神奈川県立総合高校の国際理解教育とフェアトレード

土屋完二



 昨秋、「教育とフェアトレード」のセミナーを約1ケ月かけて開きました。普段ご協力頂いているお店、高校、大学等11ケ所、行きたい所全てを回ることはできませんでしたが、多くの出会いと成果がありました。
 地球市民かながわプラザでのセミナー当日の朝、プラザで、神奈川県立総合高校の「デイ・キャンプ」という教育プログラムがあり、ネパールの文化紹介とフェアトレードの活動を英語で紹介するという時間を頂き、教育が専門のサパナ・シャルマさん、同プラザ内にあるネパリ・バザーロの直営店、フェアトレードのお店「ベルダ」スタッフのマンディラ・シュレスタと土屋完二の3人で参加させて頂きました。

 そのことがきっかけとなり、ネパールに興味を抱いた生徒達が主体で国際理解を実践するプログラム、チャリティー・コンサートを1月に実施しました。集まったお金での支援として、私達も協力し、勝俣あやさんを含む生徒の代表の方々と何度も話し合いをもちながら、奨学金を効果的に使用する道を探ることになりました。2月には、支援対象の候補に入っている紅茶農園の方を日本に招いたので、直接、話を聞く機会ともなりました。
 勝俣さん達は、昨年のタイの支援先で、彼女達の支援金がどのように使われたか不透明であったことを反省して、かなり慎重でした。一方的に出す形態の奨学金が適切に使われているかは、モニタリングが大切で、なるべく直接的でないと不透明になるからです。

 学校からの支援は、どうしても単年度にならざるを得ない傾向があります。一方で、奨学金は、ある程度継続する必要があります。そこで、私達と協同で支援できるところを前提に支援先を絞ることになりました。
 小さな生産者、生活の厳しい家庭の子ども達で、モニタリングの仕組みができるところとしました。
 私達の基本姿勢はフェアトレードで支援することが前提ですが、でも、今現在の子ども達をいけにえにするわけにはいかない、何かもっとしなくてはと感じていた時、生徒達の情熱で、私達、そして現地の心ある人々を動かし、新たな社会創りが始まりました。

 生徒達の支援先は、同年代との触れ合いも考慮し、遠隔の紅茶農園に外部から働きに来ている生活の厳しい家庭の子どもたちを中心に支援することになりそうです。何度も生徒間では話し合って来ました。
 このプログラムが成功すれば、その農園に関係する子ども達で学校へいけない子は1人もいなくなります。そして、近隣の生活向上への良い刺激にもなることでしょう。
 生徒達自身で、今、まさに、その活動を検討しています。その支援の過程を学ぶこと、その難しさを学ぶことは、とても良いことだと感じています。

 この奨学金と併行して、牛を購入するための貸し付けも農園側の配慮で始まります。それが成功すれば、2年後から収入が入り、この奨学金を少しずつ減らせる見込みです。その分は、中学、高校で中退が多くなる女子のサポートに回せば、識字率を向上させて、家庭で子どもに一番影響がある母親の意識向上に役立ちます。その動きは、今、ここから始まろうとしています。

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