WSDPP 伝統のいざり織り〜女性の技術向上プロジェクト・ポカラ 

 WSDPPは、ヒマラヤを間近に臨める観光地、ポカラにある、コットンの製品を生産・販売するプロジェクトです。「いざり織り」という織りの技法のトレーニングを受けたものの、その後の使い道がなく途方にくれていた4人の女性たちが集まり、仕事と現金収入を得る場としてスタートさせました。発足当初は資金がなく、糸を買うのがやっとで色を染めることもできず、生成りの製品しかなかったほど。しかし、毎年利益から積み立てては、ミシンや機、整経台などを少しづつ買い足し、働く女性も増やしてきました。現在では31人の女性たちが働いており、布地の種類、製品の種類も増えました。
31人の女性たちの多くは、ポカラに昔から住むグルンという民族の女性たちです。伝統的に幼い頃からいざり織りの訓練を始めるため、皆器用に根気の要る織りをこなします。織りの仕事は各人の家で行なわれます。WSDPPで色の合わせかたやデザインのトレーニングを受けた後、糸を持ちかえり家事や畑仕事をこなす傍ら、休むことなく布を織り上げていきます。
工房では、糸を染める作業やミシンや手縫いで製品に仕上げていく工程が行なわれています。多くが夫と死別したり、結婚しても夫がよその女性と所帯を持って出ていったり、経済的にも社会的にも苦しい立場にいる女性たちですが、お互いに支え合い、励まし合いながら製品作りに取り組んでいます。
「こうして自分の持てる技術で収入を得て暮らしていけるんだから、未亡人でも、離婚されて実家へ帰った人でも、誰にも自分を恥じることはないんですよ。」(WSDPP代表ラムカリ・カドゥカさん)

戻り