Monthly Archives: 6月 2011

紅茶の時間 (vol.33)

テトラバッグの紅茶が新発売。

オフィスでも、忙しい朝も、ほっと一息。
ネパールのカンチャンジャンガ紅茶農園から今年もおいしいお茶が届いています。
愛情のいっぱいこもった茶葉を、そのままおいしく、しかも手軽に飲んでいただきたくてテトラバッグの紅茶を作りました。

エベレスト、K2に次ぐ世界第3位の標高8586mのカンチャンジャンガ。そのふもと1050~1900mの高地にKTEの茶園があり、製茶工場も1600mの高地にあります。インドのダージリンに程近く、香り高い高品質な紅茶を作るために最適な環境です。ネパリ・バザーロの紅茶は、5月末頃から収穫されるセカンドフラッシュと、9月末頃から収穫されるオータムナルをお届けしています。
 テトラタイプのティーバッグには、SFTGFOP(スペシャル・ファイン・ティピー・ゴールデン・フラワリー・オレンジ・ペコー)の最高級の茶葉を詰めています。金色をした上質の新芽「ゴールデンチップ」をたくさん含んだ一芯二葉のフルリーフの紅茶の上級グレードです。新芽とその下の2枚の淡い緑の若葉のみを摘みとる「一芯二葉」は、硬くなってきた濃い緑色のペコースーチョンを含める「一芯三葉」に比べて収穫量は激減しますが、良いお茶をつくる理想的な摘み方です。
 水と緑の豊かなヒマラヤ山脈のふもとで、自然農法で育てられ、額から籠を担いだ村の人たちによって、ひと摘みひと摘み丁寧に手摘みされた紅茶です。3分半から5分、ポットの中で茶葉が開いて、成分がしっかり抽出されるのを待ってから、お召し上がり下さい。テトラタイプのティーバッグですので、茶葉が踊り、お茶の美味しさが十二分に引き出されます。

コーヒー日和

自然農法で育て、一粒一粒手で収穫したおいしいコーヒーを是非お試しください。

農薬や化学肥料を一切使わず、自然農法で育てられたネパールコーヒー。このコーヒーは、ネパールの首都カトマンズから、バスを乗り継いでほぼ一日、そこから徒歩で8時間以上歩くと、ようやく辿り着く「シリンゲ」から届いています。急斜面の険しい山道を、農民たちはコーヒーを背負って歩きます。豊かな自然に育まれ、空気がとてもおいしい地域で栽培された、てまをかけた逸品です。

 シリンゲコーヒー協同組合のメンバーたちは、教育をほとんど受けていないことやあまりにも貧しいことを理由に、地域のなかで見下され差別されてきました。協同組合を設立し、代表となったバドリさんは、そうした偏見や差別には屈せず、コーヒーの市場を16年間細々と守ってきました。そんな彼を、カトマンズで輸出入代行会社を経営しているディリーさんとネパリ・バザーロが長年支え続けてきました。また、組合員の農民たちの団結とバドリさんに寄せる強い信頼、そして片腕となって皆をリードするケサブさんも大きな支えとなりました。見下してきた人々は、シリンゲの自立を阻もうと様々な妨害を行ってきましたが、私たちは粘り強く挑戦を続け、日本からも現地とやりとりしながら膨大な資料を作成し、ついに2010年12月に有機証明取得にこぎつけました。
 私たちの有機証明へのこだわりは、単に商品に表示することが目的ではなく、食の安全確保を目指し有機農業を推進する世界の流れを示し「良いものを作れば市場も開ける」という農民への動機づけが一番の目的です。それによって作る人、頂く人双方の安全も守られます。

