京都の二条城の近く、観光名所にも程近い立地に「あすいろ」はあります。場所柄、外国のお客様も多く、ネパリ・バザーロの洋服はヨーロッパの方に特に受けが良いそうです。「よほど気に入って一生着られるものでないと買わない、という人も多いヨーロッパの方が買ってくださるというのは、本当に手仕事の良さを理解していただいているのだと思います」と語る店主の増田弓さん。ギャラリーとして作家さんの作品も並ぶ店内で、フェアトレード商品も豊かな人が助けなければ、というのではなく手仕事の良さで売っていきたいそうです。「売れるに越したことはないけれど、ものを買うことの、その先にある感覚を大切にしてほしい。誰かが劣っているとか、上下関係でなく、フェアトレードが付録のようになればいい」と、日本でも手仕事の誇りが失われようとしている今、手織り、手編みなどの良さをお客様にじっくりと説明して販売しています。ネパリ・バザーロのヤクのカーディガンを買ってくださったお客様が着心地の良さを周りに広め、そのお友達も買ってくださったりと、人とものが出会い、人と人がつながり、それがまた新しい出会いへとつながっていく、そんな場所になっています。
ハーブの持つ良い香りや効能にはまり、2000年4月から自宅でハーブ教室を開いていた深尾明美さん。おつれあいが早期退職し社会人大学院へ通うにあたり、ハーブ教室だけでなく本格的に仕事をと考え、地域のいろんな人たちが集まる場を作りたい、と自宅を改造して2003年12月に現在のようなギャラリーカフェを始めました。フランス語で「いろいろ混ざって植えられている菜園」という意味の「ポタジェ」と名付けました。閑静な住宅街にあるお店は、作家さんの焼き物や雑貨、フェアトレード商品が並び、奥の中庭ではたくさんの種類のハーブを栽培しています。「今の世の中のスピードだと、他人とのつながりが車と車がすれ違うような感じ。もっとゆっくり人とつながって、豊かなバランスのとれた社会を考える場を提供したい」と深尾さん。友人を通して知ったネパリ・バザーロの商品は、作り手の顔が見え、安全な材料と手作りの良さが、お客様に支持されているそうです。店内にはハーブの良い香りが漂い、街の喧騒とはまったく逆の安らぎの時間が流れます。真ん中にある大きなテーブルで、ゆっくりとネパールコーヒーも楽しめます。奥には畳の間があり、作品や商品を並べたり、ワークショップもできます。月に一度「名画を鑑賞する会」を開き、地域の人が集う場になっています。人と人がつながっていく輪の中で、ハーブの良さと共にフェアトレードも広めたいと考えています。
店主の橋本和代さんは元公務員で、福祉関係の部署で働いていた時、定期的に製品を売りに来る作業所との買ってあげる、買ってもらうという関係は、障害者の自立を助けるものではない、と常々思っていました。また、参加していた海外の子どもの教育支援組織の地域支援・地域自立という考え方から発展してフェアトレードと出会いました。早期退職をきっかけに、まだまだ人目につくことの少ないフェアトレードや作業所の商品を広めたいと2005年5月、お店を開きました。店内はネパリ・バザーロ(以下ネパリ)などのフェアトレード商品と作業所の商品が半々の割合で並んでいます。手作りが大好きというお客様が多いので、丁寧な仕事振りのネパリの商品は喜ばれます。作業所の商品も、手作りの良さが出ていて、これなら買いたい、と思う商品を橋本さん自らが厳選されています。
お客様から大量のご注文を受けて作業所に発注しても、できるできないの連絡もなかったりということに、何でこのチャンスをつかまないの?と歯がゆい思いをすることも多かったそうですが、最近は、やり取りもスムーズになってきたそうです。お話を聞いていて、ネパールの生産者と似ているなぁと思うところが多々あり、橋本さんは日本国内でネパリと同じようにフェアトレードをされているかのようです。フェアトレードはお店の前面に出ていなくても、ネパリの目指す一人ひとりの自立や手作りの良さを大切にするというところで、想いがつながっているお店です。