福祉プログラムレポート (vol.34)

 サポート会員の方々の会費を中心に、応援してくださる方からの寄付などを加えて、ネパリ・バザーロは子どもたちの教育支援、女性たちの自立支援を行ってきました。ホームの子どもたちへの支援は20年、セービングファンドも開始から4年が経ちました。継続的に行っている支援についてご紹介します。(文:土屋春代)


◇セービングファンド
 将来に備えた財形貯蓄システム。ワーカー本人と職場、ネパリの3者が、一定額をワーカー名義の口座に毎月積立てます。入院、手術、子どもの教育費などまとまったお金の必要な時以外は使えません。

 地方から届いたスパイスを洗浄、加工、パッキングして私たちのところに届けてくれるのはSHS(スパイシー・ホーム・スパイシーズ)の皆さんです。セービングファンドを一番早く開始したところです。5年期限でスタートし、ずっと勤続しているマヤさん、サラスワティさん、チャイトマヤさん、サーノマヤさんたちは今年とうとう5年目を迎えました。ファンドが喜びや励みとなり、仕事にもよい影響を及ぼしていることはシターラさんから聞いてはいましたが、皆はこのファンドをどう思っているのでしょうか。

 ある時、代表のシターラさんがうれしそうに「食事に招待したいから都合のよい日を聞いてくれとマヤさんたちに頼まれたの」と、言いました。シターラさんの手料理はよくご馳走になりますが、今回はワーカーの皆が手料理を振舞ってくれるというのです。それぞれの自宅は離れていて、遠くから通っている人もいるので、シターラさんのキッチンで皆の得意料理をつくりたいと提案があったそうです。
約束の日、時間に伺うと、まだ忙しそうに調理している最中でした。マネージャーで普段は皆を仕切っているマヤさんは家で料理をしないためか、この日はサラスワティさんたちの指示を受けて、皿を取りにいったり、並べたり走り回っていました。私と目が合うと照れたように微笑みました。シターラさんだけでなく夫のアチュトゥさん、娘のアルチャナさん、アンギラさんも招待を受けたゲストなのだそうで、私たちと一緒にイスに座って供されるのを待っている間、初めてのことにうれしくてたまらないという様子でした。作る人も待つ人も、誰もが楽しそうに、普段と違った役割を味わっていました。やがて、並んだ料理を見た時はその種類の多さと初めて見る料理の数々に驚きました。そして、どの料理もほんとうにおいしく、料理自慢のシターラさんも舌を巻くほどの皆の腕前に脱帽でした。

 最後にマヤさんが皆を代表して感謝の言葉を贈ってくれました。でも、どんな感謝の言葉も及ばぬほど、この日の心のこもったおもてなしは皆の気持ちを雄弁に語ってくれていました。仕事を誇りに思い、セービングファンドを将来の拠り所と思っていることが伝わってきました。5年以降のことをシターラさんも含めて話し合いますが、きっとファンドは少し変更しつつも継続することになるでしょう。どのように継続するのか、皆の意見を聞くのがとても楽しみです。

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