こだわりの焼き菓子

ネパールでとれたコーヒー、紅茶、スパイスなどのこだわりの食材を使ったとっておきの焼菓子です。

ケーキを作っているのは障がい者地域作業所「まどか工房」のみなさんです。最後に手にするお客様に満足してもらえるようにと責任を持ってしっかりと働くことを大事にしています。オーガニックで栽培されたネパールのコーヒー、オレンジピール、紅茶、スパイスの新鮮な風味を活かすよう、国産の材料も厳選された安全な材料を使っています。愛知県にある有機農場「とりのさと農園」の、餌にもこだわって育てた鶏の元気な平飼い卵、南部地粉、洗双糖、無添加の菜種油を使用しています。
 大人気のクッキーシリーズは、障がい者地域作業所「かたくりの里」のみなさんが、ネパールのオーガニックで栽培された紅茶やコーヒー、オレンジの皮、こだわりの国産材料で作っています。年々順調にクッキーの販売数が増え、忙しくなってきました。やればやっただけ得るものがあり、それがまた次のオーダーへとつながるので皆がんばっています。2008年春号から加わり大好評のシナモンクッキー、2010年春号新登場のジンジャークッキーは、「まどか工房」で作っています。
 真面目に製品を作るとコストばかりかかってしまい、とても一般には市場が開けないことも多い時代にあって、このケーキとクッキーは、こだわりの材料とこだわりの理念を持って、事業として十分成り立ち、作る人のやる気にもつながっています。そしてそれは、ネパールのコーヒー、紅茶生産者へもつながっていくのです。

自然農法のスパイス

自然に沿った方法で作られた安心なスパイスやハーブは、いつもの料理に加えるだけでぐっと本格的な味わいに。

ネパリ・バザーロのスパイスは、街から遠くて生活が厳しい、しかし自然が豊かな地域で栽培されています。コーヒー、紅茶で身につけた技術を柱に、私たちと現地の協同組合が協力し、農家を一軒一軒歩き回り、少量ずつ集めています。スパイスは非木材の再生産植物の一種で、環境にやさしい植物です。荒地でも栽培でき、成長も早いため、わずかな土地しか持たない生産者にとって、スパイスは貴重な収入源になっています。また、私たち消費者にとっても、生産者の顔が見えているので、安心して口にすることができます。
 村で収穫されたスパイスをパッキングしているのは、首都カトマンズにあるSHS(スパイシー・ホーム・スパイシーズ)という工房です。代表のシターラ・ラジバンダリさんのもと、厳しい経済状態にある女性たちがスパイスを粉末にし、新鮮なうちに一つひとつ個袋にパッキングをして、日本に出荷しています。2007年よりネパリ・バザーロと協力し、働くワーカーたちに対して、セービング・ファンド(将来に備えて積み立てる資金)を始めました。ネパールでは、働く女性たちが、給料を自分のために使うことはほとんどありません。その上失業保険、健康保険、年金などの社会保障もない国で、将来まとまったお金を必要とする時に、きっと役立つと思います。

特集:地域開発 【コラム】うれしい再会 (vol.33)

 「カマルです!」若い男性が大きく元気な声で叫ぶと同時に飛び出してきて、到着したばかりの車から私たちの荷物を取り出し、テキパキと宿舎の部屋に運んでくれました。「2年前に1度来たことがありますが、私を覚えていますか?」と聞くと、「写真を大きくして部屋に飾って、毎日見ているから忘れるわけないよ~」とおかしそうに笑いました。

 2年前、長年の願いがかなって農園に初めて来た時、その滞在で一番印象に残ったのが、カマルさん、シャンティさんご夫婦との出会い、交流でした。ダリット(*)と呼ばれるアウトカーストのおふたりは、カースト差別をなくすKTEの試みにより採用され、宿舎の食事係と掃除係をしていました。11月中旬で朝晩はとても寒く、私はダウンジャケットを着る時もあるほどなのに、カマルさんがいつも半袖Tシャツ一枚なので「元気ね!半袖で寒くないの?」と感心して言うと「これしかないんだから、仕方ないだろ」と、少し怒ったように横を向きました。ある日、体調が悪く外出を控えて部屋にひとりで居た時、シャンティさんが遊びに来てくれ、家族のこと、子どものこと、女性の立場などいろいろな話をしました。カマルさんも覗きに来て仲間に入り、仕事の不満をこぼしていきました。 
 カトマンズに戻る朝、見送りにきてくれた少女の「あなたのカーストは?」という私への何気ない質問が、傍にいたカマルさんのカーストを皆に強く意識させ、差別する側のあまりの無意識さ、疑うことを知らない、まるで空気のように当たり前になっている差別の根深さに、いろいろ考えさせられました。翌年(2009年)秋、再訪しようとビルタモードゥまで行きましたが、マオイストによる道路封鎖が解けず、数日間待ち、諦めてカトマンズに戻りました。カマルさん、シャンティさんにお会いするのを楽しみにして2010年9月、2年ぶりに訪れ、おふたりも再会を待ち望んでくれていたことを知りました。

