フェアトレードのお店紹介 (vol.34)

●埼玉県

草木からの無限の贈り物一枚の布を染め上げる
工房艸(そう)

古き良き大正時代を思わせる大正浪漫通りを歩いていると、風になびいている、自然のやさしい色合いのスカーフが目に入ります。「工房艸」の店主の原澤博子さんが自宅で育てた藍の生葉で染めた淡い水色に、さらに柿渋を何度も染め重ねた美しい色合いのスカーフが、お日様の光と共に少しずつ、少しずつ、色を深めています。
 店内は、心の琴線に触れる素晴らしい色の宝庫。惚れ込んだ作家の服や自身で染めたスカーフ、ネパリの衣類やアイピローが並んでいます。「これは5年もの。これは8年ものよ」と、原澤さんが、一つひとつ我が子のように手にとって教えてくれます。染めては寝かし、染めては寝かし、何年もかけて少しずつ色を重ねていくのだそうです。ネパリの服にも柿渋を染め重ねたり、挿し色のストールをセットにしたりして紹介しています。一枚の服を大切に、長く楽しんで着て頂きたいので、染め替えもしています。ネパリも染め替えやリメイクをしているので、その物作りの姿勢に共感しています。以前70代の方が、「レース織ハイウエストギャザーブラウス・青緑」を購入され、1年目はそのまま着て、2年目は茜と柿渋でまだらに染め重ね、3年目は無地にしてとリクエストをされたそうです。一枚の服が、「工房艸」を通して、お客様や原澤さんと共に生きています。「自然の力はすごいと気付かされます。手間はかかりますが、モノが使い手と共に変化し、素敵な物語を作っていきます。最近は安い商品が溢れていますが、モノの後ろにあるストーリー『タグエピソード』を大切にして、伝えていきたいです」と語る原澤さんは、毎朝5時から、冬でも7時から、自宅で染めの仕事をスタートします。その後、店に出て接客をしながら布を織っています。長年幼稚園の先生として働いていましたが、定年を目前に退職後、チャレンジドショップへの応募をきっかけに、お店を開くことになりました。フェアトレードのことは以前から知っていて、行商のように商品をバザーなどで販売していました。何か突き動かされる想いがあり、日本全国、海外からも旅行者が訪れる川越で、7年前に草木染めのお店を始めるときも、ぜひフェアトレードのことを多くの人に伝えたいという想いで商品を置くことにしました。
 「布を草木で染め、身につけること。そこには先人の知恵に依る深い意味がありました」と原澤さんは穏やかに語ります。店内は自然の美しい色に囲まれて、とても温かい空間です。
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店主:原澤博子
〒350-0006 埼玉県川越市連雀町16-8
Tel&Fax:049-225-5358
Open:11:00~18:00(定休日:月・金曜)
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●埼玉県
時おり不思議空間に変貌する喫茶店
ほっとスペース包(ぱお)

「ほっとスペース包」は、新座市の住宅街で運営しているコミュニティスペースです。取材に訪れた日、店内はネパリのコーヒーを淹れる柔らかな香りに満ち、たくさんの人で賑わっていました。
 代表の泉山由紀さんは以前、近くの堀ノ内病院で16年間に渡って、障がいのある人と健常者が一緒に働く売店を共同運営していました。病院の事情でその売店を閉めることになったとき、そうした障がいのある人と健常者が共に関わる場を地域に作ろうと、有志20名ほどで約一年半の準備期間を経てオープンさせました。泉山さんは新座を「自分と周囲のつながりが見えている地域」だと言います。それを活かして新座市に住む様々な人々が集い楽しい時間を共有することのできる場作りをしています。
 「名前は代表ですけど、みんなのお店ですし、みんなの場所なんです」オープンから約5年間、30人近い登録メンバーがボランティアで維持してきました。笑い声が溢れる店内に集う方々はほとんどが顔見知り。障がいの有無に関わらず、地域の人たちにも参加してもらおうとアイディアを出し合い企画しています。
 「フェアトレード製品を置くことで、地域に住む健常者と障がい者という枠を越えて、世界の誰かとつながれるように感じています」と話す泉山さん。「ネパリの商品は、フェアトレード製品を扱おうと考えたときに真っ先に思いつきました。自分がネパリの商品をプレゼントでもらったときの温もりがとても心に残っていたんです。リスのキャンドルと手編みのミトン。贈ってくれた友人の気持ちがそのまま形になっていたようでした」自由に活動できるように補助金や助成金には頼らず、ネパリを始めとしたフェアトレード商品や、地域の方々の手作り品を販売して得た収益がスペースの運営に充てられています。「ほっとスペース包」は、新座に住む人が繋がり、助け合う、自立したコミュニティ作りを目指しています。
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代表:泉山由紀
〒352-0033 埼玉県新座市石神2-4-8石神マーケット1F
Tel&Fax:048-483-2280
Open:10:30~17:00(定休日:日曜、祝日)
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●茨城県
人ともの、人と人とのつながりが楽しみ
フレンズ

