「すずらんとかたつむり」 設立までの道のり(4/12)

陸前高田市にある、昨年9月にスタートした新しい障害者作業所、「すずらんとかたつむり」。現在、椿搾油に向けたプロジェクトを私たちとご一緒に展開中です。
 出会いは、陸前高田市の福祉課の応援で機材を皆様からのご好意で支援したことから始まりました。パソコンも、筆記具もない、ないの状態にあり、その出会いがきっかえでした。このブログでも、度々ご紹介していますが、その経緯を、震災後1年経ってNHKで放映された番組、東日本大震災から1年、この町で暮らしたい、~障害者・地域福祉の復興へ(教育番組2012年3月11日(日)18:00-19:30放送)で知ることができますが、インターネットで常時見ることができません。そこで、以下、その様子を抜粋をしてみました。

 最初に登場するのは、同「すずらんとかたつむり」のスタッフ、吉田さんです。
 大船渡市において10年前より知的障がい児を持つ親20家族で結成した団体、「かたつむり」がその源泉です。お茶会から始まり、それぞれの障害理解や悩みの共有、情報交換を経て子ども達の成長に合わせた活動やイベントを行いながら、震災直前の4年前に古いアパートを借り拠点を設け運営できるまでになっていました。3月11日の災害で跡形もなく流され全てを失ってしまいました。

 自宅前にあった建物は築40年のアパートで、足を踏み入れるにはかなりの勇気が必要なほど朽ちかけていました。蜘蛛の巣をはらい足場を確認しながらの片付け作業、和式トイレを工務店から中古洋式便座をもらい会員のおじいさんが改修、仲間の電気工事屋さんに電気をつけてもらう、もらった畳を敷くなど何年もかけ手入れをしながらようやく作業所と言えるまでになったものでした。

 「かたつむり」とは、かたつむりのようにゆっくりでいいから確実に前に進もう、危ない時は殻で身を守り、進んだ後にはキラキラしたものを残せたらと家族会の皆さんでつけた名前です。

 活動拠点ができるまでは学校、地域、年齢、障害などの枠を持たずお茶会や行事、イベントを主におこない、拠点を構えてからは革細工、畑作業、資源回収、販売等を増やし地域交流を積極的に行い障害理解に努めました。特に資源回収は、高齢者には分別(ラベル取りやダンボールの紐結び)が難しいので助かると喜ばれ、自分達が誰かの役に立っていると思える良い作業でした。(この作業は、現在も引き継がれています)

 住む場所もなく避難所生活や仮設住宅で暮らさなければならない厳しい現実の中、作業所の再開など無理と思いつつも市役所に行き何かしらの支援に該当しないか確認しましたが、行政からの支援はすべて対象外とのことで、望みも絶たれ、もう「解散」するしかないところまで追いやられていました。

 震災から3か月が過ぎた頃、高齢協(岩手県高齢者福祉生活協同組合)「すずらん」のスタッフ、武田さんが吉田さんに連絡し「作業所流されたでしょう…一緒にやりましょう」と声をかける偶然の機会があり、「解散」しか考えていなかった吉田さんには、あまりにも突然すぎて頭の整理が追い付かず直ぐにお返事することができなかったそうです。以前、武田さんが話されていた障害者施設の現状への不安やこれからの施設の在り方、目指す作業所とは、などが吉田さん達の考えと一致していたことを思い出し、その作業所を作ることができればこの地域になかった新しいスタイルの作業所で「かたつむり」の思いと活動も継続できる、何より選ぶ施設が一つ増えることは被災で行き場を失くした障害者やその家族には大きな助けとなるはずと考え、両者の意見が一致「すずらんとかたつむり」は誕生しました。

 1年過ぎた現在の形は、まだまだ問題が無いとは言えず、改善に向けて現在進行系です。これからも、事業を進めながら、その動きをご紹介して参りますので、応援、宜しくお願い致します!

(経緯の多くを、「ゆめごよみだより」55号(2011.11.12)に掲載された吉田さんの記事より引用させて頂き、私が把握している内容と照合、ご紹介しています。)
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