 おふたりの状況は変わり、シャンティさんは出産し、育児と家事に勤しむ生活です。夜間警備員になったカマルさんは仕事に誇りとやりがいを感じ、ブルーの制服もよく似合い、颯爽としてみえました。仕事も私生活も充実し楽しそうで、時々部屋に寄って声をかけてくれる時も元気一杯です。食事担当は新しく農園に来たパルシュラムさんですが、まだ慣れていないから変なものを出すと心配だと、最初、私たちの食事はカマルさんが作ってくれました。夜勤も日勤もではさすがにきつく、2日目からはパルシュラムさんがおろおろしながらも頑張って作ってくれました。
 カマルさんの家に遊びに行くと、出産したばかりの妹さんが赤ちゃんとともに産後を過ごしていました。土間が2部屋。その1間に炊事場がついている簡素な家ですが、シャンティさん、カマルさんのお母さん、近所の子どもたち、妹さんの友だちなどなどで、足の踏み場もないほど、とても賑やかなご家庭でした。

 カマルさんは長男に「スルヤ(太陽)」と名前をつけました。男の子に神々の名前をつけることがよくありますが、自分たちに”ダリット“という過酷な運命を背負わせた神の名ではなく、誰にも等しく降り注ぎ、光とエネルギーを与える「太陽」と命名したことが胸に沁みました。カマルさん、シャンティさん、スルヤ君、また会いましょう!
(文:土屋春代) 

*抑圧された者という意味で、かって「不可触民」と呼ばれ、カースト制度の最底辺に位置づけられた人々。カーストによる差別は憲法で禁止されているが、根強い偏見と厳しい差別がある。

特集:地域開発 若者たちの夢 (vol.33)

2年ぶりの紅茶農園訪問が実現しました。バンダ(*1)で涙をのんで引き返してからもう一年が経ってしまいました。年に5回ほどネパールを訪れていても、なかなか遠方の村に行く機会は得られません。紅茶の新製品のこと、スパイスのこと、フェーズ1(*2)とフェーズ2(*3)の教育支援のこと、たくさんの案件をよりよく進めるには、やはり現地訪問は欠かせません。バンダにならないよう必死に祈ったかいがあってか今回は大した問題も無く到着できました。
 例年と違い雨季が長引き、9月末になってもまだ毎日雨が降っているという直前の情報に、足下が悪く活動がしにくいのではないかとやや不安はありましたが、着いてみると快晴が続き、秋らしい爽やかな天候に、心も晴れ晴れとなりました。カトマンズで見たり聞いたり、接したりした暗い部分、ネパールの政治の混乱が人々の暮らしを圧迫している様や、他人を踏み台にして自分の利益ばかりを追求する人々とのせめぎ合いなど、どう対処したらよいか考えてもなかなか出口が見つからず、気分も落ち込んでいたものが、スーッと霧が晴れるように自然に行く手が見え、迷いが吹っ切れ気持ちが落ち着きました。大自然の中で営まれる真っ当で地道な暮らしを見ていると人間の限界が知れ、謙虚な気持ちで物事を受け入れることができるようになるのでしょう。そして、支援している若者たちとの触れ合い、彼らの夢の実現に少しでも協力できているという実感は、何より強い、続けるための原動力になりました。
 滞在中、ディリーさん(*4)から提案された自立への計画は今後の行く方を示す柱となるものでした。長い模索の中から見えてきた光明ですが、その道筋は決して平坦なものではない予感もあります。しかし、どのような苦難があっても、若者たちの夢が壊されることのないように力を合わせて進んでいこうと思います。(文:土屋完二)

