をしています。
だからこそ,編み手の人たちも良い仕事をして応えてくれています。

↑カウチング風ロングニットジャケット
パンツに合わせたカジュアルな着こなしや,
女性らしいシルエットのブラウスやスカートに
合わせた着こなしもお楽しみいただけます♪♪

↑ヘンプコットンタックワンピース
ワンピースとしてもチュニックとしてもお楽しみください
↑ルームシューズ♪
気になりやすい足元も、しっかり温まります。
ウールンガーデンの現場を仕切る,マティナさん,アニラさん姉妹を2007年5月に日本に招いて研修をしてから1年半が経ちました。
もともと優れた技術と仕事にかける強い情熱があったふたりの,すれ違っていた思い込みに気づき,日本のマーケットを知ってからの改善は素早く,
こちらの企画を見事に形にし,期待に応えてくれています。
私たちも張り切って,これまでは難しいと躊躇していたデザインにも挑戦し,オーダー数も増やしました。
長い間の努力が実って喜ぶ彼女たち。どれほど厳しい状況の中で仕事をしているかを知ってはいても,
澄んだ優しい眼,こぼれる笑顔で話す彼女たちを見ていると,それを忘れてしまいそうです。
マティナさんは幼い頃に母親を亡くし,以来,5人兄弟の長女として家族の世話をするとともに,
10代から手編みの仕事で家計を助けて働き始めました。
仕事が増え,おおぜいの,自分より遙かに年長の人々に仕事を依頼してきたマティナさん。
四方八方に気を遣うなど,とても苦労していると思いますが,編んでいる時のマティナさんは本当に穏やかな楽しそうな表情をしています。
じっと見詰める私の視線を感じると「なあに?」と微笑みながら問いかけてきました。
「嫌なこと,辛いこと一杯あるでしょう。どうしていつも笑顔でいられるの?」と意地悪い質問をすると,
「そりゃあ一杯あるけど,笑って過ごすの。だって,笑っても泣いても同じ時間なら,
笑って過ごす方が自分も周りもいいじゃない」とさらっと答えました。
ネパリ・バザーロが軌道にのる前の大変な時,どれほどマティナさんの温かい笑顔に救われたことかと思い出します。
特に肩や袖付けのラインが美しくなり,ますます洗練されたカーディガンやセーターを試着して喜んでいると,
編んでいる皆も満足気で,誇らしそうに胸を反らします。
食料品を中心に必需品の物価が暴騰して生活を圧迫している昨今,
食べることに精一杯のつつましい生活にとって,貴重な現金収入である,この手編みの仕事。
良い点も悪い点も含めて,お客様の評価を伝えると,皆,編む手を止めて真剣に聞いてくれます。
マティナさん,アニラさんは直ぐ実際に編んでみて,「こう?こんな感じ?」と聞いてきます。どうしたらイメージ通りのセーターができるかと夢中になって
やりとりしているうちに外は暗くなり,ニッターさんたちはひとりふたりと帰っていきます。
「また会おうね!」。それは,ネパールに行くたびに繰り返されるひとこまです。

(左)マティナさん (中)土屋春代 (右)アニラさん
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