新潟ツアー

ネパリ・バザーロでは、年1回1泊旅行を企画し、各地の小売店の方々を訪問しています。一昨年の岩手、昨年の静岡に続き、今年は6月22日、23日に新潟を訪れました。ネパリ・バザーロのスタッフやボランティアに加え、今回も小売店「ちえのわハウス」「風"s」「グリーンバザール」の皆様が参加してくださいました。東京と地元新潟から3名の参加者もありました。
 今回の新潟ツアーのメインは、ネパリの商品を扱ってくださっている小売店の「sabaay」(直江津)と「わらべ村」(十日町)の訪問と、ウッドペッカー(妙高高原)での宿泊、そしてミティラー美術館の訪問です。

 ミティラー美術館は、十日町駅から車で15分ほど山へ向かった森の中にある、廃校となった木造校舎を美術館にしたものです。インド・ネパールの国境付近にかつて栄えたミティーラ王国の女性たちが3000年にわたり継承してきた壁画の数々が展示されているだけでなく、毎年インドから描き手を招聘し、活動の場を提供し、モダンアートとしての新たな表現も研究しています。今はネパールの一都市となったジャナカプールで作られるミティーラ画を生かしたハンディクラフトを扱ってきたネパリ・バザーロとしては、ぜひ訪れてみたかった美術館。館長さんにも熱心に解説をしていただき、それぞれの絵の意味など大変興味深くお聞きしました。冬には3mを越える積雪となるそうですが、6月の晴れ間に伺った私たちは、深緑の中でゆったりした気分で楽しませていただきました。十日町から1時間半車を飛ばし、sabaayさんにお邪魔したあと、妙高高原のウッドペッカーへ到着です。近くの日帰り温泉でリフレッシュした私たちは、大宴会!!と言いたいところですが、その前にスタッフの企画したディベートです。昨年と今年のフェアトレードデイでの公開学習会に続く、3回目のディベートの論点はこれまでと同様の「フェアトレードに未来はあるか」。参加者には小売店の方々に登場していただき、ビールの勢いも入って短い時間ながら活気のあるやり取りとなりました。
 翌日は、ネパリの美味しいコーヒーを楽しんだあと、妙高高原を去り、再び十日町へ。ほくほく線が出発する前の時間、わらべ村さんを訪問しました。
 2日間の駆け足旅行でしたが、ネパリ・バザーロのスタッフ、ボランティアが小売店の方々とともに、こうして各地のフェアトレード店を訪れ、情報や意見を交換できるのは、とても有意義で刺激的な機会でした。


ロッジ ウッドペッカー

始めたきっかけは、自然の中で暮らしたい
新潟県妙高高原のスキー場のゲレンデの中にあるロッジ、ウッドペッカー。
大自然の中で風の匂いがとても新鮮で美味しい。
オーナーの高井博之さんに始めたきっかけと売りをお聞きしました。

「始めたきっかけは、自然の中で暮らしたい、自分でなにかしたいという想いからです。そこで、宿をやろうと思い、1年かけて様々な宿をまわりました。その中で、自然食宿が大変印象に残り、開業当時から自然食を出しています。ここでの売りは、自給自足の自然食材を使った食事!農業体験もあります。イチゴ刈り、田植え、そばの収穫等ができます。面白いのは、水田作業、稲刈り、そば収穫などで、イチゴ刈りは、6月末、雑穀の収穫は10月初め、米、稲、そばは10月中旬から下旬です。ネパールコーヒーは、豆の販売や喫茶で出しています。セルフで安く飲むこともできます。
 フェアトレードとのきっかけは、5、6年前に東京で開かれた環境にやさしい食材の集まり、ネパリ・バザーロとの出会いからです。飲んで美味しい、マイルドなコーヒーが好きな方は、紅茶とともに多いですね。冬はスキー客で賑わいます。
 今後、レストランの主力、カレーメニューにネパール・カレーを追加することも考えています。
宣伝はほとんどなしで、口コミとホームページ。昼食も可能ですが、仕込みが必要なので、ある程度まとめ
て前日までにご連絡頂ければ。」と、イチゴ畑の中で語ってくれました。皆さんも、ロッジでネパール・コーヒーを是非楽しんで下さい。