*1:ストライキのこと。外を歩くことは問題ないが、車の走行は禁止。店や工場、事務所も営業できない。
*2:カンチャンジャンガ紅茶農園(略称KTE)の子どもたち全てが10年生までの基礎教育を受けられるようにと始めた奨学金支援制度。
*3:基礎教育を修了した子どもたちの中の優秀で強い意欲がありながら、生活が厳しく自力では進学できない子どもたちに専門教育が受けられるように開始した奨学金支援制度。
*4:KTEの役員。カトマンズ事務所とフィディムの農園を頻繁に行き来し、企画立案や調整を精力的にこなす。55歳の彼は、後20年は仕事にその身を捧げ、引退後は瞑想生活に入ると言う。

カンチャンジャンガ紅茶農園の自立プロジェクト

教育支援の効果と課題

 教育の重要性は最近、遠隔地域でも意識されるようになりました。しかし、これといった産業のないところが多く、親の現金収入が限られるため教育への投資が充分できず、地域全体としての教育の質も都市部に比べると低く、都市の恵まれた環境で育った子どもたちと同じ条件の試験を受けることには大きなハンディがあります。しかし、そのSLC(*)と呼ばれる統一試験の成績がずっと将来にわたって大きな影響をもつのです。経済的な格差だけでなく、それが将来の希望の格差とならないようにと、10年生までの基礎教育を受けられるように支援を始めたのが2002年春。毎年SLC合格者が出るようになり、その子どもたちが望む職業に就けるようにとフェーズ2支援を始めたのが、2007年秋です。地域への効果が大きく、人々の意欲を高め、農園の業績にも影響をもつようになりました。ワーカーの農園に対する愛着が増し、定着率がよくなり、仕事の質があがったのです。
 長いお付き合いのネパリ・バザーロの他にも、最近、アメリカ、カナダなどのフェアトレード組織に輸出を始め、高品質の茶葉はどこでも好評で、ようやく市場が安定し始め、これから農民の生活向上を目指そうとするKTEにとって、この教育支援は止めることができません。一方、ネパリにとっても子どもたちの懸命に励む姿に心打たれ、支援は続けたいと思っていますが、成長し希望に燃える子どもたちの膨らむ夢に応えるには資金が限られています。SLC後の専門教育支援は基礎教育支援に比べ、子どもの数は少なくとも、金額としてはひとり当たり数倍もかかります。どちらも引き受けることはできません。せめて、基礎教育は親や地域でできるようになればと、KTEもネパリも何度も話し合いを続けてきましたが、答が見つかりませんでした。
 農園は組合員やワーカーの収入を増やし、自力で子どもの教育ができるようにと、収穫量を増やす努力や牛プロジェクトなど様々な試みをしてきました。しかし、茶畑は急な傾斜地にあるため、栽培量を増やすことが難しく、搾った牛乳も遠隔地であるため、流通に乗せられませんでした。もちろん多少の効果はありましたが、ネパリの支援を不要とするほど力強いものには成り得ないということが分かりました。
 今回のディリーさんの提案は組合員やワーカーの人たちの衣・食・住の生活全般の向上にもなり、さらに教育支援も可能となる画期的なシステムでした。計画通りの成果を得るにはどうすべきか、早速、具体的な検討に入りました。
*10年生までの基礎教育を修了したことを 証明する国家試験。

