フムラで村の生活改善に取り組む女性達

 極西ネパールで最も北に位置する地域がフムラ。最近、映画化された「キャラバン」の舞台となったドルパよりも更にムグという地域を経た大変奥地に位置しています。7000m級のヒマラヤの山々に囲まれ、北は中国と国境を接しています。この近くのローカル飛行場でも海抜3,000mあります。
 ここに住む女性達は、大変厳しい生活に直面していますが、 自ら生活改善のために立ち上がりました。その模様が、昨年、ロイヤルネパールテレビで放映されました。
 

フムラでは、物不足、飢饉、そして文盲など様々な問題を抱えています。やせた土地では4ケ月分の穀物しか収穫できず、その他の期間は、政府が飛行機で運んでくる食料が頼りです。毎年のように飢饉が襲い、多くの命を奪っていました。
 女性は小さい頃から、家事と畑仕事に追われ、
男性の殆どは朝から晩までギャンブルをし、酒を飲んでいました。
 

 ところが、ここ数年、その状況は好転してきました。
女性達が、少しでも村の生活を改善して暮らしを良くするために立ち上がったからです。
毎夜、仕事を終えた女性達が集まり、夜警団を組織します。手に灯かりを持って暗い夜道の中、各家庭を見て廻ります。お酒を飲んだり、ギャンブルをしている男性がいないか調べるのです。もし発見すると、高額の罰金を課します。
 このようにして、怠けがちな男性達も仕事に協力するようになり、厳しい環境ながらも、野菜や果物、穀物が以前より多く収穫できるようになりました。男性上位の村社会で、女性達がこのような活動を始めたことはとても画期的なことなのです。


日本で活躍する国際フェアトレード組織、支援組織


◆トランスフェアジャパン
 フェアトレード・マークを通じて、一般の市場にフェアトレード商品を広げる運動があります。本部はドイツで、FLOインターナショナルとして、1997年に設立されました。オーストリア、ベルギー、カナダ、デンマーク、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、日本、ルクセンブルグ、オランダ、スウェーデン、スイス、イギリス、アメリカの15ケ国間で導入されているフェアトレードマークのネットワーク組織で、夫々の国の選択により、トランスフェアー、マックスハーベラー、フェアトレードマークが用いられています。日本では、わかちあいプロジェクトがその支部となり、トランスフェアーマークを採用しています。

◆シェアード・インタレスト
 フェアトレードを支援するイギリスの融資機関で、フェアトレード事業にのみ融資を行っています。IFATに加盟し、主に、IFATメンバーに融資を行います。お買物で国際協力するだけでなく、より前向きに支援をする仕組みとして、一人一人が一般の銀行に貯蓄するのではなく、フェアトレードの活動に使ってもらう目的で貯金をするのです。一般金利(利子)より若干低めに設定されますが、その分、預金者の意思に沿って運営が行なわれる仕組みです。生産者に支払われる前払いは無利子です。
 各地にボランティア支援者がいて、活動実績に対し話し合いが持たれているのもユニークです。

◆IFAT(International Federation for Alternative Trade)
 1989年の5月に、アフリカ、アジア、オーストラリア、ヨーロッパ、日本、北アメリカ、南アメリカの国々のオールタナティブ団体により設立。協同してフォーラムを開いて、情報の交換を行い、共通課題の解決とフェアトレードを促進して行く北のフェアトレード組織と、南の生産者の橋渡しを行っています。メンバーは、47ケ国、143団体(1999年12月現在)が加盟し、生産者の持続的な生活向上を目指しています。
 

ネパール豆知識


【経済発展に困難な地理・地形】
北は中国、ほかの三方はインドという、二つの大国に囲まれた国、ネパール。港がなく物資の輸入を隣国に頼るため、隣国との関係に経済が大きく影響されます。国土の北部は、8、000m級のヒマラヤ山脈がそびえ、国土のほとんどが山岳地帯です。南のわずかな平地は象やトラが住む亜熱帯のジャングルで、マラリヤの恐怖が、つい最近まで外部からの移住を阻んできました。
北海道の約1.8倍というその狭い国土には、約2,200万人の人々が暮らしています。労働人口の約8割が農業に従事していますが、自分たちが食べる量さえ収穫できない農家も少なくないほど、山岳地形では畑にする土地が少なく、増えつづける人口に対応できずにいます。また、山がちなために車が通れるだけの道を作るのも難しく、人一人がやっと通れる幅の道を、生活物資を背に担いで運ぶ地域も少なくありません。整備された道がないと言うことは生産物を市場に運べず、現金収入につながりにくいという影響もあります。
 こうした生活の厳しさから、地方で暮らしていけない貧しい人々は、何とか仕事を得ようと首都カトマンズに流入してきますが、都会でも仕事に就ける機会はあまりありません。そのため、ストリートチルドレンや外国へ売られて売春をさせられる少女達も増えてきており、大きな問題となっています。こうした貧困問題を解決していくためにも、雇用の機会を創出していくことが求められます。
【多様な民族】
ネパールは小さな国ながら多民族国家でもあり、その数36と言われる民族が暮らし、ネパール語が公用語ですが、それぞれの民族が独自の言語を持っているため、学校教育が浸透していない地域ではネパール語が通じず、外の地域の人との商取引などの際に不利になることがあります。

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