ビシュヌさんの日本訪問

              魚谷早苗


通信で何度もご紹介してきたモーニング・スター・チルドレンズ・ホームは、養育者のいない子ども達やストリート・チルドレンを引きとって、家族の一員として育てている、カトマンズ郊外にあるホームです。運営しているのは、ビシュヌさんとムナさんのご夫婦。たったお二人で、現在47名もの子どもたちを育てています。大家族の食料の買いだしをし、朝と夜に全員で集まってコミュニケーションの時間を持ち、病気の子どもを病院に連れて行き、勉強を教え、その合間に、NGOの集まりなどに参加して情報を集めたり、外国からの学生をボランティアに受入れたりして、忙しい毎日を過ごしています。
そんなビシュヌさんが、ネパール人のお友達の計らいで、日本の児童施設での研修のために来日をされました。たった3週間の滞在でしたが、埼玉県にある養護施設に宿泊しながら、職員の案内で何ヶ所もの施設訪問もされたそうです。私達メンバー数名で訪ねましたが、施設らしくない小ぢんまりした家庭の雰囲気のある、居心地の良い「おうち」でした。子ども達を家族として育てているビシュヌさんのホームと共通するものを感じました。
日本語の分からないビシュヌさんですが根っからの子ども好きが通じるのでしょう、子ども達はすっかりビシュヌさんになついていました。ビシュヌさんも、なれない日本で臆することなく、納豆もおいしいと食べてしまうほど生活にもなじみ、施設の職員とネパール文化の事や子どもたちの事など様々な情報を交換しながら忙しい毎日を送っていました。とても楽しんでいらっしゃいましたが、ムナさん一人で留守を守るホームを心配されると共に、日本で受けた刺激を早く家族に伝えたかったのでしょう、3週間後、飛ぶようにネパールへ帰って行かれました。

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