FINEの新しい動き 土屋完二

◆統一フェアトレード基準の動き
 ネパリ・バザーロが属している国際フェアトレード組織IFATでは、他の欧州のフェアトレード組織、 EFTA、NEWS!、FLOと協力しながら、今まで夫々に定めていた基準を統一する話合いをしています。FINEは、FLO、IFAT、NEWS!、EFTAの4つの頭文字で、欧州に事務局がある国際フェアトレード組織ネットワークです。
 現在のIFATが定めている実践規則(Code of Practice)9ケ条を改めて統一した8つの指標からなるフェアトレード基準とするものです。その状況を確認するために3種類のモニタリングがあります。生産から、輸入、販売まで関係する組織が協力しあって、フェアトレードの社会的信用を高め、市場を広げることで、貧困をより減らして豊かな社会を築きたいと願っています。この方式は、最終決定されたものではありません。試用して改善、開発している段階です。

◆フェアトレード・ネットワークの枠組み
 フェアトレードは大きくわけて、2種類の形式にわけられます。フェアトレード団体として、自らその活動を担っている組織です。もうひとつは、一般市場の企業がより参加しやすいように、有機証明のようにフェアトレード商品を用いた製品にフェアトレードマークの表示認可をする組織です。
 前者は、IFAT、NEWS!、EFTA、そして後者がFLOです。FLOの活動は、ラベル表示運動とも言われ、市民の目に触れる機会も多く、わかりやすい運動でもあります。カトリック系の教会組織の中、如何に社会の貧困問題に貢献できるかを考える人々が中心となり発展してきたトランスフェアー運動が背景にあるので、イタリアではこの動きが目立ちます。また、アメリカでも、このトランスフェアー運動が盛んで、2001年の情報では、スタッフは事務局長を含め8名で、契約は、スターバックスを含む輸入商社、焙煎など、小規模農家から直接買上げしてもらう方式で95社にのぼっています。中間搾取をなくし、直接取引きの橋渡しをするわけです。本部は、ドイツにあります。取り扱い品目は、紅茶、コーヒーを含む農産物に限られています。問題がないわけではありません。大きな企業が、その1%程度の市場をフェアトレード生産者に開放することで企業イメージの向上を図るので、他の部分が蓋されたままになるからです。それは、FLO自体の悩みでもありますが、少しでも従来型の市場形成の中にフェアトレード商品が入り、消費者意識も向上していくので、肯定的意見が多く聞かれます。
 
◆モニタリングの仕組み、自己評価
 農産物の認定などに比べ、ハンディクラフトは、その商品としての寿命が短く、種類も豊富です。FLOの仕組みでは、時間もお金もかかり、小規模生産者を寧ろ締め出すという結果を招きます。
 そこで、自らがフェアトレードのネットワークであるIFATでは、自分たち自身をどのように客観的に評価し、信頼を得るかが課題でした。欧米日に所属するIFATメンバーが、電子メールで情報交換しながら3年前のイタリアのミラノ国際会議でその原案を提出し、そこで、参加団体を10のグループに分けで討議をしました。小さな生産者は数も多く、誰が評価できるのか、ということが一番の課題でした。
 そこから提案されたのが、自己評価の考え方です。ある指標に照らしながらそれを実践している団体自身が、消費者、スタッフ、お店の方の意見も交えて評価をしていく方法です。

◆外部モニタリングの導入
 自己評価は、現在、IFATメンバー全員が実施している事項です。今後は、更に、主なる生産者との相互レビューと、IFAT内にモニタリング委員会を作り、調査と評価をして行くことを考えています。その内の5-10%をFLOを含む外部機関のモニタリング協力を得ることも検討課題です。
 市民の協力を得て、小規模で力の弱い生産者、農民に貢献し、この地球上の貧困という社会不安を少しでも減らしたい。その願いに向けて、真剣に取組んでいます。

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