レイコ企画さんを訪ねて
ネパール・マサラを使ったカレー作りを通してお手伝い

北山 詠美子


 4月14日土曜日、よく晴れた日に、西多摩郡日の出町にあるレイコ企画さんにて行われた「ネパールの手仕事展」に、ネパール・マサラを使ったカレー作りのお手伝いに行きました。

 ネパリ・バザーロ事務所のある本郷台駅から武蔵増戸駅までの道のりは初めて聞く駅ばかりで、何度も何度も乗り換えの順番を周りのスタッフに教えてもらっていました。それでも当日は、乗り換えるごとに緑がふえ、鳥のさえずりが聞こえてきたりして、到着する頃には、私の出身である徳島の田舎に帰ったように気持ちが和んでいました。手織の服にエプロンを着けて駅まで出迎えて下さった田中麗子さんの車に乗って、途中で、今日のカレー作りに使うお野菜の不足分を調達しました。そこで、私へのおみやげにと、ふっくらした”しいたけ”と”トマト”、”きゅうり”を頂いてしまいました!取れたて新鮮で美味しかったです!ありがとうございました。そして、ギャラリーであるご自宅へ向かいました。

 玄関にたって、いくつもの小さなグラスに生けられた小さな花が日差しに揺れるのが目に入りました。麗子さんのやわらかな気持ちがこぼれていて、ネパールの厳しい状況や女性の思いなどうまく伝えなくては、と力んでいた肩の力がふっと抜けて、素直に今日出来ることをお手伝いしよう、と思いました。

 台所へ向かうと、娘さんがもうすでにタマネギやらにんじんの皮をむいて、てんこ盛りにしていてくださいました。あんなにたくさんのお野菜を1人でむいたことは初めてだったそうで、麗子さんはじんわり喜んでいました。庭には、お釜があったり、テーブルが並んでいたり、あとはカレーを作るのみです。ご飯はご近所に住むお友達が自慢の釜で炊いています。思っていたより早く炊けてしまって、カレー班、ますますあせってしまいました。

 そのうちに、ちらほらお客様もいらして大忙しです。カレーの匂いが通りに流れて、お庭をのぞきにくる方や、チラシを見て来て下さる方、いつもお手伝いがてらいらして下さるお友達でお部屋もいつしかいっぱいです。ようやく出来上がったカレーをふっくらご飯にかけて、いらした方みなさんに召し上がって頂きました。事務所から発送するときも少ないかも…と思っていたマサラが、やはり試食して下さったお客様で売り切れてしまい、追加発注です。お客さまがお互いに「近くてまた来れるから、他の方にどうぞ」と譲り合っている様子は、なんだか温かくて、身近な方に支えられている空気がまた人を惹き付けてゆくんだなあと感じました。
 
 試食のすんだ方から、今度はお買い物です。試着してみんなに見てもらったりと、これがやっぱり醍醐味です。ね。ネパールの紅茶とその紅茶で作ったクッキーを食べながらのおしゃべりも盛り上がりました。普段から、草木染めをなさっている方、ちぎり絵をなさっている方もいらして、このギャラリーだけにとどまらない輪が広がって行く様子はうれしいですね。ちなみ
に、この飲み物代は、レプチャの絵本プロジェクトに寄付して下さいました。

 そして、この時間になってはじめて、大事なデジカメの存在に気づきましたが、にこやかに、カレーを食べる姿はもうどこにもなく、真剣に品定めをする姿、のんびりお茶を召し上がる姿を撮らせていただきました。ほかほか炊き立てご飯を思わず黙々と食べてる姿など、ぜひお伝えしたかったのですが、これは大事に私の胸にしまっておきますね。

 麗子さんが後片づけをしながら作って下さったおにぎりをいただきながら、やっとゆっくりお話することができました。アルバムを見せてもらい、いろんな方との協力でいつも朗らかに微笑んでいる麗子さんがあちこちにいます。娘さんのそばにいてできる仕事ということでご自宅をギャラリーにして始めたそうですが、月一回、一週間の企画展を準備し、実行し、お客様とのやりとりを目の前で見ながら育つことは、どんなしつけよりも、伝わるものがあると感じました。1人でお野菜を全部むいてしまう集中力はきっと、お母さんの後ろ姿につられて出てくるんだと思います。
 
 駅まで送って下さる車の中でも話は尽きず、車を降りたくないような気持ちでした。実際にオーナーさんを訪ねて、ネパールから届くハンディクラフトなどがお客様の手に渡って行く様子を見ることは、まだまだ修行中の私にはとても貴重な体験でした。助っ人の1人くらいにしかなれませんが、出来ることからお手伝いしたいと思います。ありがとうございました。

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