今年の(1997年)1月、ざっくりとした厚地の綿ジャケットを見つけた。手織り布、特に厚地は裁断や縫製が難しい。それをあまり手を加えず、かえってシンプルに仕上げたジャケットは、素材の良さを生かしたおしゃれな製品に仕上がっていた。何色かある中で好きなグレーを選び着てみると、そのデザインの合理性にますます感心した。サンプルとして一着購入し持ちかえった。スタッフや協力者の評判も良く、仕入れはすぐに決まった。


WSDPPの歴史

 生産団体のWSDPPはネパールのフェアトレードグループ(FTGN)の一つなので、以前から興味を持っていた。この機会に訪ねてみようと今回9月にポカラに向かった。いつも車で行くポカラに始めて飛行機で行った。30分でついてしまい、悪路を8時間もがたがたバスに揺られ,腰や背中を痛くしながらついていたのがうそのようだ。なんと楽だろう。ネパールは電車がなく、山また山で道路網の発展も難しく,移動の手段としては飛行機が比較的発達している。臆病な私は古く小さい飛行機に乗るのは、最初とても抵抗があったのだが。

    ポカラ・ペワ湖畔からマチャプチャレを臨む


 着いた日はもう閉まっていたため、翌日訪問した。電話で連絡してあったので、代表のラムカリさんはニコニコと出迎えてくれた。
 
 お茶をいただきながらまずプロジェクトの歴史をうかがった。8年くらい前、ラムカリさん達数人の女性は手織りの技術指導を受けた。7mくらいに整経して端を腰に巻きつけ、最大40センチほどの布幅を輪に織り上げる”いざり織り”と言われる織りの訓練だった。しかしマスターしてもその後の道は無く、皆途方にくれた。訓練だけではどうにもならない。せっかく技術を身につけても仕事が無ければ。欲しいのは仕事、現金収入。
 そこに、ポカラ地域開発センターから設立資金をサポートしてくれると言う話があった。ラムカリさん達4人の女性は10,000ルピーの援助を受けてプロジェクトをスタートさせた。「最初は糸を買うのがやっと。染められず生成だけで織っていました。2年目にやっと黒だけ染められるようになったの。」とラムカリさんは懐かしそうに微笑んだ。布の見本帳を見せてもらうと、今では何十色という色でバラエティ豊かに織られている。わずか数年でここまでにしたこの女性はどういう人かと驚いた。

 今日は食べては行けない日なので・・・と何も口にせず、目の前でクッキーを食べ、お茶を飲んでいる私をニコニコと見守る彼女は穏やかで優しい人という印象だ。

    いつも笑顔のラムカリさん


   イギリスからのボランティアによる品質管理指導

 外へ出て工房や庭を見て歩きながら、続きを伺った。土地は地域開発センターから、建物はユニセフからの支援だが、ミシンや機(はた)等の道具は毎年の利益から積み立てて増やしてきた。現在では5台のミシンと2台のかくせり機(糸を巻き取りそろえる道具)、4台づつの機(はた)と整経台(せいけいだい・縦糸を組む台)がある。堅実な歴史が伝わる。壁に品質管理上の注意やアイテムごとの説明がわかりやすく紙に貼ってある。2年目から4年間、2人の女性がイギリスのボランティアセンターから派遣された。デザイン、品質管理やマネージメント等、システム構築に大きな貢献をしたことがわかる。
 
 現在働く32人の女性たちの写真も貼ってある。最年少17歳のシータさんから最年長のウサさん66歳まで。特にウサさんのこぼれるような笑顔にひきつけられた。しかし、この日は祭りと休日が続いて3連休で誰もいなかった。
 
 残念そうに工房を見て回る私にラムカリさんは、「何人かに連絡をとって明日来てもらいます。」と言ってくださった。せっかくの休日を申し訳ないと思いつつも、「本当ですか。」とうれしそうな声をだしてしまった。ラムカリさんはにっこりとうなずいた。



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