東京・秋葉原から「つくばエクスプレス」でわずか45分。筑波大学キャンパスから約5分のところに「フレンズ」はあります。緑が多く、静かで気持ちのよい街並みです。
 「ゆっくり、ゆっくり」という気持ちを込めた、かたつむりの看板が入り口の目印。階段を上がると、衣類、雑貨、アクセサリー、食品、生活雑貨、ベビー用品などたくさんの商品が並ぶ店内が目に入り、心が躍ります。焦る気持ちを抑えつつ、靴を脱いで上がると、そこはまるで宝探しのような素敵な空間です。ショートヘアに大振りのアクセサリーとラップパンツがよくお似合いの店主、関口友美さんとお客様の楽しそうな会話にも耳を奪われます。商品を手にして、友美さんから溢れるように言葉が出てきます。使い方、着こなし方、作っている人のこと…聞いていると、モノがより一層キラキラと輝いて見えてきます。
 友美さんがお店を始められたのは5年前。それまで飲食店を営んでいたのですが、ある時ふと思い立ち、約2ヶ月で開店に至りました。「今が一番幸せ!ネパリの商品は、箱を開けるのが楽しくって!手書きのメッセージと共に届く商品たちは、一つひとつ大切に扱われていることが伝わってきます」と楽しそうに語ります。筑波大学の環境サークル「エコレンジャー」で活動し、卒業後もお店に来ている市橋あいさん、加倉井佑一さん、山浦愛さんをはじめ、想いある若者がお店に集います。「ここに来ると誰かに会えたり、話ができて楽しいです」と語るあいさん。買い物を楽しむだけでなく、お客様に商品の説明をしたり、友美さんとの会話に励まされたりと、生き方を模索する学生たちにとっても大切な場になっているようです。
 「これからの未来を担っていく学生たちに、フェアトレードを『広めること』が友美さんの使命」と、夫のひろしさん(紙布の服を愛用しています)はいつも応援してくれています。昨今の「フェアトレード」の広まり方に疑問を感じることもある中で、ネパリの「最後の一枚まで大切に売り切る」という姿勢は、友美さんの心の支えになっているそうです。
 商品を通して、私たち一人ひとりがつながること。そこから全てが始まると感じるお店です。
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店主:関口友美
〒305-0005 茨城県つくば市天久保1-6-1ヤマキビル2階(松見公園前)
Tel&Fax:029-852-1700
Open:12:00~17:00(定休日:日・月曜、祝日)
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●埼玉県
人の手が作りだすぬくもりを伝えるお店
おばあちゃんの店

東武東上線柳瀬川駅から徒歩10分。静かな住宅街に佇む「おばあちゃんの店」に足を踏み入れると、明るい笑顔が印象的な店主の田中香代子さんが出迎えてくれます。
 田中さんは20代の頃、青年海外協力隊員としてセネガルに二年ほど赴任。多額の予算が注ぎ込まれるプロジェクトは数多く立案されるものの、成果が見えない現地の状況に矛盾を感じ、もっと着実な方法で社会に貢献できないかと考えるようになりました。帰国後、西アフリカ諸国の貧困と家族の病気の経験から、「食べること」「自分たちで作ること」の大切さを実感し、身近な生活を少しずつ変えていくことから始めようと2003年「おばあちゃんの店」をオープン。ユニークな店名は祖母が以前営んでいた駄菓子屋のような、地域に密着した店にしたいと考えたからだそうです。店内には新鮮な有機野菜が並び、加工食品、発酵食品などの自然食品や、地球と人に優しい洗剤や天然原料の化粧品などの生活用品、天然素材のフェアトレード商品を多数取り扱っています。
 きちんとしたものを食べるということは、食べる人の身体だけでなく、心も育むとても大切なこと。様々な物が溢れる世の中で「せめてこのお店の物はお客様の心身の健康にとって自信をもって良いといえるものを置いておきたい」と考える田中さん。
 そんな思いのこもったこだわりの商品の中にネパリ・バザーロの食品や衣類も置かれています。「ネパリの商品には手仕事の良さを感じて仕入れています。手仕事が社会や生活から失われている今、多くの人の手を経て作られた洋服の着心地の良さをとおしてその大切さを知って欲しい」ネパリの柿渋の洋服を何度も染めて着てもらおうと柿渋の染料も揃えています。
 住宅街を歩いているとふらりと立ち寄りたくなるような明るい佇まいの「おばあちゃんの店」そこに置いてある商品の良さを通して、心と身体に何が大切かを体感できるはずです。
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店主:田中香代子 〒353-0005 埼玉県志木市幸町3-23-10
Tel&Fax:048-476-4855
Open:10:00〜18:00(定休日:土曜)
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●埼玉県
天然素材&フェアトレードの雑貨・衣料
to-9(トーク)

