「中尊寺大長壽院」と「おいものせなか」を訪ねて(学習研修会の活動から)  ( 編集部: 万知子)
みちのくの旅で得たもの



ネパリ・バザーロの活動を、内部のスタッフやボランティアがより深く知る機会として、夏冬のネパール研修ツアーと、国内の研修ツアーをしています。
 今回はみちのく岩手の研修旅行にでかけました。お店を運営する、「風'' s」(名古屋)の土井幸子さん、「ちえのわハウス」(小田原)の和田美恵子さんも加わり、総勢10 名の旅となりました。

◆中尊寺の「ネパリ・バザーロの会」
  6月24日、MAXやまびこは、10 時41分に「一の関」に到着。急ぎ、目的の中尊寺最古のお寺である大長壽院へと向かいました。
 大長壽院の石段を上がったところで目に入ったのが、門の脇にある「ネパリ・バザーロの会」の看板! 住職の奥様である菅原美智子さんが、御釈迦様の生まれたネパールのために何かしたいということで、ネパリ・バザーロのフェアトレードの主旨に賛同し、観光や参詣に訪れる人達に、ネパリの商品を紹介、販売しています。出迎えてくれた菅原さんは藍染めの服がよくお似合いの笑顔のすてきな方でした。
 品物は、本堂右脇の畳のお部屋に展示され、商品がとても美しく、見易くディスプレイされていて、皆ビックリ。障子を通った光が、馴染みの品物達を一層温かみのあるものに映し出していました。ネパリの商品が日本のお寺にしっくり溶けこんでいるのが、不思議なような、でも同じアジアのものだから自然なのかとも…。

◆中尊寺とネパールの関係
 菅原さんにとって「バザー」を始めるきっかけとなる出会いがありました。青年海外協力隊員でネパールに赴任されていたお嬢様を訪ねられた時、コットンクラフトのサラダさんバッグを記念に買われたのです。そしておととしの秋、たまたま花巻でのネパリのイベントに参加され、春代さんと、バッグの生みの親であるサラダさんに出会い、強い動機付けとなりました。
 ネパールの女性が自立の為に心をこめて品物を作っていることを、たくさんの人達に知らせたい、生活が少しでも良くなって欲しいと、この協力を始められたのです。
 中尊寺とネパールの関係を解くキーワードは、お釈迦様とサラダさんバッグだったのですね!

◆花巻のフェアトレードのお店「おいものせなか」
 次の訪問先は、岩手県花巻市にある「おいものせなか」。北上川の流れ、緑の田んぼ、金色の麦畑に目を奪われながら、市街に入り、お店に到着。初めてなのになんだか懐かしい。
 お店の周りに土、石ころがあるからなのでしょうか。入り口の前に植えられた草花も、野の花が自然に…という雰囲気。明るい笑顔で出迎えてくださったのは新田文子さんと子ども達。)気持ちの良い音楽に包まれ、木の温もりいっぱいの店内は、不思議に魅力的な空間でした。

 これが噂の「おいものせなか」なのか!エコロジー&フェアトレードショップというこのお店には、環境とからだに良い、石鹸などのエコグッズや再生紙、豆腐、乳製品などの生の食品やいろんな種類の自然食品が。もちろんネパリを始めフェアトレードの商品もありました。感激したのは、一般の本屋さんにないような、エコロジー、からだ、ジェンダー、子育てに関する本が棚いっぱいあったこと。そして小さな椅子とテーブルのある、陽光が溢れるコーナーにも、子ども向きの本も含む図書が並んでいました。新田さん自身、中学生を頭に4人の子どもさんのママ。ここで子どもを遊ばせながら、子育てや、環境や、いろいろなことを、地元のママさん達と語り合い、様々の活動の拠点としているのです。そしてたくさんの人が、新田さんから元
気をもらっていることでしょう。生活へのこだわり、主張を自分達の生活の中で実践していく、それも自然体で…なんて素晴らしい!

◆宮沢賢治記念館でネパールとの出会い

 その夜は、新田さんご家族と、花巻の山間の大沢温泉に。私達の泊まった自炊部というところは、今も地元の人達が湯治に利用する、鄙びた趣のあるところです。
 夕食は、新田さんが二晩がかりで下ごしらえしてくれたもの。新田さんの号令のもと、私達が焼く、煮る、和える、盛り付ける…と、大変な騒ぎの末、数え切れないほどの素晴らしいご馳走が並びました。そして夜が更けるまで話は尽きず…。
 翌朝、ゆっくりと親睦と思っていたのですが、宮沢賢治記念館へ。途中、さき織りの里を訪ねながら。
 ここで、なんとネパール語の本を発見! 詩人の佐々木幹郎さんとネパール人で国会議員も勤めたことのあるアディアカリさん、そして彼らの友人、宮司、彫刻家、画廊のオーナー、学者、医者、詩人7人と「ヒマラヤ文庫」という名で日本文学を翻訳したものだったのです。
 それは、「銀河鉄道の夜」。でも、ネパールには鉄道がありません。さ〜て、どんな題名にしたのだろう、と興味津々。ネパール語では、「銀河への旅」(直訳で、空のカンジス川への旅)と訳されていました。うまい訳ですね。
 ネパールを通した不思議な縁を感じた旅でもありました。

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