第13号

もくじ

「生産者をたずねて」 土屋春代
「声」
「ネパールの新しい流れ −インターネット−」土屋完二
「行ってみよう あのお店 フェアトレードの本」
「エベレスト街道」 大野達雄
「ネパール訪問報告」 久田智子
「ニュースコラム」
編集後記


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ネパリ・バザーロは、ネパールを中心としたアジア諸国のハンディクラフト製品や食品の企画、開発を行い、継続的に輸入を続けることによって就業の場の拡大をめざすフェアトレード団体です。立場の弱い人々、女性、子どもの自立を支援し、貧困の課題改善に取組めたらというのが私たちの願いです。母体となるボランティア・グループ(NGO)であるベルダレルネーヨ(ネパールの女性の自立と子どもの育成支援の会)のトレード部門として1992年から活動しています。

生産者をたずねて その2
           − 布も人生も夫婦で織り上げて
                        土屋春代
◆ ロングセラーのひみつ
赤・黄・緑等カラフルな木綿やシルクの糸の縞模様。4つの房を2つづつ引くと開いたり閉じたりする巾着型の可愛い小物入れ。印鑑を入れたり、化粧品や数珠を入れたりと活躍しています。急ぐ時はどの房だったっけと戸惑うことも多いのに、ネパリ・バザーロのスタート以来しっかり定番の位置を占め欠品させてはいけない製品の一つです。この根強い人気はどこから来るのでしょう。いかにも手作りっぽい素朴さ?手の平にちょうど良い大きさと手触りの優しさ? その小物入れを作っていらっしゃる生産者の方を今回はご紹介いたします。パタン郊外、静かな住宅地の中にその慎ましいお宅はあります。ドゥルガー・デビ・ジョシさん(70才)と夫のナンダ・クリシュナ・ジョシさん(74才)にお会いしてお話を聞くと、まるで「○○の昔ばなし」の世界に入り込んだような錯覚を抱きます。懐かしさ・安心感・だんだん心が静かに穏やかに優しくなっていくような心地よさ。多くを望まず、誠実に地道に働き、子供たちを育て上げ、今も仕事を続け、誇りを持って暮らしていらっしゃるこのお二人に作られる小袋が強く人を引きつけていくのもわかる気がします。 連れていってくださったサナ(ネパールのフェアトレードのNGOの一つ)のマネージャーのチャンドラさんが「デビさんは機織りも縫製も納品も全部自分でします。決して人任せにしません。70才でもとってもお元気で圧倒されます」とニコニコ。

◆ 織物一筋に生きて
夫のクリシュナさんは以前政府の仕事で30年以上も村々を廻り機織りを教えてきた専門家でデビさんにこの技術を教えたのも彼です。今でもデビさんの作る製品のデザインや技術指導をしていらっしゃいます。とても意欲的で好奇心旺盛なクリシュナさんは、インタビューをメモしている私の手元を覗き込んで「これは日本語ですか。私も日本語を習わなくては」と張り切り「人は目が見える間は働かなくてはならない。まだまだ仕事をしますよ。どんなことでも言ってください」と言われました。その言葉を聞いて身の引き締まる思いがしました。ネパールのこういう方たちを知っていただきたい、お知らせしたいと思いました。

