第13号−2

もくじ

「生産者をたずねて」 土屋春代
「声」
「ネパールの新しい流れ −インターネット−」土屋完二
「行ってみよう あのお店 フェアトレードの本」
「エベレスト街道」 大野達雄
「ネパール訪問報告」 久田智子
「ニュースコラム」
編集後記


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エベレスト街道−トレッキング模様
                 大野達雄
 ゾッキョ(ヤクと牛のハーフ)の一団が砂塵を蹴り立てながら下ってきます。ここはルクラからナムチェバザールに続くエベレスト街道。世界中のクライマーあこがれのあの山が、ここをたどれば確実に視界に入ってくる。胸踊り、血は騒ぎ、喉まで渇いてくるという、始めてここを訪れた人にとっては、まあいわば感動のバージンロードって所でしょうか。 でも何てことないんですねこれが。心臓がドキドキするのは高度が上がってきて単に息苦しくなるだけなんですね。喉の渇きは、乾燥しててホコリっぽいだけなんですね。これを感動ととっ違えて興奮しちゃう脳天気の人がまたいるんです。もう訳も分からず駆け上がっちゃう人なんですねこういう人は。
  そして、確実に高山病にやられて、周りに迷惑かけて、深く反省を重ねて、それでも性懲りもなくまたやってくる。これはつくづく性ですね山屋の。何を隠そう私もそのうちの一人ですから、これは実感を持って断言できます。 そんなことで、私、昨年の11月三度、牛糞、馬糞と人糞が、程よくヒマラヤのホコリでミックスされたこの地を訪れてしまいました。同行者は、ダサイン祭りの休みでカトマンズをうろうろしていた大学生ニール君。彼にアルバイトのポーターをやってもらい、1週間のショートトレッキングに出かけました。

  ルクラ(2800m)はエベレスト街道の始発点ということもあって、ツインオッターやヘリが次々と発着しております。中には、ルクラにヘリを待たせておいて、カトマンズからつくやいなやそれに乗り込み、シャンボチェ(3800m)まで一気に上がってしまおうと、横着を決め込む欧米人の中年トレッカーもいたりします。私たちは開いた口がふさがらず、ヘリの舞い上げる牛馬人糞ミックス後塵を十分に拝してしまった次第です。多分、このオッチャンたちも、旅行会社のパンフレットなどを見て、感動の余り一刻も早くヒマラヤにチカヅキタイ!と焦っておるんでしょうな。後の報いも知らんと。私とニール君は、改めてビスターリ(ゆっくりと)・・・と心の中で誓い、目と目で合図を交わした次第でございます。

  さて、途中一泊して、ナムチェバザール(3400m)に到着します。ここは、山間の谷をスプーンで削り取ったような地形をしています。南斜面が大きく開け、明るくてとても暖かく、昔からの交易地として大変活気がある所です。また6000m級のヒマラヤが近くにそびえているという、絶好のロケーションですから、山好きの連中はニコニコ、和気あいあいといった雰囲気で、のんびりくつろいでいます。ヤクの顔も心持ちほころんでおりますな。'95年には電気が引かれ、たいがいのロッジにホットシャワーがあって、これならもうアルプスのツェルマットには負けないぞと思いました。行ったことはないけれど。 また、ここで何泊かして、まわりの丘を探索し、エベレストのビューポイントをチェックするのもトレッキングの魅力です。自分だけしか知らない(と思っている)ポイントを、友人に大いに自慢できるのも、トレッキングの付加価値の一つと言えましょう。

   翌日、ナムチェの北側の丘を越えると、シャンボチェの飛行場が現れます。ここは、つい最近までエベレストビューホテルの専用でしたが、押しかけるトレッカーのため一般開放したようです。航空会社の事務所が一気に4ヶ所も増え、大変な賑わいです。ちなみに帰りの便をチェックしたら、「今日はない」、では明日は、「明日もない」、あさっては、「・・・」、もう相手にしてくれません。忙しいおじさんにこいつ本気ではないなと見抜かれてしまいました。カトマンズできちんと予約を入れておきましょう。ただし、いきなり3800mへのフライトは、酸素ボンベとお友達になる覚悟が必要です。
  またここから、一昨年ゴーキョコースで遭難した日本人トレッカーとネパール人ガイドの遺体を次々搬送したと聞き、ご冥福をお祈りしました。 ここからの街道は圧巻です。アマダブラムを初めとして、6000m級の山々が連なりその奥にお目当てのエベレストが、どうだまいったか、とそびえております。基本に忠実な日本人トレッカーたちは、ここで皆一斉にカメラを取り出して、パチパチ始めるんですね。ほら始まるぞと思っていると、見事に当たります。端で見ているとやっぱり異常だなと感じますね。<そういう私も撮ってました。スマン!>