 JR武蔵野線南越谷駅または東武伊勢崎線新越谷駅から徒歩3分。大型スーパーに近い商店街に「to-9」があります。通りの可愛い看板にひかれて階段を上ると、佐藤奈穂子さん手作りのアクセサリーやフェルト小物がお出迎え。大きな窓から柔らかな日が差し込む一角には、佐藤耕輔さんお気に入りの多肉植物の可愛い鉢植えが並びます。ゆったりとしたスペースの真ん中に置かれた水槽では、大きな金魚がゆらゆらと泳ぎ、取り囲むように衣類、雑貨、食品が並んでいます。
 奈穂子さん、耕輔さんご夫妻は、2005年にそれぞれ仕事を退職して1年間のアジアの旅に出ました。出会った人たちから「日本人でラッキーだ。自分たちには外国の旅なんてできない」と屈託のない笑顔で言われ、「日本人であること」を意識させられました。旅が終わりに近づき、これからもアジアとつながり、少しでも役に立ちたいと考えた末、アジアの雑貨を販売しようと、帰国後準備を重ね、2008年5月に店をオープンしました。
 フェアトレード商品との出会いは、ネパリが最初でした。ネパールを旅した時に土産物屋で見た雑貨をそのままで日本で販売することは難しいと感じましたが、ネパリは、ネパールと日本それぞれの良さを引き出していると感じています。ずっとネパリの紅茶を愛飲していますが、時々他の紅茶を飲むと「やっぱりネパリの紅茶がおいしい」と再認識するそうです。お店では、クッキーやサヌ・バイさんのスプーンも人気です。
 仕入れる商品は、できるだけフェアトレードのものをと心がけています。「この店がなくなったら生産者の仕事が減ってしまう。自分たちの店がネパリや生産者と直接つながっているのだと思うと、やる気が湧いてきます(奈穂子さん)」「より安いものを選ぶ時代ですが、想いを共感できる人はまだまだ増えていくと思います(耕輔さん)」フェアトレード商品を置くようになって、お客様との輪が広がりリピーターも増え、お二人の想いはさらに強くなりました。
 お友達へのプレゼント、自分へのご褒美を探しに、ぜひお店を訪ねてみてください。
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店主:佐藤耕輔、佐藤奈穂子
埼玉県越谷市南越谷1-13-8 大菊ビル2階
Tel&Fax:048-986-7990 Open:11:00~19:30(定休:水曜)
http://to-9.ocnk.net
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●埼玉県
昔ながらの食材とフェアトレードのお店
かぎろひ

JR宇都宮線東大宮駅近くにある「かぎろひ」はこだわりの食材を中心に、フェアトレードの雑貨などが並ぶぬくもりのあるお店です。店主の萩原和人さんは、もともとはコックをしていました。自然食品店で働く妻のやす子さんから話を聞き、自分たちの食卓に並ぶようになると、自分が仕事で使っている化学調味料や着色料の入った食材が気になり始めました。知ってしまったからには、自分にも、周りの人にも嘘をつきたくない、と思っていた矢先、その自然食品店からお声がかかり、妻にも勧められて転職しました。
その店で、一緒に働くスタッフからフェアトレードの話を聞きました。当たり前のことなのに、世の中では違う考え方の方が主流であることに気づき、もっと広めたいとフェアトレード商品を扱うことにしました。
ほどなくして働いていたお店が閉じられることになり、次の仕事をどうしようかと考えていたときに、お客様から「閉められては困る。あなたがやって」と請われ、すぐ近くの今の店舗で独立して「かぎろひ」を開店しました。
自分のお店になり、以前から気になっていたネパリの商品も置けるようになりました。ネパリは、ネパールに限定してこれだけ品質の良い商品をそろえ、素晴らしいカタログを出していて驚かされます。
国対国でなくても、国内にもアンフェアはあります。生鮮品や小物はできるだけ直接仕入れるように心がけています。農家さんから話を聞くと、大手企業との付き合いの大変さが伝わってきます。国外、国内に関係なく、当たり前のことが当たり前に通る世の中になって欲しいと願っています。
「フェアトレードや農業の実情を知ること、学ぶことも大切ですが、買うより前に、まず自分で作ってみることを勧めています。体験してみれば実感として理解ができます。自分で苦労して作ったものは納得のいく対価が欲しいし、どうして店でこんなに安く売っているのかと疑問に感じ、搾取する気にはなれないはずです」と語る萩原さんは、野菜の種を販売したり、空いている畑があると紹介もしているそうです。
毎年夏には、「ジリミリ」というイベントを開催しています。自分が知り合った同じ想いを共有するお店や農家さんが一つの輪になって地域を盛り上げています。
イベントの開催や近隣のすてきなお店の情報も満載で、地域のつながりを感じるすてきなお店です。
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店主:萩原和人
〒337-0051埼玉県さいたま市見沼区東大宮5-33-6
TEL/FAX:048-686-8838 Open:10:00〜19:00 
(定休:月曜 ※お盆・正月・GWにも定休日有り)
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