技術研修生受け入れへの思い 

横浜市国際交流協会 浦川久代


 1999年度もネパールから「技術研修生」を受入れることができました。そこで、関係者にその受入への思いを伺いました。
 当協会の「海外技術研修生受入事業」は、1977年、「途上国の人材育成」を目的に、市内企業の協力を得て始まりました。これまでに、主にアジア諸国、16カ国から235名を受け入れています。
 産業の発展を支援するという性質が強い事業ですから、対日貿易業務が拡大できた、メンテナンス技術を身に付けられたなど、過去の研修生から成果を耳にすると、やはり非常に嬉しいものです。
 しかしこの事業の目的は、「経済」や「技術」だけではありません。研修を通じて人同士が交流し、お互いの理解を深めることも大きな目的です。例えば、受入企業の人から、民族衣装での出勤や社員食堂でも厳しい食事制限を守る姿勢にとまどったものの、やがて文化的な背景を理解するにいたった話などを聞きました。研修生も、実際の日本人と接して考え方が変わったと言います。中には、10年以上も文通を続けているという人もいます。「研修」を通じて起こる、こうしたことの積重ねが、互いの異文化理解と交流に結びついていってほしいものです。
 最近では、受入側にも海外経験 が豊富で外国語が堪能な方が増えました。通信手段の発達により、研修生の方も来日前から日本のことをよく知っています。ことさら「異文化」に戸惑う姿は少なくなってきたように思います。むしろ、これからの課題は、20年以上も続いたこの事業で得た人材と、どう連携を保っていくかということでしょう。
 横浜市国際交流協会と研修生、研修生と受入企業、研修生同士。「ヨコハマ」をキーワードにネットワークができるよう、活動を続けていきたいと思っています。

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