サラダさん研修を終えて

コープかながわ 水落葉子


 1999年度もネパールから「技術研修生」を受入れることができました。そこで、関係者にその受入への思いを伺いました。
 “コットン・クラフト”経営者であるサラダさんのお仕事とコープでの研修は直接の関係はありません。家族を残してはるばる遠く離れた日本で研修するにあたっては並々ならぬ決意があったはずです。その意気に応えて有意義な研修を提供できるだろうか?、肉‘魚の工場見学、共同購入やお店での研修が本当に彼女の役に立つのだろうか?、不安はつのるばかり。土屋春代注1)さんの「広く日本の流通の仕組みを知ることはサラダさんのためになる。どんなことでも無駄ではない」という言葉に励まされての受入れでした。でも、そんな心配は、研修をはじめるとすぐに吹き飛ぶことになります。
研修4日目、共同購入(グルーブごとに商品を届ける)のトラックに同乗し、組合員の家々をまわっていたときのことてす。それまで快活だったサラダさんが目を伏せて何かを考えている様子。しばらくしておっしやいました。「ネパールの料理に欠かせないスパイスは、各家庭で砕いたり、粉にしたりして調合するけど、働く女性は忙しくて時間がないの。それに、粗悪品も出まわっています。コープのシステムを参考に、良質なスパイスをすぐ使える状態にしてトラックで各家庭やグループに配達したらどうかしら。女性が働く場も広げられるわ」ネパールの地形や交通、流通事情を考えて共同購入はムリ、とばかり思い込んでいた私。サラダさんの言葉に驚き、自分の視野の狭さを恥じました。そして何より、サラダさんの発想の豊かさと前向きな姿勢に感嘆しました。
何事にもポジティブで、ちよっとまねできないほどアクティブ、それでいていつも輝くように美しいサラダさん。ネパールの女性がいきいきと働ける場を着実に増やしていかれるに違いないと期待しています。
注1) 土屋春代:ネパリ・バザーロ代表

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