第12号

もくじ

◆通信が変わりました
◆とっても、近くなったネパール!
◆生産者を訪ねて
◆チルドレンズ・ホーム滞在記
◆ネワール族の文化
◆ご寄付ありがとうございました
◆編集後記


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ネパリ・バザーロは、ネパールを中心としたアジア諸国のハンディクラフト製品・食品などの企画・開発を行い、フェアトレードを通じて立場の弱い人々・女性・子どもの自立を支援し、貧困問題の改善に取り組むATO(Alternative Tradeorganization)団体です。ボランティアスタッフ(ベルダレルネーヨ)と共に、子どもたちのホーム支援や教育支援なども行い、教育問題、女性の社会問題、村の問題にも取り組んでいます。 政治的・宗教的所属はなく、活動収入と寄付により運営されています。ライフスタイルに合わせて、あなたの参加をお待ちします。

◆通信が変わりました
通信のタイトルがこれまでの「ベルダレルネーヨ」から「ネパリ・バザーロだより」に変わりました。  フェアトレードや支援活動を通じて、女性の自立や子どもの育成に取り組んできましたが、問題の源である貧困問題を改善するためには「ネパリ・バザーロ」が行ってきたフェアトレードをより積極的にすすめ、ネパールの人々の経済的自立をはかることが第一と考えてのタイトル変更です。  ネパールの状況や私たちの活動をより理解していただくために通信の内容も更に改善していきたいと思います。皆様のご意見・ご感想もお待ちしています。   
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◆とっても、近くなったネパール!
               ほおずき屋 木村和子
ネパリ・バザーロがネパールから輸入しているコーヒー「ヒマラヤン・ワールド」を扱ってくださっている自然食品のお店「ほおずき屋」さん(船橋市)のスタッフやお客様がこの夏ネパールを訪問され、ベルダのメンバーとも合流することができました。旅の様子をレポートしてくださいましたのでご紹介します。 ヒマラヤン・ワールドのふるさと、ネパールへ行ってコーヒーの木に触れてみたい、と思いたって半年、この夏実現しました。そして、木に触れるよりもはるかに確かなコーヒーに関わる人々の思いを、ずっしりと感じてしまった旅になりました。生産者と顔の見える関係を!をコンセプトにやってきたほおずき屋ですが、今回、遠い(と思っていた)ネパールの人たちとの出会いをサポートしてくださったネパリ・バザーロやベルダの皆様に心から感謝したいと思います。
  
  さて、ネパール滞在中、ベルダの早苗さんにバルナムーナの学校や、モーニング・スター・チルドレンズ・ホーム、パタンのサナ・ハスタカラの生産者のファクトリー(この時はサナのチャンドラさんと一緒に)など案内していただき、そのつどベルダの通信に書いてあったことが生き生きとよみがえり、皆様の感動をあらためて具体的に実感させていただきました。私にとって、旅の1日1日がとっても密度の濃いものであり、考えさせられる事や、元気づけられる事が多かったのですが、中でもサンタ・ラマさんにガイドしていただいたパーチカルでのひとときがとても印象深く、この時のことをご紹介します。ネパール入りして5日目、私たち一行(木村、店のスタッフの椛田さん、店のお客でもある小菅さん、サンタさん)は、ギリさんという地元で農業を営んでいる方と一緒に、パーチカルのホーチカルチャー・ファームへ行き、初めて、緑色の実をつけたコーヒーの木を見せていただきました。次に訪ねたのは、このファームからしばらく車で走って着いた、森の中にあるナーサリー(育苗センター)です。それほど広くはないけれど、ここも政府の施設で約250種の木の苗を作っています。ここで待っていてくださったのは、シンさん(32歳)、植林の専門家です。パーチカルのあるカブレ郡(行政地区)の森林事務所のスタッフで、このナーサリーをも担当しているとのこと。このシンさんも、ギリさんと同じくサンタさんのコーヒーのプロジェクトのメンバーで、ナーサリーでコーヒーの苗を作っています。もちろん、農薬や化学肥料は使いません。双葉がやっと土から顔を出したものから10cmくらいに成長したものまで、全部で 1,000〜1,500本のコーヒーの苗になるそうです。いま彼らが当面している問題は、この苗をどのように農家に分配するかということ。政府がらみの他の木の苗は政府から援助金が出るが、コーヒーの苗は別枠で援助がないため有料にせざるをえない。一方でコーヒー栽培に対し販路ができつつあることが知られるようになり、比較的裕福な農家も苗の購入を希望しており、貧しい村の農家に苗をうまく分配するのに果たしてどれぐらいの価格設定をすればよいか・・・。話を聞きながら、一緒に悩んでしまっている私でした。店でも価格設定はいつも悩みの種。

