福祉プログラムレポート
コットンクラフトのセービングファンド
  


          

   
   どんな状況であっても私たちを信頼し、常に誠意を持って仕事をしてきたコットンクラフト。

  その結果、品質が向上し、注文量も増え、2008年には工房を増築するまでになりました。
  今では約40人の女性たちが仕事をしています。厳しい境遇で生きている方々ばかりです。
  凄まじい物価上昇の中、一生懸命働いている彼女たちの努力が報われるように、
  2008年4月、コットンクラフトでもセービングファンド(*)を始めることにしました。
  1年以上働いている人たちが対象です。皆とても喜んでくれました。

  水力発電に頼るネパールでは、温暖化の影響からヒマラヤ山脈に降る雪が少なくなり、雪解け水も減り、
  その他諸々の要因も重なって電力不足となっています。2008年頃から徐々に計画停電の時間が長くなり、
  ついに2009年1月は、1日16時間、週108時間の計画停電となりました。
  大企業や機械化された工場は、停電のため仕事ができず、次々と閉鎖しています。
  また、最低賃金が大幅に引き上げられたため、中小零細企業はとても支払えず、廃業に追い込まれています。
  急に権利意識に目覚めた労働者が立ち上がり、不満を過激な行動に移し、
    経営者が事業を継続できなくなるところも多いそうです。
  一説によると、何と80%の工場が閉鎖したそうです。

  そのような厳しい状況の中、コットンクラフトの女性たちは、毎日仕事に家事に、休む暇なく働いています。
  足踏みミシンや手織りなど、極力電気を必要としない物作りにこだわってきたので、
  他に比べたら大きな打撃は受けずにすんでいます。
  アイロンだけは、電気が来る時間にまとめてかけられるように準備しているそうです。
  また、太陽の光が差し込む大きな天窓の真下では、ピンタックを縫う女性たちがミシンをかけています。
  セービングファンドの効果もあり、働く一人ひとりの満足度は高く、結束力も強まり、
    モチベーションも上がっていて、より良い商品を作ろうという気持ちが溢れていました。
    希望を持って、毎日安心して暮らせるように、これからも応援していきたいと思います。

                                    

       サビナさん(左写真の中央)                  サンギータさん(右写真)
  彼女の母親は、誰よりも早くコットンクラフトに出勤し、       1年半前に出産をし、昨年職場復帰しました。
  掃除をしてから仕事をし、サビナさんを育ててきました。        彼女は子育てと仕事を両立させて頑張っています。
  今サビナさんは、カレッジに通いながら、コットンクラフトで     「女性が働き続けるには家族の理解と協力がないととても
  会計や生産工程の管理をし、重要な役割を担っています。         難しいのですが、セービングファンドのことを夫や家族に伝えたら、
  皆、自分よりも年下のサビナさんのことを信頼し、                      皆とても喜んで、それからは仕事も応援してくれるようになりました」
  プライベートなことも何でも相談するそうです。                        元々は、「秘密の預金」として、家族にあてにされないように
  「セービングファンドが始まってから、皆前よりも熱心に               誰にも言わない、という約束で始めたのですが、
   仕事をするようになり、商品の質も量も向上しました。                サンギータさんのようなケースは多く、
   遅刻もなくなりました!勤務態度がいいと、                         思わぬ効果を発揮していることが分かりました。
   ボーナスの際に評価してもらえるので。
   仕事にはチームワークが必要です。一人では何もできなくても、
   皆で力を合わせ、チームで仕事をすると、
   大きな力になります。チームワークが良くなったので、
   とても仕事がしやすくなりました」



戻る