―絵本作りを通したフェアトレード活動―


「むかしむかしのこと。東ネパールにレプチャという人びとが住んでいました。
レプチャの人たちはまじめなはたらき者でしたが、中にはなまけ者もいました。
ある日、なまけ者たちは、川の中で大きな魚が泳いでいるのを見つけました。
「あいつをとって、たべようぜ」「いいね。いい手があるぞ」・・・…

レプチャ民話「なまけものの魚とり」より

ネパリ・バザーロの活動の中に、少数民族レプチャの絵本プロジェクトがあります。最終的にフェアトレードにつなげて、生活の向上を図ることが狙いです。政情不安でそこまで踏み込むことができない現在、暫くは、昔話を書きとめ残すことに力を注いで活動を持続していきたいと思います。

東ネパールのイラムに古くから暮らすレプチャ民族に伝わる民話をご紹介するこの絵本も、これで3作目となりました。教育を専門とするネパール人女性サパナさんと協同で編集し、2001年に「大空へのみち」、2002年に「ふしぎなのみもの」を発行しました。
 レプチャ民族は、元来、独特の豊かな文化を持つ歴史ある民族ですが、時代の流れと共に、土地を失い、学校に行けず、仕事にもつけないという悪循環に陥り、厳しい生活を強いられています。就学状況調査のためにレプチャと関わったサパナさんは、一時の研究だけに終わらせず、実際に彼らの生活が向上する行動につなげたいと考え、その第1歩として民話の絵本作りを始めました。レプチャに伝わる民話を広くネパールの人たちに読んでもらい、知ってもらうことで、レプチャの人たちに民族の自覚と誇りを持ってほしいと考えました。また、この活動を通した交流によって、レプチャの人たちと信頼関係を築き、レプチャの文化や生活状況を理解することで、将来的には、人材育成やネットワーク形成、仕事創りなど生活向上の取り組みにつながっていくことを目指しています。
 前2作の絵本がネパールの新聞でも紹介され、レプチャ民族をネパールの人たちに知ってもらうという目的は軌道に乗ったといえます。2002年には、レプチャ民族の地位向上を目指すレプチャフォーラムとの話し合いの機会を持ち、小人数ながら教育支援を始めました。今後は、レプチャ語の古書保存、インドに住むレプチャ民族との交流促進、レプチャに関する図書収集などにも取り組んでいく予定です。

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