ネパリ・バザーロ 活動紹介~早川幸子さん (vol.36)

早川幸子(はやかわゆきこ)
1968年、千葉県生まれ。編集プロダクション勤務を経て、1999年からフリーライターに。社会保障や医療、身の回りのお金に関する記事を週刊誌、月刊誌などに寄稿している。2008年から「日本の医療を守る市民の会」を共同主宰。2009年から「チョコ大使」に就任し、バレンタインにフェアトレードのチョコレートを広めている。ネパリ・バザーロとは5年前に出会って以来、洋服やスパイスを愛用するとともに活動に参加している。

「笑顔の裏にある被災者の悲しみに心を寄り添わせ、痛みを分かち合う」 
文:早川幸子(フリーライター)

 5月28日。ネパリ・バザーロのボランティアに参加した私は、東日本大震災で被害を受けた宮城県・石巻の沿岸部を車で走っていました。私の目に飛び込んできたのは、柱と屋根だけがかろうじて残った家、ぺしゃんこに潰れた車。そして地震が起きた2時46分を指したまま止まった小学校の時計。そこで暮らしていた人たちの大切なものをさらっていった津波のあとに、わずかに残されたものでした。生涯、私はあの光景を忘れることはできないと思います。

誰でも笑顔にしてしまう ネパリ・バザーロの魔法
 ネパリ・バザーロの大ファンになって5年目。今回の地震を受けてネパリが被災地支援を始めたことを知り、わずかですが支援金集めのお手伝いや東鳴子温泉ツアーの調理ボランティアをさせていただいています。温泉ツアーでは被災者の方に東鳴子温泉の湯めぐりを楽しんでいただき、手作りの昼食でおもてなしをします。第3回目となった8月21日は、スイカ割りやビンゴゲームもあって大盛り上がり。帰りのバスに乗り込む頃には、被災者の皆さんもすっかりリラックスした表情になって石巻に戻っていかれました。出会った人を誰でも笑顔にしてしまうのは、ネパリの魔法なのかもしれません。
 一緒に食事をした被災者の女性も、私たちが作ったお料理を「おいしがったぁ」と褒めてくれて、「温泉さ来るの楽しみにしていたんだよぉ」と、とても喜んでくれました。でも、よくよくお話を聞いてみると、今回の津波でご主人を亡くされ、家も流され、今はアパートでひとり暮らしをされているとか。被災者の方は笑顔の裏にどれだけの悲しみをかかえて暮らしているのと思うと胸が締め付けられる思いがします。

まだまだ求められる ニーズに沿った被災地支援
 今回の震災は福島第一原子力発電所の事故の影響もあってか、被災された東北の人たちが忘れられた存在になっているようで心配になります。たしかに震災直後の「水もない、食べ物もない」といった極限状態からは脱したでしょう。でも、7月末に春代さんに同行した陸前高田の町は、ようやく仮設スーパーができたばかりでした。障がい者施設「すずらんとかたつむり」の武田景子さんが「ホチキスひとつ手に入れるにも、どこに行けばいいのか分からなくて途方にくれる」というように、まだまだ足りないものだらけというのが実情だと思います。
 国や行政の支援はすべての人に公平であろうとするあまり、目の前で困っている人に救いの手を差し伸べられないことがあります。「ボランティアは足りている」「物資は余っている」という報道もありますが、行政ができない隙間を埋めるネパリのきめ細かい支援は、今後ますます必要になると思います。
 津波で愛する人や思い出の詰まった家を失ったた人にはどんな言葉も慰めにはならないかもしれません。でも、その痛みを想像し、少しでも分かちあうために、これからもネパリのボランティアに参加したいと思っています。

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