ジャナカプールの伝説とミティラアート


再びジャナカプールへ

 タライ(インドとの国境に近い平野部分の総称)の東にジャナカプールという町がある。観光客のほとんど行かないこの小さな町に埋もれていた宝があった。ネパール・インドに昔から語り継がれる一大叙事詩「ラーマーヤナ」の主人公・英雄ラーマと美しく賢い妻シータが結婚したと言われるこの町の女性たちに代々受け継がれてきた原始芸術「ミティラアート」。
 
 昨年の一月以来ひさしぶりにたずねた町は3月の末であったが、さすがに亜熱帯に位置するタライは暑く、日中は半袖で過ごせた。カトマンズから遠く離れた生産者の状況調査を始めたマーケティング専門のNGO、サナ・ハスタカラのマネージャー、チャンドラさんと、人間が大好き、様々な人の暮らしを伝えたいというフリーカメラマン、藤谷清美さんと3人旅であった。



ジャナカプールの伝説とミティラアート

 ネパールがたくさんの小国に分かれていたころ、タライには「Maithili(マイティリ、特に絵画などの芸術をさす場合はミティラと発音)」という王国があった。ジャナクという英明な王が支配していたとき、王女のシータがラムという神様に嫁ぎ大変に栄えた。この頃からジャナカプールと呼ばれるようになったというヒンドゥー教の伝説の町である。王女を奉ったジャナキ寺の祭りには毎年全国からたくさんの参拝者が集まる。その美しいムガール様式の寺は、ネパールというより、インドを連想させる。人々の顔もよく似ている。肌の色の黒い、目の大きなアーリア系の民族の彼らは話す言葉もマイティリ語、女性のサリーの着方もカトマンズと違う。

 カトマンズと大きく違うのは、車の台数。空港に着くと我勝ちに客を乗せようと近づいてくるのはサイクルリキシャだ。町の中心のホテルまで走って10分。その間にすれ違う車は数台で、自転車、バイクが多い。もちろんほとんどの人はひたすら歩く。外国人は珍しいので、ジロジロ見られる。初めてのネパール訪問で、いきなりジャナカプールに連れてこられた藤谷さんは、強烈な印象を持ったようだ。

 リキシャで揺られながら左右の家を眺めると伝統的な土壁の家が目に入る。竹で枠組を作り、わらを混ぜた土で塗り固めてある。白く乾いたその壁に象や鳥、人など、独特なマイティリの絵が描かれている。単純な線で伸びやかにアウトラインを引き、陰影をつけず鮮やかに彩色してゆく。代々母親から娘に伝えられ、神々や動物、結婚式のような華やかな祝い事などを家の外壁や内壁に幸せを願って描いてきた。

 カトマンズに住むジャナカプール出身の知人に聞くと、昔はどの家にも象がいて移動に使った。しかし飼い切れず、今では余程の金持ちの家でないといないという。壁画によく象が描かれているのはその為か。昔は身近な動物だったのだ。






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