ディリーさんの提案

 KTEは生産者の協同組合でしたが、この自立計画は組合員による消費者協同組合をつくるものです。会員からも少しずつ出資してもらいますが、元々小規模農民や生活が厳しいため外から流入してきた農民による組織だったため、集まる額は小さく、不足する大部分の出資金はKTEとネパリ・バザーロで負担します。
 第一段階は、生活に必要な4つのアイテムから始めようと計画しています。米、塩、油、石鹸です。米はインド国境に接する肥沃な大地、タライ平野の良質な米を1月と5月の収穫時期に安くまとめて買いつけ、農園の近くの水車小屋を借りて脱穀します。米は一般の店より2、3割安く組合員に販売します。マスタードをまとめて購入し、水車小屋で油を搾り出します。米のもみがらや油かすは農園が有機肥料にするため購入します。石鹸はチウリなどの良質なオイルの採れる植物の種を買って作ることも考えています。
 このように質の高い米や油を一括で仕入れることにより組合員は健康の元になる安全で安心な食品を安く手に入れられるという利益もでます。またもみがらや搾ったかすは農園にとって品質や収穫量を上げるためのよい有機肥料となります。協同組合は課税されませんから、出た利益全てを有効に使い、様々な生活向上プログラムを実施します。
 先ず、利益の40%を教育資金に充て、徐々に10年生までの教育費を出せるようにします。一家で奨学金を受ける子どもは2人までとする案もあります。できるだけ子どもの教育は親自身ががんばって出せるようにと意欲を促すためです。15%をアーユルヴェーダクリニック開設と維持に充て、地域住民の病気予防、健康維持のために使います。15%を住まいの質の向上のため、無料宿舎の建設資金にします。15%は積立てて基金とし、自宅を建てる人や教育費を必要とする人に長期無利子で貸します。5%は色々な植物の種を買い、栽培意欲のある人に与えます。残り10%は将来、資本金を増やすために貯金します。
 そして、第二段階は服や靴などアイテムを広げること。第三段階は近隣地域の農民も買い物ができるように市場を拡大することを目標としています。プロジェクトは2011年の1月、米を買うことからスタートします。

おとなの役割

 10年間の内戦が終結、王制が廃止され、やっと国民が中心の国家が形成されるかとの期待もつかの間、政治家たちの醜い権力闘争が数年間も続いています。政治の混乱が続くネパールは産業を興す基盤の整備に手をつけられず、電力は供給が充分できず、特に乾季は毎日の停電が10時間以上にも及ぶほど。給水もままならず。悪化する治安や連動するインドルピー高に引き摺られる、国力とは裏腹のルピー高。輸出しても手取り収入が減っています。悪い状況をあげつらえばきりがないほど出てきます。少しでも事情を知る人はネパールの未来を悲観して国外に移住して活路を見出そうとします。
 そんな中でKTEのように政治の恩恵の及びにくく保守的な地方で、新たな仕組みづくりを目指すには余程の根気と勇気が要ります。もちろんKTE内部にも問題はたくさんあります。推進役はどうしても地位の高い、経済的にも余裕のある人々になり、地位の低い、貧しい人々は本音を言いにくいこともあります。しかし、内外に横たわる多くの困難を受け止めて、粘り強く一歩一歩前進する人々を見て、若者たちはきっと次のよりよい未来を切り拓いてくれるでしょう。たくましく意志の強い、そして弱者に配慮できる人に育ってくれるでしょう。
 どの時代にもその時代固有の困難はあり、それを切り拓いてきた先人があったから今の私たちの恵まれた環境があるのだと思います。次の世代に!次の世代に!よりよい環境をバトンタッチしていくことがおとなの役割だと強く感じた訪問でした。

verda vol.34  ~ベルダ2011春夏号~

継続可能で、たくさんの人に仕事がいきわたる手仕事をVerdaは大事にしています。手作りの服や雑貨には、機械生産にはない心地良さや温もりがあります。コーヒーや紅茶も一つひとつ手で摘みその細やかさがやさしい味わいになります。そんな、Verdaの商品には、生産者とネパリ・バザーロの想いがたくさん詰まっています。

特集:地域開発 スパイスに賭ける
    
【コラム】ワイルドサーグとコーラ


  
レトルトカレー、カレークラッカーのご紹介
  ~ネパリのスパイスを使ったおいしいカレーとお菓子です

福祉プログラムレポート
  ~セービングファンドの活動、みんなはどう思っているの?

