行って来ました「不思議な国ネパール」へ

太田隆子


私達親子と友人がカトマンズ空港に降立ったのは、夏休みに入って直ぐのことでした。
まず、ビックリしたのは、空港から一歩外に出て、迎えの車に乗ろうとした時のこと、大勢の人がワッと私達を取り囲み荷物を無理矢理奪い取るようにして、勝手に車に積み込もうとしたのです。そして彼らからチップ・日本製のボールペンなどをねだられた時、娘は相当驚いたようでした。
翌朝、町を歩いてみると、人、人・・・と犬、ゴミがやたら目に付きました。
私達が訪れたこの時期は雨期で、毎日、夕立のように雨がザアーと降っていました。
道路のあちこちに水溜まりやゴミがあるため、路傍の神々や古い木彫りの飾りが美しいお寺などを眺めたいのですが、まず、自分の足元の安全を確認せねばならず、何か落ち着かないのは、日本人だからでしょうか。
本当にこの国の人は、家の中に籠もらずに皆外に出ているようで、どの道路にも日本の歩行者天国のように、しゃがんだり歩き回る人が多く、賑やかなことこの上ないのです。
さらに、その道の両側には、小さなお店がビッシリと並んでいて、買い手よりも売り手のほうが多いくらいです。
また、この道路での車の走り方がスゴイのです。
交通規則なんてものは無いのだろうと思わざるを得ない位に、「どけどけ」とばかりにクラクションを鳴らし、対向車線の区別もない中を追い越せそうな物は、牛でも車でも人でも何でもバンバン追い越して行くのです。
おまけに、定員も無いらしく、乗れるだけ詰め込むので、20年前のカローラの後部席に大人が4人、助手席に2人乗りギュウギュウで走っていることもありました。
あげれば、きりがない程ルールも生活観も全く異なる国に飛び込んでしまった私達親子は、初めの頃はオロオロするばかりでしたが、ネパールの友人とその家族に助けられてカトマンズとその周辺を楽しく見学できました。
なかでも、ポカラでは、教会において障害児の教育に情熱を注がれている大木先生(神父)とお話ができ、更に先生のご紹介で、日本人の2人のシスターが中心になって運営されている保育園をも見学できました。
ネパールでこんなに頑張っている日本人を見て、娘も私も大変感動しました。
そしてカトマンズに戻って、ベルダレルネーヨが支援しているホームにも伺い、42人ものストリートチルドレン(0歳から19歳まで居る)を世話しているビシュヌご夫妻にお会いしてみて、たとえ貧しい国にあっても、このように大勢の人に「愛と勇気」を与え続ける人がいることを知って、心が暖かくなったのは私達だけではないでしょう。    
そして、同時に、このような人がもっと増えることを望むべきなのか?それとも、家族も帰る家も無い子供が生まれない国にするには?・・・などと思いは複雑になるばかり。
それでもお陰様で、多くのネパールの知人にも会えたし、美しいヒマラヤの峰も見えたし、思ったとおり実り多い素敵な旅でした。
この複雑な不思議な国をもっと知りもっと身近に感じるには、まだ何回も足を運ぶ必要があるようです。

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