グリーンバザールの
ネパール訪問記

 2月初めにあしかけ10日間、ネパールに行ってきました。中学生の頃、読んだ本(タイトルも内容もすっかり忘れているのですが)に出てきた力トマンズのイメージだけが、年をとるにつれ大きくふくらんできていました。ネパリ・バザーロとお付合いするようになって商品を通して、あるいは折りにふれての代表の土屋春代さんやスタツフの話からネパールにより親近感を抱いてきてはいたのですが、カトマンズの雑踏は想像どおりに謎めいていて、ワクワクしどおしでした。あの迷路にまぎれこんで、カトマンズの住人になりたいくらいでした。
 春代さんが仕事をしているところに押しかけたのですが、邪魔をしないようにしながら生産者のところにも同行させていただいたり、ネパリ・バザーロが支援しているチルドレンズホームを訪ねることもできました。小さいながらもフェアトレードショップを商っているので、店で売っている商品がどんな所で、どんな人たちによって、どんな風に作られているのかを実際に見ることは、とても大切なことです。これまでにも商品の背景を伝えるように努めてきましたが、これからはネパールの空気や匂いも、作っている人たちの声や笑顔、あるいは苦悩まで伝わってしまうのではないかとさえ思えます。それぞれの生産者を訪ねるたびに感動したり、驚かされたりしましたから。ミシンかけひとつとってみても、日本のデパートやブティックに並んでいる高価な既製服よりも、よほど丁寧に作られているように思われるサラダさんの工房の洋服たち…それが手織りで草木染めの布なのですから、素敵でないはずがありません。カッティングをしている人、ミシンをかけて洋服を作っている人、気の遠くなるような作業のピンタックのミシンがけをしている人、裂き織りをしている人、それぞれの持ち場で生き生きと幸せそうに働いている女性たち。仕事をしている喜びにあふれていました。それを見ているこちらまで嬉しくなる職場の雰囲気でした。それは、私へ、自分の持ち場である自分の店でこんなふうに元気に働かなければと教えられたことでもありました。と同時にこの洋服をはじめフェアトレードの商品を売る自分の責任を痛いほど感じました。デフレとか、ものが売れにくくなっている日本の状況を理由に赤字経営に甘んじていた自分が恥ずかしくなりました。真剣に仕事しているネパールの人たちと対するということは、オブラートで覆っていた自分がさらけだされることでもありました。それは違う場面でも感じたことでした。
 WEAN(ネパールの女性起業家協会)の役員のなかだちで、小規模で手工芸品を作っている工房が販路を拡大したいということで、春代さんにお供して訪問したときです。そこはたぶんカトマンズの中心から少し離れた所で普通の民家でした。その一室が仕事場で、もう一室にスチール製の棚がひとつあり、商品が並べてあったのですが、お世辞にも魅力的なものはありませんでした。その中から2、3点を買い求め、「次に来るときまでに何ができるか考えてきます」という春代さんに「この技術で何ができるというのですか」と問いますと、「サラダさんのところも他のところも初めはみんなこんなところから始まったのよ。ここも仕事をより必要としているのだから」という答えでした。春代さんの10年の長い時間を知らされた思いでした。試作品を重ねて何年かしたら、このたよりない工房もサラダさんのところのように活気のある仕事場になるのでしょう。
 最後に楽しかったことを。ホームスパイスのシターラさんのお宅を訪問したときのことです。おいしいカレー料理をごちそうになった後、結婚式に着たという金糸が惜しげなく使われたサリーを見せていただいて、その美しさに溜め息をついていたら、「着てみますか」というお言葉。憧れのサリーを、それも結婚衣装を着せてもらいました。私には初めての結婚衣装でした。