商品開発物語
  ~保多織りのはぎれから生まれたこぶたとねずみのリストピロー

フェアトレードのお店紹介
  ~埼玉県、茨城県のお店紹介です

ベルダショップ・レポート
  ~2日間限定のベルダショップをオープンしました

verda vol.33  ~ベルダ2011早春号~

継続可能で、たくさんの人に仕事がいきわたる手仕事をVerdaは大事にしています。手作りの服や雑貨には、機械生産にはない心地良さや温もりがあります。コーヒーや紅茶も一つひとつ手で摘みその細やかさがやさしい味わいになります。そんな、Verdaの商品には、生産者とネパリ・バザーロの想いがたくさん詰まっています。

特集:地域開発 若者たちの夢
【コラム】うれしい再会

紅茶の時間
 ~ネパールから届く紅茶をはじめ、こだわりの食品をご賞味ください

福祉プログラムレポート
  ~継続的に行っている支援をご紹介します

青森に広がるパートナーシップ・ネットワーク
  ~橋本司さんとの出会いから広がった活動の輪

フェアトレードのお店紹介
  ~山口県、岡山県、青森県のお店紹介です

愛媛・香川県のお店紹介 (vol.31)

いのちあふれる森の中へ・・・
染織工房天月

 久万高原の山道を深く入った由良野の森にある「染織工房天月」は、鷲野陽子さん、宏さんご夫妻が運営している工房兼ショップです。携帯電話の電波も届きませんが、近くに四国八十八カ所の寺があり、特に春や秋には大勢のお遍路さんが通ります。もともとは養蚕のために切り開いた場所でしたが、競売にかけられた際に、自然と人が共生できる里山づくりをしようとした医師がこの森を買い取りました。住み込んで山を管理してくれる人が必要で、阪神大震災のボランティアで知っていた宏さんに声をかけました。
 陽子さんは神戸出身の看護師で、オーストラリアのホスピスで働いていました。見学に来た日本人医師に、日本にホスピスを整える力になってほしいといわれたことをきっかけに帰国。高知のホスピス立ち上げに関わりました。やがて軌道に乗った頃、休日に訪れた四万十川でカヌーガイドをしていた宏さんと出会いました。長男が1歳の時に移住した西表島で陽子さんは染織を習い、宏さんも木工や大工の仕事を習い覚えました。4年ほど経った頃に里山管理の声がかかり、仲間と「ゆらの」という会を立ち上げました。
 引き受けて久万高原に来たお二人は、森の管理をしながら、自分たちの住む家を建て、養蚕倉庫を木工加工場に改築し、蚕を育て染織ができる工房を作りました。理由がないとなかなか家を空けられない近隣の女性たちと、野菜や加工品を通信販売し、交流の場にもなっています。子ども向け、大人向けのワークショップも開き、たくさんの人が集まります。持っているゲームを自慢していた町の子が、ここでは何の価値もないことを感じ、次第に他の子と一緒にたくましく野で遊ぶようになっていくそうです。
 ネパリを知ったのは、沖縄の素材展(2005年)でした。友人から聞いたネパールの話を思い出しカタログを持ち帰って購入したところ、コーヒーを宏さんが気に入り、息子は紅茶のファンに。寒い季節には家族4人分のフェルトブーツが可愛く並びます。「ゆらの」の会員からも買いたいという声が多く、商品として仕入れることにしました。マサラ、インセンスも好評です。2009年12月には、工房を改装して、商品を常時おけるスペースとカフェスペースを作りました。カフェはこの春から地域の人たちが交代で運営しています。
 お話していてとても気持ちのよい陽子さん、宏さんと子どもたち。ぜひ足を延ばして訪れてみてください。
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代表:鷲野陽子
〒791-1223 愛媛県上浮穴郡久万高原町二名乙787-13
Tel&Fax:0892-21-8076
Open:9:00~17:00(不定休)
http://www.tentsuki.asia/
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くつろげる大人の空間で心と体に癒しを・・・
カフェ・ノイエ