◆ ネパール人はなまけもの?
「援助」している人の中には時々「ネパール人は怠け者だ。働かないから貧しいのだ」という人がいます。「お金や物を与える援助」には楽をしてお金を欲しがる人々が集まりやすいのでそういうイメージを持ってしまうのかもしれません。途上国ばかりではなく日本にもどこの国にも怠け者はいます。簡単にお金が得られる方法があるとわかれば、ちゃんと働けた人まで変身する恐れさえあります。マルチ商法がマスコミを賑わせ騙されない様に気をつけてといくら注意を呼びかけても次から次へ手を変え品を変え、同種の犯罪(ビジネス?)がなくならないのは多くの人がより楽により沢山お金を欲しがるからではないでしょうか。援助する側、される側ではなく、共に自立を目指すパートナーシップを築こうと始めたこの仕事で、ありがたいことに多くのひたむきに地道に努力を続けるネパール人や日本人、他の国々の人にお会いしました。このニュースレターを読んでくださる方々ともそのご縁で繋がりました。共に目指しましょう「FAIRER WORLD」を。 実はこの訪問の時、本当に器用なクリシュナさん手作りの仕掛け人形、紐を引くと台車が動き、上に乗っているネパールの女性の人形が脱穀したり、糸を紡いだり・・・という人形に魅せられてボーっとしていた私を見て「気に入ったのなら作ってあげますよ」とニッコリ言われ飛び上がって喜びました。もしいくつか作っていただけたらお分けできる日が来るかもしれません。いつまでもお元気でいてくださいね。デビさん、クリシュナさん。  
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<声> 協力者の方々からいただいたお便りをご紹介します。
◇ 今年('96年)の夏、3ヶ月間ネパールに滞在してボランティアの数々に触れてきました。皆さん一所懸命にやって居られるようですが、ひとりよがりやネパール人を見下している心中が推察されて、凡人の私には難しいことを痛感してきました。そして、ネパリ・バザーロの「フェアトレード」精神が私の理想と確信した次第です。困難な問題が多いと思いますがご健闘を祈ります。ビスターリ(ゆっくりと)は避けられないのでしょうね。ネパリ・バザーロだよりは優しい表現、綺麗な言葉、現地の赤裸々な情報でとても心温まるお便りです。楽しみにしています。具体的に協力できるのはコーヒーを購入することくらいですが悪しからずご了承ください。先日送っていただきましたコーヒーは娘たちに取られてしまいました。 島田 博 様 (札幌市) ◇ さわやかな味、香りのコーヒーを通し、だからこそ教育を高め、自立の道の援助、いえ反対でしょうか、自立のための援助が、教育を受けさせなければならないと思う両親を増やすことにつながるわけですね。ホントに私もほんの一役ですが続けさせて頂きたいと思っています。勝亦 祐子様(豊田市)
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ネパールの新しい流れ ---インターネット---
                         土屋完二
◆ はじめに
  ネパールの新しい動きといえば、 民主化以後の動きはひときわ重要であるし、一国の収入を増大させる面では観光に力を入れはじめたとか、話題はたくさんあるが、今回は、最近日本でも話題に多く登場するインターネットの話題を追ってみた。機会があれば、パソコンの浸透、デスクトップパブリッシング(DTP)という日本ではマッキントッシュを中心に有名になったコンピュータによる編集、版下作成、印刷の現状などもいつか紹介したいと思う。
◆ インターネットとは
  コンピュータとコンピュータを有線で結んだ世界的規模のネットワークのことをインターネットと呼ぶ。このネットワークを使用すれば、市内の電話料金で、日本との情報の交換も可能だ。電話でごく簡単な挨拶で2,000円、FAXでは普通文書1枚(1分)が350円程度になるのだが、この新方式では3分20円程度しかかからない。インターネットの開設には、商用プロバイダというインターネットを市民に提供するサービス会社の存在が必要。そして、市民の方々は、普通、電話回線を使用してインターネットに接続することになる。
◆ 通信手段として広がり始めた
   一昨年から、このインターネットを提供するサービスが活発になり、ダーバーマーグの通り(王宮通り)にあるマーカンタイル社がシンガポールの電話会社と64KBpsという低速の専用線で結んでこのサービスを始めた。日本でいう一般家庭の電話線2本分の大きさと思えばだいたいあたり。昨年末現在で会員が170名、利用率を考えれば皆が同時に使うわけではないので、電子メールという郵便形式では問題がない容量である。最近の技術発展は目覚ましく、マルチメディアなる絵を送ろうものならすぐパンクなので、まだ絵は送れない状態であった。現在は、この商用プロバイダーなるものも、カトマンズだけとはいえ、2から3社あると聞いている。
◆ 街から村へ
  この電子メールなるものは、この国に何をもたらしてくれるのだろうか。幸いに、この電子メールがあれば、テレビに使われている周波数帯の電波で、遠く山々、村々と情報の交換が可能になる。ヒマラヤ登頂の祝電もいつか可能になっているだろう。 昨年、街から遠く離れ、電気がきていない村とカトマンズを無線で交信できる旨の提案をしたことがあった。幸いにその村に帰郷していた弁護士さんが、その関係の知合いがいるので相談してみるとのことであった。今年メンバーがその村を訪れた時には、その村は無線でカトマンズと連絡が可能になっていた。政府へ申請した書類がうまく通ったようだ。これが電子メールであれば更に正確に物事を伝えることが可能になる。 このようにして、文化の影響は、遠く離れた場所にも伝わって行く。通信は、流通の弱いネパールの現状をサポートする重要な手段であり、日々変化をしている。ミラちゃん、ブワン君の通う学校から先日電子メールが届いた。学校の先生とお互いに新しい感動を覚える。取引先とも連絡に活用している。大変に便利である。早くて2週間かかる手紙を考えるとうそのようだ。情報が有効に使用され、人々の生活に貢献できることを願わずにはいられない。   
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図書紹介 「行ってみよう あのお店 − フェアトレードの本 −」
            <発行:ネパリ・バザーロ B6版、58ページ 定価:500円>
開発途上国の生産者たちや彼らの家族、コミュニティの生活の質を高めるために、消費者である私たちが日々の生活の中で行うことのできる国際協力です。しかしこうした活動は、まだまだ一般の人々には知られてはいませんし、主旨に賛同し、フェアトレードの商品を買おうと思っても、どこで買えるのかわからないのが現状です。そこで、フェアトレードをわかりやすく説明し,神奈川、東京、千葉のフェアトレード商品を扱うお店とフェアトレードを実際に行っている団体を紹介した小冊子を発行しました。この本を通じて沢山の方々が活動に参加してくださることを願っています。2000年に発行をめざす「全国版」に向けて、全国各地のフェアトレードのお店の情報もお寄せください。   
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