「実り大きい日本での体験」
横浜で研修のチャンドラさんのレポート・受け入れ先の感想
              

前号で紹介しました、ネパールのフェアトレード団体ネットワークの中心人物で、パタンのサナハスタカラ(フェアトレードショップ)のマネージャーであるチャンドラ氏の横浜での8週間に及ぶ研修の感想(抄)と研修先の「コープかながわ」と「ネパリバザーロ」(以下ネパリという)の方々にその時の様子をお聞きしました。 
 <紙面の都合で、彼のレポートからフェアトレードの研修部分を要約しました>           
私のネパリでの研修は、11月3日から15日まででした。ネパリは私たちネットワークの団体を含め多くの生産者とフェアトレードを行っており、各種手工芸品からコーヒーまで色々な物をネパールから仕入れて日本の市場にそれらを売り込み、ネパールの小さな生産者の育成に努力しています。
 その扱う金額は、サナハスタカラの売り上げの20lにもなる程大きなものです。
 ネパリでの研修は、日本のフェアトレードの組織や運営を学ぶことからフェアトレードに関する日本のマーケットの実情、製品のデザインや品質、包装、輸送、コンピュータを使っての宣伝システムなど幅広い分野になりました。

◆訪問・参加・講演と大忙し◆

 私は、ネパールの手工芸品を扱っているお店をいくつか訪問し、そこでネパール製品に対する日本人顧客の好みや興味、売れる物等を知り参考になりました。また、イベント(東京・横浜)にも参加出来て、そこでもネパールのクラフト製品に対する日本人の反応を知ることが出来ました。
このほか、2度の講演(ネパリの学習会・ミランクラブの定例会)の機会もあり自分達の組織や活動について話すことが出来ました。
更に、ネパリでのコンピユータを使っての資料作成やテレビかながわの取材から、この2月にオープンする「地球市民かながわプラザ」の見学、ネパールのコーヒーを焙煎している工場訪問など色々な体験が出来、本当に良い勉強になりました。
私のこれらの研修から感じた事は、日本でのフェアトレードマーケットはまだ小さく、その概念は新しいものであること。また、私が日本に来るまでは、日本はお金持ちの国なので全ての日本人はお金持ちであり、私達の作った物はすぐに買って貰えると思っていましたが、違っていたこと。日本の市場にも、競争と複雑な流れがあり、物はそう簡単には売れないし、良い品質と適正な価格でなければならないこと、などです。
ネパリを始めフェアトレード団体では、フェアトレードの概念(理解)を拡げることに努力している段階で、それは簡単なことではありません。
私達途上国の生産者は、製品の品質やデザインに注意を払うべきと思いました。
そして、私のこの研修がネパリとサナハスタカラの仕事上のつながりを強くする一助になればと思います。
 最後になりますが、この研修で大変お世話になった、横浜市海外交流協会・横浜研修センター・コープかながわ・ネパリバザーロの各スタッフの皆様に心から御礼申し上げます、本当にお世話になり有り難う御座いました。 (文責:太田昌治)


研修の現場から 〜日本を知り、ネパールを知らせるチャンドラさん〜

コープかながわ
組合員活動推進室主任 水落 葉子

あのニコッとした、人を惹きつけずにはおかない、さわやかな笑顔「チャンドラ・スマイル」はどこに行っても無敵の威力を発揮しました。
店舗でも、組合員が集う催しでも、チャンドラさんはいつも誰かに取り囲まれ、質問攻めに合うのでした「ネパールの食べ物は何?」「牛を食べてはいけないのよね?」「どうして日本に来たの?」「いつまでいるの?」何度も、何度も同じ質問をされるのに、少しもいやな顔をしないで「チャンドラ・スマイル」で対応。ネパールとフェアトレード活動のPRも忘れません。
いつのまにか周囲にはチャンドラさんのファンが増えていました。
特に7日間研修した藤沢市の石川店では、若い職員がチャンドラさんを幕い、学生時代に使っていた英語の辞書を引っ張りだしてきて、何とかコミュニケーションをとろうと必死になっていました。
日本語の上達の早いチャンドラさんと彼は、英語と日本語とジェスチャーの入り交じった、端から見るとかなりあやしげな会話をしていましたが、心はすっかり通じ合っていたようでした。最終日には、2人とも涙目になりながら別れを惜しんでいました。
もちろん、チャンドラさんが残していったのは、笑顔だけではありません。私たちの心の中にネパールという国がサナ・ハスタカラの美しい織物のように様々な色合いをもって
印象づけられました。


ネパリバザーロ
スタッフ 廣田 麻紀子

チャンドラさんのネパリ・バザーロでの研修中はパソコン、検品、市場調査といろいろなことに携わってもらいたかったけれども、なにぶん物理的な時間が少なく、どれも駆け足状態だったことが残念でした。
その中で何店かネパリの商品を置いてくださっているお店へ同行した時のことについて少し書いてみたいと思います。
営業の同行だったのでサナから入ってくる商品以外も持っていたため、チャンドラさんがサナの商品を一生懸命紹介しても、サナからの商品を仕入れてもらえなかったり、縫製、色使い、サイズについて非常に細かい要望があったりとなかなかきびしいお店周りだったと思います.
しかし、ネパールの生産者の情報や商品についての質問などお店の方にとっても生の声が聞ける絶好の機会とあってなかなかチャンドラさんを帰してもらえなかったりと、刺激があったようで「ネパールに帰ったらまたいろいろ見直すことがあるゾ」と新たな意欲を燃やしていました。
チャンドラさんにとっては日本の市場でサナの商品はどう扱われているか、何が売れているのか、商品に対しどんな要望があるか、直にお店の人からの話が聞けた最高のチャンスだったと思います。
次回サナからはいってくる品々の出来が楽しみです。

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