 伊予の小京都といわれる観光地大洲の「町の駅あさもや」のすぐ向かいにある「カフェ・ノイエ」。2008年4月にオープンした、「カラダ」と「ココロ」にいい、料理や雑貨が楽しめるくつろぎの空間です。
ドイツに暮らし、海外のいろいろな国を訪れた経験のある岡部千代子さんは、初めは各地で買い集めた、自分の好きなものを紹介するギャラリーのイメージで店を開こうとしていました。しかし、ただ自分が好きなものではなく、お客さまにとって良いもの、役に立つものをと考え、方向転換をしました。「地産地消」と「体に良い食べ物」をお店の道しるべとして、地元の「浜地鶏」や野菜を使った軽食やスイーツ、自然派化粧品や良質の雑貨などを扱っています。手作りジンジャーシロップのドリンクは、体がぽかぽか温まります。ネパリとの出会いもオープン2ヶ月前。カフェではネパリのうさぎのティースプーンで、ネパリの紅茶が楽しめます。
 スタッフの福田宣子さんは、店で働き始めてフェアトレードを知りました。お客様と商品について話す中で学ぶことも多く、店を通して社会に貢献できていると実感するそうです。ネパリの商品は特にフェルトやスプーン、キャンドルが人気です。楽しんで見ていただけるよう、毎日、店内やショーウィンドウのディスプレーを変え、商品の物語が伝わるよう、ポップも手作りしています。レイアウトを工夫して、もっといろいろな商品を紹介していきたいと思っています。
 町並みに溶け込むくつろぎの空間で、穏やかな時間をお楽しみください。
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代表:岡部千代子
〒795-0012 愛媛県大洲市大洲660-1
Tel:0893-24-0212 Fax:0893-24-0212
Open 10:00~18:00 定休日:木曜
http://www.cafe-neue.com/
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こうひぃとうつわ
器心家 ~きごこちや~

 うどんがおいしくて、うちわとお城のある丸亀市で「器心家」を営む近藤廣文さんと美恵さんご夫妻。ご両親が戦後すぐから続けてきた陶器店の倉庫を改装し2004年にオープンしました。入口を入ると、左側が明るいカフェ、右側は以前の倉庫の雰囲気を残し、木の梁が落ち着けるギャラリーとなっています。
 オーガニックな材料を中心としたカフェでは、ネパリのマサラティーの他に、抹茶やホットチョコレート、トーストなどの軽食も楽しめます。訪問した日には、国産小麦と地元の山下さんの卵を使用した手作りのシフォンケーキが用意されていました。
 ギャラリーには、全国各地の陶器と、お二人が価値を認めた各地の漆や織物、紙布の布巾、地元伝統の水引のアクセサリーなどが並べられ、ついついじっくり見入って時間を忘れていまいそうです。ネパールから届いたネパリの商品も、日本の陶器や漆とマッチしてさらに魅力を引き出してもらっているようです。お気に入りの陶器や漆は、カフェで実際に使用されていて、手作り品への愛情あふれる説明を伺うと、さらにその良さが伝わってきます。
 フェアトレードのことは、カフェを開く前に新聞で知り、カタログを取り寄せて購入をしていました。養鶏場の飼料の怖さや、オーガニックの重要性も耳にしていたので、店を改装する際にはオーガニックで、さらに趣旨にも賛同しているフェアトレード品も扱うことに決めました。ネパリの商品では紅茶が特に気に入っています。服も年々素敵になってきているので、楽しみにしていて、カタログも商品の背景にあるストーリーや写真が好きで、バックナンバーも捨てずに何度も読み返しています。
「お客様にフェアトレードのことを説明していると、つい力が入ってしまいます。コツコツとお話をしていく中で伝えていきたい。いつか、ネパリの服を紹介するファッションショーも開いてみたい・・・」と、にこやかに笑う近藤さん。
 おいしいカフェと気持ちのよい空間を楽しみにぜひお立ち寄りください。
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代表:近藤廣文
〒763-0052 香川県丸亀市津森町231-5
Tel:0877-23-0653 Fax:0887-23-0669
Open:9:30~19:00 定休日:水曜、月1回連休あり
http://kigokochiya.fc2web.com/
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仕事の現場から発信[ともに生きるために]株式会社オフィスサンサーラ (vol.31)

