手漉き紙とフェアトレード
セミナー報告
矢島万知子

 神奈川県立地球市民かながわプラザと共催で、今年もネパールを通して国際理解、国際協力を考えるネパール・デイを9月29日に開催しました。紙の生産者シャンティ・チャダさんをスピーカーに、ネパリ・バザーロ代表の土屋春代が通訳兼コーディネータ役を行いました。午前中は、ロクタ紙を実際に作るワークショップも行われました。
 社会の安全、地球の将来を脅かす一番の難題、それは貧困問題です。改善の有効な手法の一つとして、フェアトレードが注目されています。その活動を進める中で、衝撃的なことがありました。それは、ドイツでは、既に建築家の方々の中にフェアトレード推進の意識が芽生え、積極的に製品を活用しているという事実です。テクノプラン代表取締役の佐藤清さんとの出会いからその事実を知り、日本で既に実践していた女性起業家のエコ・オーガニックハウス代表の荒川瑞代さんとのお付き合いが、ネパリ・バザーロの手漉き紙生産者団体、ネパール・ウーマン
・クラフト代表シャンティ・チャダさんを呼んでの
セミナーとなったのです。そして、地元で同じコンセプトで活動されている、住工房 なお の鈴木直子さんにご相談し、セミナー開催の運びとなりました。安全な住まいづくりは、国際社会の安全確保と密接に結びついています。(編集部)

◆ネパールの グレート・マザー、シャンティ・チャダさん(矢島)

 「またお目にかかれて嬉しいです」と、差し出した私の手をシャンティさんは両手で握り返してくださいました。その手の温かかったこと!
 シャンティさんがネパリ・バザーロのセミナーに参加してくださるのは、1999年の2月以来。私が一昨年暮れ、シャンティさんが代表をなさっているネパール・ウーマン・クラフトを訪ねた時は、ちょうどインドへ出張中でお目にかかることはできませんでした。
 ネパールの女性起業家協会の代表をはじめ、多くの要職に就いていらっしゃるシャンティさんは、今回の来日も5泊6日という凝縮スケジュール。しかも、同じ日程で招待されていたブータンの公式行事はお嬢さんをご自分の代理として派遣、私達のセミナーに参加していただき、その関係の要人からは、日本のセミナーの方がそんなに大切なの?と不思議がられたようです。
 そのようにご活躍のシャンティさんですが、今回のセミナー、懇親会でお話をお聞きした印象は、ずばり、グレート・マザーでした。シャンティさんを深く理解、応援なさっていたお連れ合いを亡くされ、お二人のお嬢さんを育ててこられたお母さんでありますが、それだけではなく、多くの弱い立場の人々に、深い共感をもち、愛情を注いでらっしゃるお母さんのような方なのです。信頼関係を大切にする、地道でも一生懸命努力する人達のことを評価することをこころがけてきたというシャンティさん。バジュラの村でロクタの生産者を育て、彼らがようやくひとり立ちできるようになった時、シャンティさんは、自分の元を離れてロクタをどこへでも売るように勧め、また彼らもシャンティさん以外に売るつもりはないと応えたというお話を聞き、まさにグレート・マザーだと思いました。 
 何にでも鋭いセンスと好奇心をお持ちで、ロクタの壁紙貼りの実演でも、一般の参加者と同じ席で、プロの職人さんの実演に見入っておられましたが、見るだけではおさまらず、こうすれば?と、指示をだされるシーンもありました。
 現場主義というのでしょうか、机の上、頭の中の主義主張ではなく、実際に、人々に共感し、共に考え、行動をしてこられた、その深い愛情と力強さに感動。まさにネパールの偉大なる母です。