FAIR TRADE NEWS フェアトレードの現場から


教育とフェアトレード
ネパリ・バザーロでは、昨年の10月から11月にかけての約1ケ月間「教育とフェアトレード」と題するセミナーキャラバンを実施しました。北は盛岡、花巻から南は長崎、大分まで、様々な人々との出会いの旅でもありました。

 フェアトレードという活動自体もまだまだ知られていませんが、国際協力にも様々な側面があることを知って頂き、誰もが人間らしく生きられる平和な社会を築くためのきっかけ、場づくり、国際理解への一助に、そして、自らを振り返る場でもありました。

 子ども達の就学率の低さが経済的要因とも密接な関係を持っていること、その状況の改善に、フェアトレードがどのように貢献できるだろうかという試行錯誤の段階を公開し、共に考えてみようとしたのです。
 その取組みの初期段階として、現地で昔から語り継がれてきた物語を絵本にまとめて出版する活動をしています。

 お話して頂いたサパナさんも、様々な年令層、町から田舎まで、ホテル暮しから普段着姿の生活まで体験し、日本への理解も深まりました。開発教育教材「新貿易ゲーム」をフェアトレード・オプション付きで実施した時には、教育専門の彼女もフェアトレードの必要性がとても良く判ると、感心するほど。
 セミナーを受講した学生の方々にとって興味深々だったことのひとつに、外国の人の目に「彼らがどのように映るか」ということがありました。安全で自己主張をしなくてすむ日本の環境にいる私たちが、突然海外へ旅行すると大変危なく映ると。海外事情を自分のこととして捉えた一瞬でもありました。
 それにしても、ネパールに旅行したことがある人の中に貧困のロマンを語る方がいたのには驚かれたようです。たくさんの道から選択できる私たちは、選択肢をもたない人々と違うことを忘れがちなのかもしれません。

福祉とフェアトレード

 第10回全国ボランティアフェスティバルが、去る9月23日に、地球市民かながわプラザで行われました。
 フェアトレードの社会貢献、豊かな社会創りに向けて、と題して、私たちと共に、地域作業所、活動ホーム、福祉ショップから代表、担当の方々が出席され、分科会を開きました。
 半分社会貢献、半分ビジネスの性格を持ったフェアトレードの活動は、少数で多くの仕事をこなさなければなりません。それでも、地域にも貢献したいという想いが当初からありました。まだ力のない私たちですが、作業所、ホームの方々のご協力を得て、少しずつ関わりの輪を広げています。このような取組みは大変大切なことですし、それをフェアトレードが橋渡しする、共存共栄の姿がここにあります。

児童労働の功罪
 フェアトレードは,その憲章の中で児童労働を禁止しています。それは、1998年のIFATアジア会議がネパールのカトマンズで開かれた時にも確認されました。
しかし、その功罪は常に念頭におき、具体的案件に対応しなければいけないとの議論もありました。ネパールで数年前におきたドイツのカーペット不買運動は大きな打撃を与えました。多くのカーペット工場は廃業し、そこで働いていた子どもたちはどこへ行ってしまったのか。
 ネパリ・バザーロで染色調査のため東ネパールのある町をランダムに訪ね歩いた時のこと、突然の訪問客に仕方なく中を見せてくれました。そこでは密かに子どもを働かせていたのです。そこの主人曰く、「食べさせてもらうだけでも幸せなんだよ」と。
 一昨年、ネパール政府はカーペット工場での児童労働禁止を指示しました。解雇された子どもたちは、以前の稼ぎの半額に。まだ、ネパールでは、260万人の児童労働があるといわれています。政府は、2005年までにこれらの児童労働を無くすことを誓い、国連会議で署名しています(The Kathmandu Post December 22, 2001)。でも、だれが彼らを食べさせるのか、その答えはこれからです。地道な改善への努力が、必要とされています。

ネパール政府の女性政策
 
ネパール王国政府の第8次計画では、女性開発のための分野別政策を採用しています。そのプログラムには、工業、農業、森林、健康、教育などの経済社会分野での女性進出の改善が盛り込まれています。
 その計画書は、特に、融資、技術ノウハウ、起業家の訓練、市場における様々なサービスが強調され、従来の伝統的な分野とそれ以外の分野でも女性が活躍できる場が拡大していくように図られています。
 女性起業家協会WEANはその役割の担い手です。ネパリ・バザーロもその観点から、女性起業家支援の活動をしています。

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