明解な運営・にぎやかな仕事場
 
    いざり織り

次の朝10時頃行くと、女性が一人機を織っていた。座布団の上に足を投げ出す座り方で、輪にした経糸(たていとのこと)に通した棒を腰に紐で固定し緯糸(よこいとのこと)を通しては、平板でトントンと叩く。お中から40センチくらい織って手が遠くなると経糸をぐるっとまわしてまたお腹のあたりから織っていく。6.5メートルくらい織り上げて経糸が20センチくらいしか残らなくなると一反が終わる。のこった経糸の真ん中を切って丁寧に畳んでいく。36センチ幅で入ったん織るのに3日かかる。見ていて飽きない。


   女性達が持ちこんだ反物をノートに記録していく

 途中でガヤガヤと賑やかになり、4人の女性たちが反物を持って現れた。工房は狭く4人しか織れないので、ほかの女性達は自宅で織り上げ納品し、次の布のために糸をもらっていくのだと言う。一番年長の女性が私のほうを見て、肩がこるし、背中や腰が痛くて大変だと身振り手振りを交えて語る。他の3人の女性もうなづく。ラムカリさんは微笑みながら事務所からノートを持ってきて記帳していく。一人ずつノートがあって、毎月の仕事を記録し、報酬を払う。報酬の決め方は明解で公平だ。聞けばどんな情報でも隠さずオープンにする。その姿勢から仕事への自身と誇りを感じる。検品しながら、一人一人に指示を与える。その間も笑顔を絶やさないがてきぱきとしている。
 
 工房に糸を取りに行くとき、年長の女性がラムカリさんのサリーを引っ張り物陰に連れていった。私もついていこうとしたが、内緒の話があるらしいとわかり引き返した。とんだおじゃまむし。何か耳打ちしている言葉に、首を傾げて聞いていたラムカリさんが、やがておおきくうなずいた。お給料の前借かな・・・と想像した。

 工房にある染め上がった糸の山から、良く色を見て選ぶようにと、実際糸かせと糸かせを比べて細かく注意をしている。糸が決まると、かくせり機でそろえて、整経を始めた。色々な工程を思いがけず見ることが出来て興奮してくる。ラムカリさんも「私もやるわ。見ていてね。」と、整経に加わった。木の台に棒を何本か差して糸をくぐらせていくと、7m弱の輪になった経糸が出来あがるのだ。250本の経糸で36センチ幅の布が織れる。こうして整経までして家に持ち帰る。ただし、端から端まで4mくらい広げられるスペースのある家は少ないので、皆、外で織るそうだ。だから、雨が降ると仕事が出来ない。でも、家事の合間にお茶を飲みながら、おしゃべりをしながら出来て、多い人で月に2,000ルピー以上稼ぐ。農家の副収入として、お母さんたちの仕事としてこれはとても魅力的だ。

 もうすぐ来るダサインの祭り(日本の正月と盆を合わせたようなネパール最大の祭り)について、みなで話をしていた。遠く都会に働きに出ていた身内も戻ってきて賑やかに過ごす。きっとその時に、御馳走を作ったり、小遣いをあげたりするのに、この収入は役立つのだろう。

  外に出て作業をする様子

    
  整経しているところ


ラムカリさんを支えるもの

 話の中に病人の話題も出て、具合はどうかと他の人が心配する。そんな輪の中にいて、ラムカリさんの対応は実に細やかだ。7年間で4人から32人まで増えた女性たちの取りまとめをしてここまでプロジェクトを大きくしてきたこの人の力の所以が少し理解できた。
 夫と3人の息子がいる。長男は休日で自宅兼事務所にいて、お茶のしたく等、母親の手伝いをしていた。夫もよく手伝ってくれると言う。「だって、何もかも見なくてはならなくて大変だから、家族に手伝ってもらわなかったら、やっていけないわ」。
 強くてやさしくて頼りになるラムカリさんはこれからも家族に支えられ、着実にこのプロジェクトを育てていくだろう。




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