新人紹介 矢島万知子

 「オッ、それいいね」と夫が言いました。昨年の夏、初めて入ったネパリ・バザーロのお店「ベルダ」でのことです。デザインの美しさに惹かれて、思わず手に取った銅のやかん。遥かネパールから銅を打ち出す槌音が聞こえてくるようでした。 家に持ち帰ると、やかんと一緒に「ネパリ・バザーロだより」なるものが出てきました。そこで初めて「フェアトレード」という言葉の意味を知り、そして「ボランティア募集」とあるのを見つけました。
 以来、ネパールを中心とした第三世界の品物が並ぶ「ベルダ」でお客様と接しています。 「ベルダ」が入っている「地球市民かながわプラザ」(愛称あーすぷらざ)は開館して1年数ヶ月。会議やコンサート等の催し物に参加された際に立ち寄ってくださるお客様が多く、品物を手に取り、感心した様子でご覧になっていても、慌ただしく会場に戻って行かれる方もいらっしゃいます。 けれども私は、そのような方が少しでもそこにある品物に、あるいは「フェアトレード」に関心を持って下さったのであればそれで充分ではないかと思っています。次からは「ベルダ」が目的で訪ねてくださる方が増えていけばいいのですから。 お店に入るなり、目的のものを手に取り「この前に来た時にいいなあ、と思っていたのですよ」とおっしゃって買ってくださると、とてもうれしく思います。
 私達夫婦が一つのやかんと出会えたように、「オッ、いいね」という出会いがたくさん生まれますように、そしてそのことが、それらを作った人々との「出会い」につながっていくことを願いつつ、お客様をお迎えしています。
 これからもよろしくお願いいたします。

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