石巻訪問で感じたこと(その3)

 今回の訪問は、ネパリ5回目、私は2回目となりました。Sさんでは、たくさんの方が私たちの到着を待っていてくださいました。今回は50セット!箱が100個に、お米、コンロ、ボンベが50個です。車が2台着くなり、バケツリレーが始まりました。距離はあまりないところに、たくさんの人がいるので、全く動かず、体を回転させるだけで次の人にバトンタッチ。効率がいいのか悪いのか、分かりませんでしたが、何か皆でワイワイととても楽しかったです。「米だと思うと、とっても軽いねぇ」あきたこまちの米袋を見て、「ほらぁ、秋田の人たちも応援してくれているよ。有難いねぇ」「これだけセットするのも大変だったよねぇ」その時、隣にいた方が、「私メールとか苦手だから、お手紙書いたのよ。」とおっしゃられました。「あなたのことも、写真で見たから知ってるよ。本当に、皆さんの笑顔が印象的で」
先日MLでもご紹介した、お母様を津波で亡くされ、パートナーの方が復興作業のアルバイトをされていて、いつもおにぎりをお昼に食べられるので、焼き海苔がとても嬉しかったとお手紙をくださったAbさんでした。「本当に嬉しかったの」と何度もおっしゃられ、私はいろんな想いが交差して、すぐに言葉が見つからず、頷くことしかできませんでした。もっとゆっくり話せたらなぁ、こういえば良かったなぁ、ああ言えば良かったかなぁ、何て後になっていろいろ思いましたがその時は本当に言葉が出ませんでした。その後、奥様を津波で亡くされた男性の方が、奥様の最期を語ってくださいました。好きな仕事をして、最高の人生だった、幸せだったと、何度も何度もご自分に言い聞かせるように、言葉を詰まらせながらおっしゃっていました。「津波ヤロウ・・・」この言葉は私もとてもショックでした。辛い気持ちが言葉になるまで、どれだけ大変だっただろうかと思いました。話を聞きながら、涙が止まりませんでした。せめて私にできることは、元気を届けることだから、笑顔でいよう、泣いたらだめだ・・・と思えば思うほど涙が止まらなくなってしまったので、無理はやめて、余計なことを考えないで、素直に心で聴こう、気持ちを共有しようと思いました。本当に悲しかったです。
 ニュースで流れる死者・行方不明者の数からは、想像もしきれない悲しい辛い、壮絶な経験が、その何倍も何十倍もあるのだと思いました。でも、最後はその男性の方、「私には振り乱す髪もないからね」と皆に冗談を言っていて、本当に辛い経験をされた方とは思えない思いやりのある、優しくあったかい気持ちを感じました。
 布団セット50組は、支払いを済ませ、取りに行って頂くことにしました。そのことをお伝えすると、皆さんとっても喜ばれていました。布団の喜び方は、格別です。その表情を見て、すぐにでも次の分の予約をしたい!!と思いました。震災からもう2ヶ月近く経つのに、基本的な生活セットがここまで喜ばれるなんて、物はあるのに、たくさんの義援金もあるのに、必要な人には届いていない現状が、とても悔しいです。
 その後は、Kさんと、芸術家のMさんのご案内で、北上町にあるSさんのご実家に行きました。どちらも、全壊地域で、居住禁止区域にされていました。川が海にちょうど合流するあたりでした。これだけの被害をもたらした海とは思えないほど、ゆったりと、穏やかな海でした。ちょうど車を降りたとき、目の前に虹がかかっていました。本当にきれいでした。でも、耳を澄ますと、波が堤防に当たる音が津波を思わせ少し怖くなりました。「津波がくるまでは、ここは自慢だったの。」目の前が海で、本当にきれいで、きっと自然と共に豊かな暮らしをされていたんだろうなと思いました。この辺りの整備は後回しにされているのか、まだまだ瓦礫の山で整備されていない状況でした。そして、たくさん虫が飛んでいました。気がついたら私も刺されていたようで、かなり赤くはれています。海水に浸かった布団もありました。触ると、まだぐっしょり湿っていました。これを乾かして寝ている方々がいるなんて・・・一瞬で変わり果てた、自分がずっと愛して暮らしていた地・・・どんなに悲しく辛いことだろうと思いました。
 Kさんは明るく振舞われていて、皆でKさん宅があった場所、土台だけの玄関におじゃまして写真を撮りました。「何か今日は楽しいねぇ。ピクニックにきたみたい」と車の中でもおっしゃっていました。ここまで気持ちを持っていくまで、どれだけ大変だっただろう・・・今でも辛い気持ちを何とか抑えながら、きっと前に進もうと頑張っていらっしゃるんだろうなと思いました。「自分が動いていれば、きっと環境がついてくるから」「人っていう字は、支えあって成り立っているんだよね。本当に、皆に助けられて、感謝です」 
 帰りの車の中でも、細い道に、復興作業をしている車が止まっていて狭くて通りにくかったのですが、「こんな時間まで復興作業してくれていて、有難いね。」「復興作業の皆さん、ありがとう!」 ペコリ「自衛隊さん、ありがとう!」 ペコリ と、皆でお礼を言いながら、側を通りました。お父さんを亡くされた大学生の女性の方も家を見に来ていました。Kさんが、「お母さんがいるから大丈夫、頑張って。たくさん帰ってきてね」と何度も何度も声をかけられていました。涙が止まらなくって、見ることができませんでした。人間の心は本当に複雑で、きれいごとでは済まされない部分もたくさんあって、でも人と人のつながり、感謝する気持ち、思いやり・・・かけがえのない大切なものもそこにはあって、言葉にならないいろんなことを感じました。

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