W E A N コープ( 女性起業家協会コープ)
 元気印の女性たち集まれ!

土屋 春代


◆  設立の経緯
 協同組合には私たちが日常の買物をするための消費者協同組合、災害などに備えての保険協同組合など形態は様々あるが、WEANコープ(A WOMEN PRODUCER'S MARKETING CO-OPERATIVE)は起業した女性達の販路を拡大するために組織された販売協同組合である。UNDP(国連開発計画)の支援により、1991 年に設立され、4年目から支援はなくなり自立した組織として女性たち自身で運営している。
 理事が11 名、専従スタッフは、事務局長、マネージャー、会計、営業、運転手、雑役の6人である。
 WEANコープは、WEANがUNDPの支援を受けて創った。
 そのWEANは、ネパールで事業を成功させた7人の女性たちにより、女性の地位向上のために活動しようと1987 年設立されたNGOである。
 現在、その代表を務めるのは、私たちの長年の友人であるネパールウーマンクラフト代表のシャンティ・チャダさん。
 特に女性が仕事に就く機会の少ないネパール、しかも家事・育児・地域の祭事での働き手としての役割から家を空けて外で長時間の勤務ができないなどの女性を取り巻く環境から、自宅を中心に両立できるような仕事づくりをすることが女性の経済力を高め、女性の発言力、地位向上に繋がるとして、起業家を育成することを目的にWEANではビジネススクールを始めた。
 これまでに受講した150 名の内、約半数の女性が実際に起業し活躍している。
 事業の内容は、漬物づくり、ジャムづくり、菓子づくりなどの食品関係から伝統を生かしたハンディクラフトまで様々だ。
 売上の中からWEANコープの活動費として10%を入れ、後に続く女性たちを育てる資金としている。


◆ カラワティさん
 WEANコープの専従スタッフとして設立以来支えてきたカラワティさん。以前は教師をしていたが、家と学校だけが日常の世界に、漠然とした不満を感じていた時、WEANコープという女性のための女性の組織設立を知り、スタッフに応募した。
 UNDPの支援がなくなり、一時給与が出ない時もあったが、この仕事にやりがいを感じていたカラワティさんは自分たちの給料を稼ぎ出すためにも必死に頑張り、継続してきた。今ではマネージャーとして、品質管理やマーケット管理、配達指示、スクールを卒業して起業した生産者に、更にスキルアップのための講座準備など多忙だ。細やかによく気のつくカラワティさんはそれをテキパキとこなしている。
 男性に支配され、自らの意思で動くことができなかった女性たちが、仕事を継続して力を付け、着実に地位を向上させているのが感じられてうれしいと言う。 「自分たちの母親世代からみたら、私たちはずいぶん自己主張もできるようになったのよ。娘世代になったら、もっと選択肢も広がるでしょう。長い期間、抑圧されてきたものを、そんなに急には変えられない。ゆっくり時間を掛けて変えていく必要があるのよね」と語る。


◆  W E A N コープの課題
 WEANコープの売上は、国内市場を獲得している食品関係が9割、ハンディクラフトが1割だ。利益率の高いハンディクラフトの割合を増やすことが課題だと言う。 ハンディクラフトのマーケットは、やはりまだまだ国内市場より海外市場に頼らざるをえず、ドイツやアメリカにも以前輸出したことがあるが、その後注文が続かず、継続しているのは日本だけだと言う。
 28 日、ハンディクラフト事業をしている理事が集まり、課題をどう克服するかを検討する会議が開かれた。丁度入り口に続く部屋で、カラワティさんと打合せをしていた私に、集まって来た理事達が次々と近付き挨拶をしてくれる。不思議バッグを作ってくれるサラダさん、ヘンプサンダルを作ってくれるモニカさん、フェルト製品のソッバさん。しばらく私たちは他愛のない
おしゃべりに花を咲かせた。やがて時間になり彼女らは颯爽と会議室に向った。皆、パワフルで行動力のある人たちばかりだ。
 会う度に彼女たちに刺激を受ける、「ボヤボヤしてはいられないゾ」と。

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