  ここで紙数がつきてしまいました。この続きはまたの機会にゆずるとして、最後に、日本の一昔前の山小屋風ロッジに泊まり、さわやかに頬をなでる風とともに、糞塵を、喉深く吸い込んだら、君はもうヒマラヤの虜になってしまうこと請け合いです。カトマンズの粉塵なんぞ目ではありません。ほんとですよ。   
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ネパ−ル訪問報告
          久田 智子
 昨年暮れにネパ−ルを訪問した際の、子ども達の様子などをご報告します。
  まず、バルナム−ナスク−ルで学んでいるブアン君とミラちゃんですが、二人とも無事に進級する事ができました。ブアン君は5年生に、ミラちゃんは7年生になります。二人とも元気に勉学に励んでいる様です。残念ながら今回は、冬休みに入ってしまっており、二人には会う事ができませんでしたが、この学校の校長先生であるデブロイさんの息子プラヴィさんにお会いし、子ども達の様子も含めてお話を伺う事ができました。プラヴィさんは、アメリカの大学に留学したあと、この学校のマネ−ジメントをおこなっているということです。ちょっぴりアメリカナイズされた彼に、初対面の私はやや戸惑いを隠すことができませんでした。
  一方、ホ−ムの子ども達は、さらにメンバ−が加わり総勢37名になりました。0歳から18歳までの子ども達がいますが、年上の子が年少の子の面倒をみたり、体の弱い子をいたわったりして過ごしています。以前子ども連れで、お手伝いを兼ねて住み込んでいたパルバティさんは息子のアルジュン君と共に、現金収入を得られる職をみつけて12月初めにホ−ムを去りました。その代わりに、生後6ヵ月のサミエル君を連れた若いお母さんが住み込みでいます。彼女にも複雑な事情があり、ホ−ムに来てホッとしたようです。
  私のネパ−ル訪問前に届いたFAXでのホ−ムの様子は、風邪が大流行しほとんどの子どもが体調を崩しているとのことで、とても心配して行きました。しかし、訪問時はそのピ−クを乗り越え、何人かの子ども達は軽い咳をしたり、鼻水を垂らしていたりはしているものの、庭で元気よく走り回るほどの活気を取り戻していました。栄養が充分ではない上に、狭い空間に大勢の子どもが同居している為、その感染力はあっという間のようです。せめて少しでも、そのような状態を回避できれば・・・との思いで含嗽(イソジン)と手洗いの指導はしてみたものの、根本的な栄養改善や環境の改善には程遠いことを痛感しました。
  ところで今回の訪問時には、昨年ホ−ムからの結婚第1号となったリタちゃんが、長女を連れて里帰りしていました。昨年会った時は、結婚を目前にし照れくさそうにしていた彼女でしたが、すっかり母親らしくなり落ち着いた雰囲気をかもし出していました。その娘のサラちゃんを見つめあやすビシュヌさん御夫妻(とりわけビシュヌさん)の姿は、まるで初孫を授かった祖父母のようにも見えました。かわいくてかわいくて仕方がない様子が伝わってきました。
 
  学校に通いまだまだ子どもだと思っている彼らも、進学や就職、あるいは結婚という様々な問題が生じてくる年頃となってきました。決して裕福ではないにしても、ホ−ムの中で温室のように守られて育ってきた彼らに対し、現実はそうそう甘いものではありません。今までのように生活費や学費の援助のみならず、今後こうした進学や自立の問題について、ビシュヌさんを含め彼らと一緒に私達も、考えていかなければならない課題であると感じています。   
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−ネパールの新聞から−
  ヌワコットの女性たちが地元改善に着手 <カトマンズ・ポスト 1996年12月27日>
  カトマンズの北西にあるヌワコット郡では、 リーダー養成プログラムが村の女性たちに成果をもたらしている。10ヶ所の村落開発委員会(VDC)から60名の女性たちが集まり、協同組合を組織した。組合は、地域のVDCやABC/NEPAL(ネパールのNGO)、他のプログラムから26,000ルピーの基金を集めることができた。女性たちは長い間男性支配に苦しんできたため勇気を持てずにきたのだが、今、参加者たちはこう語る。 「もう地主の所へ行ってお金を請う必要はなくなりました。トレーニングのおかげで、店を始めたり、編み物をしたり、ヤギを飼ったりして、自分自身の力で収入を得るチャンスができました」 「ヌワコットは少女売春の汚名を持つ貧しい地域の一つなので、私たち協同組合は社会にエイズ禍を知らせていく努力も惜しみません」 ABC/NEPALによる、リーダー養成プログラムは10月に9日間、12月に6日間の計15日間行われる。    
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<編集後記>
ぐる季節の速いこと。またまた花粉症の季節です。同病の皆様、めげずに春を楽しみましょう。(春代)
やることが溜まって、いつものびています。救いは、みなさまの訪問です。楽しみにしています!(完二)
顔に当たる日があたたかくなりました。春だね〜。(麻紀子)
今回も沢山のネパール情報をありがたく思います。私はイベント手伝いで頑張ります。(昌治)
今回は春の特大号、ページ数増です。みんな〜、指定した字数は守ってねェ。(早苗)      
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