シディマンさんの手彫りスタンプ


細い線や太く力強い線など、様々な図案にあわせて数十本の色々なノミや刀を使い分けます。よーく見ると、どこかで見たことがあります。私たちも良くお世話になっているもの。始めはなんだかわかりませんでしたが…なんとそれは傘の骨を自分で加工して作り上げたものでした。傘の骨で作った刀と家具の木工所でもらった木切れをトンカチ代わりにして、器用に器用に彫っていくのです。目の前で広げられる職人技はまるで魔術のようです

タイムスリップをしたような古い町並みが残されるカトマンズのダルバール広場の近く。その町並みの中にスタンプ職人のシディマンさんのお家はあります。25年前、ネパール政府機関が提供した生活手段向上プロジェクトで、一番興味のあった木彫りのトレーニングを1年間受けました。技術を習得しても、ゴム印に押されてなかなか仕事が見つからず、工事現場などの仕事で日銭を稼ぐ日々が続きました。そんな時、シディマンさんの友人が、シディマンさんと私たちネパリ・バザーロをひき合わせてくれたのです。丁度木彫りの職人さんを探していたネパリ・バザーロとは運命の出会いでした。正確な技術、熱心な仕事ぶり、やさしいお人柄。長いお付き合いになりましたが手を抜いたり、納期が遅れたりしたことは一度もありません。
いつでも信頼のおける仕事をしてくれます。今では木彫りの仕事だけで家族を養っていて、2人の子どもは学校に通って教育を受けています。「子どもたちが良い子ですくすくと育って欲しい。 小学校が終わっても、もっともっと学ばせてあげたい!」とはにかんで夢を語るシディマンさん。

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