出会い
技術を覚えて
力を合わせて
毎年セーターの時期になると頭が痛くなった。重くて嵩張るセーターを何百枚も目の前にして呆然としていた。冬に売るものといえばセーターぐらいしかなかった頃。お客様によく言われたのは、手編で手が込んでいてすごいけど…重いのよね〜、暖かくていいけど…重くなければね〜、いいわね、素敵ね〜でも肩が凝りそう、等など。生産者に軽い糸がないか、軽く作れないかといくら言っても「これで他の国には売れているから」でも日本は軽くなければダメなのよ、「ウールは重い方が上等」そう言ってみたけれど効果なかったわ、「速く編めるから」なるほどね、でも売れなければ在庫が溜まるだけ、来年は仕事が無くなるかもよ。
4年前ウールンガーデンの店先で軽いセーターを見つけた時、あるじゃない、作れるじゃない、と飛び上がるほどうれしかったのだ。
ウールンガーデンはマティナさん(29才)という女性が14年前に始めた。その頃彼女は世界銀行が資金を出してイギリスから専門家を招いて手編技術の講習会を開いた時に指導を受けた。その後仕事として取り組むようになり一緒に指導を受けた近所の女性達にも依頼しながら続け、仕事が増えるに従い兄弟姉妹も手伝い、役所を退職した父親も手伝うようになり発展してきた。今では140人ほどの編み手を抱え店もカトマンズとパタンに2店営業するまでになった。編み手の女性達はそれぞれの家で家事、育児の合間に仕事をし、パタンの店の2階、3階の小さな工場では新しいデザインを指導したり、ウールを染めて糸を配分したり、ボタン付けや仕上げ検品など最終行程をしている。

マティナさん(手前)とワーカーたち
冬が来てセーターを販売している頃、すでに次の冬のセーターをデザインする。
手紡ぎの撚りの粗い糸の風合いが活きるような、根気のいる細かい柄を鮮やかに編む人たちの技術が光るようなデザインを考えなければとプレッシャーが掛かる。機械では出せない味のある手編ならではというセーターをデザインして編む人たちの努力が報われるように、と考える。
街にでて行き交う人々の着ているものを見る、参考になりそうなものを着ている人を見るとついジロジロと見てしまう。後ろに回ったり横から見たりとウロウロする。目つきの悪いヘンなやつ、と思われそうだ。ようやくいくつかの案が浮かぶとデザイン画を描き色を入れていく。1月に出張した時にマティナさんたちと編み方の打合せをする。編み込み模様の色の組み合わせは色番号を指定した表を渡して10センチ四方ぐらいの大きさで15種類前後編んでもらう。ほんの少し色を変えただけで印象がガラッと変わるのでこれはとても重要だ。組み合わせを絞り込んだ後デザインの基本は同じで少しづつ変化させたセーターを5種類ぐらいそれぞれ地色も3、4色変えて編んでもらいスタッフ全員で選ぶ。4月の出張の時最終決定に向け細かい微調整をするがこれは編む人の手間が掛かり一番大変な作業だ。
完成に近付けば近付くほど細かい欠点が見えてくる。もういいか、もう我慢しようかとこちらが気後れしてくる。すると真剣な顔で「言ってください、どんなことでも。良いものを作りましょう。お客様に気に入って頂いてたくさん売れれば私たちの仕事が増えます」と逆に励まされる。これならというものができた時お互いを労う感謝の気持ちで一杯になり連帯感が生まれる。
再び日本に送ってもらい皆で検討して注文数を決める。5月末か6月初めにはその冬の注文をしなければ間に合わない。編む時間はできるだけ余裕を見て考えなければ編み手の人に負担が掛かり、丁寧な良い仕事ができなくなる。女性達にとってこの現金収入は子ども達の教育費やたまに食べるご馳走、家族が病気になった時の治療費等にととても貴重だが、だからと言って家事、育児、数多い祭礼の準備を怠ることは許されない。10月からの祭礼シーズン前に仕事が終わり、収入が得られるようにと時期を計ってオーダーしなければ良い製品はできない。
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