  ナーサリーのそばのあずまやでお茶をいただきながら、シンさん、ギリさん、名前がわからなかったけれどはるばる遠い村から歩いて来たおじさんたちと、サンタさんに通訳してもらいながら、コーヒーの栽培の様子などを伺いました。要約すると、

  * 苗床は森の中の地味豊かな腐葉土を使う。
  * 苗を定植する時はできるだけ深い穴を掘り、肥えている表土でその穴を埋める。
  * そしてその土が軟らかいほど木はしっかり根をはって成長する。
 * 定植後は、木の周りの草を取り、家畜のふんなどで養分を補給する。
  * 害虫が出ても、それを食べる益虫がいる。
  * 幾種類かの木の組み合わせにより虫の被害や病気から守ることができる。

  以上のような内容の彼らの話が、サンタさんの通訳を通して私の耳に飛び込んできますが、木と野菜の違いこそあれ、ほおずき屋の生産者が畑でやっていることとほとんど同じ!感激してしまいました。そのうち、かの遠くから歩いて来たというおじさんが、ある木の苗を持ってきて「この木の葉っぱは身体の血をきれいにする働きがあり、虫歯にも効く。これを畑に植えることにより虫よけになる。」と教えてくれます。ネパール語でニームというその木の英語名を、シンさんが専門書で調べてくれたりしたのですが、ネパールにも、日本と同じように、その土地の生態系に根ざした民間療法や農民の知恵があることがわかり、おもしろいなと感心してしまいます。日本で有機農業をやっている農家は、こんな風にやっているのよと、いくつかの例をあげながら、これは実際に(日本で)農業をやっている人が彼らと話せたらどんなにいいだろうかと思わずにはいられませんでした。
 
 ともあれ、ヒマラヤン・ワールドのコーヒーがオーガニックの明確な意志のもとに栽培されている様子がうかがえ、有意義なひとときを過ごさせていただきました。このパーチカル行きを通して、サンタさんから話していただいた、村の人々の様子や、学校を作ったいきさつ、ヘルスポストの必要性のことなどは、私たちにとってはネパールの現状を知るという意味で、大変参考になりました。そして何よりも、サンタさん自身が、このコーヒーのプロジェクトや、彼の仕事であるトレッキングやツアーのコーディネイトを通じて、村の人々の現金収入の道を作ることができると同時に、いろんな人たちと出会えるという喜びがあるんだというような話を聞いたときには、なんだかむしょうに嬉しかったのを思い出します。私の勝手な思い入れかもしれませんが、お店を続けてきた私自 身の原点のような気がするからです。
 
  まだ始まったばかりのこのコーヒーのプロジェクトは、サンタさんたちの個人の努力に支えられているようですが、彼らの後に続く村の若者たちがもっと増え、生産組合や出荷組合のような体制ができることを願わずにはいられません。そして、私の中で漠然としていたフェア・トレードがとっても具体的に実感できた今回のネパール行きだったと思います。フェア・トレードって、私たちが優位に立って扱ってあげるのではなく、この物流を通して私たちがもしかしたら忘れてしまっていること、失ってしまっているものを彼らとのコミュニケーションを通して獲得していけるのかもしれないと思います。お互いに生き 合う関係ができたら最高ですね。ヒマラヤン・ワールドのパッケージの中にサンタさんたちの顔が浮かび、ネパールがとっても近いところになりました。  あらためて、ネパリ・バザーロやベルダの皆様の活動に敬意を表します。   
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