サバーイsabaay

肩に力が入らないフェアトレードを目指して!
日本海に面するしずかな港町、新潟県上越市の上越大通り沿いを走ると、大きな看板に「フェアトレード&エスニック雑貨」の文字が!ネパリ一行からは思わず歓声があがりました。古い日本家屋を利用して、ところ狭しと並ぶフェアトレードの雑貨や衣類たち。入り口の門構えをくぐると、和風の庭があり落ち着いた雰囲気。押入れもネパールのロクタ紙を壁紙にして、ディスプレイのひとつにするなど、あちこちに工夫が施されています。その「和」の雰囲気がフェアトレード商品の和やかさとマッチしていてとても落ち着きます。

オープン当時からの店長宮崎聡子さんは、タイとラオスに旅行に行ったのがきっかけで、アジアに関わる仕事がしたいと思っていました。オーナーと話していて色々と調べていくうちに、フェアトレードに出会いました。始めて2年ですが、地方で周りにお店があまりなく情報の少ない中でやっていたし、ひとりでやっているのもあって、なかなかフェアトレードを捉えることが難しかったのですが、ようやく最近わかり始めてきて、『これから』という感じです。
 サバーイはタイ語で、fine!!という意味で、その響きの良さからお店の名前にしました。入ってきただけで『サバーイ』な気持ちになれるようなお店になることを願って。
 仕事の励みになるのは、お客様が何べんも来て下さってお話すること、それとフェアトレード団体から新商品が届くとき、箱を開ける前はドキドキします。気に入ったものは自ら身に着けてアピールします。(ネパリのエプロンを付けていました)アフガン難民の支援のチャリティーバザーやアクセサリー教室など行ったり、ネパール料理教室や、あちこちに出店販売もしています。フェアトレードがあまり知られていないこの地で、多くのひとに知ってもらいたい、そして異文化が混ざり合う空間を作りたいと熱く語る宮崎さん。
 将来的には土間を改造してコミュニケーションのスペースを作りたい、今まではフェアトレードほぼ100%でしたが新しい試みとして自然食品や地元の作家さんの作品などを扱って、より楽しいメッセージのあるお店にしたい、など夢は膨らみます。
 「テーマは肩の力が入らないフェアトレード、どうぞお気軽にお越し下さい。私自身も人と話し感じることでフェアトレードを勉強したいと思っています。」
 大人数で訪れた私たちを手を振って見送る、代表の萩原さんと宮崎さん、生産者と同じように確かな繋がりを感じることが出来ました。


わらべ村

食を考えることからフェアトレードへ
静かに語る安藤ゆりさんのお話は、「もの」をとおして世の中に訴えかけていく、それは無理の無い方法で、自然食品、フェアトレードの枠を超えて根底にあるものは同じだと実感させるものでした。たくさんのストーリーをもった品々に囲まれて、居るだけで楽しい気分になってきます。

以下、安藤さんに語って頂きました。
 『お店を始めて9年目になります。もともとマクロビオテックの料理教室をやっていて、そのときに使う味噌や醤油を常設して販売しようということになったのがきっかけです。生産者の顔の見える醤油や味噌を置いて少しずつひとのつながりを作ってきました。最初は味噌、醤油、麺類、塩からのスタートでしたが、今では、フェアトレードの雑貨、衣類、自然食品、化粧品、石けん、シュタイナー関係の品々、こだわりの書籍など「生活する中で本当に必要となるもの、自分が好きで、皆に紹介したいもの」をいつのまにか置くようになりました。
 「食」に関心を持ったのは約30年前から、最初は自分の体のことを考えていましたが、いろいろと調べていくうちにその根底になる大きな問題に気付きました。飽食の先進国とそれを生み出すために飢餓を強いられた地域の人々との間の食のアンバランスが、戦争の原因になってしまう。自分たちが選ぶ食がどれほど世界に影響を与えているかということに、もっと皆関心を持たなければ、という想いが強くなっていきました。子どもたちの未来のためにという想いが「わらべ村」という名前がぴったりくるように思いました。
 お店が2階にあることで、お客さんが人目を気にせずゆっくりとお店で時間を過ごしてくれます。中には車で一時間掛けてくるお客さんもいます。ゆっくりお茶を飲んで語り合う、そんな隠れ家的存在が「わらべ村」なのです。
 フェアというのは私たち人間がつつましく生きていくことだと思います。振り返ってみると、フェアトレードを知る20年も前から勉強してきたマクロビオテックもそこに行き着くのではないかと思っています。トレードもまた分を超えずに、でも自由な冒険でありますように』

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