 渋谷にあるオフィスサンサーラは、2年ほど前からお歳暮やお中元にネパリ・バザーロのギフトセットを連続して利用してくださっています。どんな会社が、どんな想いでギフトに選んでくださっているのか・・・代表取締役社長の大嶋賢洋さんにお話をお伺いしました。

●もともとネパールに関わりがあったそうですね。
 20代の頃から各国を旅して、ネパールにもたくさんの知り合いがいます。中でも縁があるポカラのために何かをと思ってきました。でもお金や物をあげるだけではダメだ、仕事を作らなければ、とも考え、ポカラでロッジを経営し、その収益でフェアトレードを行うことを考え「ポカラプロジェクト」を立ち上げています。

●ネパリ・バザーロに出会ったきっかけは?
 いったい何ができるのだろう・・・と思っていた時に、書店で見つけたのがベルダのカタログでした。それまで、アジア雑貨店で見ていたネパールの商品は、安価で粗悪なものでしたが、ネパリの商品は、現地の技術と素材を活かしながら、日本で認められる商品を作っていて、これはすごいと感動しました。現地の人がどんなに心を込めて作ったフェアトレード商品だといっても、デザイン、品質が悪ければ理念に賛同して買ってくれるだけで、マーケットは広がりません。「これだ!」と思いました。

●ネパールでの商品開発もなさっていますよね。
 ホテル経営と並行して2009年から、現地の仕事づくりとしてネパリから紹介してもらったマヌシでフェルトのアニマルポーチを商品化しました。売り上げを現地に還元できる価格で売れるよう、パッケージにも手間をかけ、ネパールの手すきロクタ紙に自社でデザインしたプリントを施しました。新国立美術館のミュージアムショップなどで扱ってもらい、たくさんの方に買っていただきました。今年も新しいデザインをマヌシと企画しています。
 ロッジ経営が軌道に乗れば、フェアトレードの販路を広げて行くことを考えていますが、全部日本側でやるのではなく、ネパールの生産者が自立できるよう、ポカラから発信していくことを心がけています。

●お歳暮やお中元にネパリのギフトセットを扱っていただいていますね。
 株式会社なので、株主からは「どうして関連もないネパールで商品を作り、ロッジを建てようとするのか、理解ができない」という声が寄せられていました。自分の想いは言葉ではどうしても説明しきれないので、何かを感じてもらえれば、とネパリのギフトを贈ることにしました。すると、これまで有名店のお中元やお歳暮を贈り続けてもお礼など言われたことなどなかったのに、何人もから「よかった」「おいしかった」という電話が入りました。特に説明書きを入れたわけでもないのに、「オフィスサンサーラがネパールでやりたいのはこういうことなのだとわかった」と言ってもらえ、とても嬉しかったです。30名ほどの方々に、もう4回ほど贈っていますが、皆とても楽しみにしてくれています。ネパリのギフトからは、言葉での説明を越えたネパリの誠実な姿勢やネパールの人たちの想いが伝わるのです。たったひとつのギフトでも、すごい力を持っていると思います。

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株式会社オフィスサンサーラ
1988年設立。雑誌・書籍の企画・編集、WEB企画・制作・システム開発、映像・アニメ制作などを手がける一方、ネパールでの商品開発、リゾートロッジ建設を推進。http://www.sansara.co.jp/

福祉プログラムを支えるサポート会員の声 (vol.31)

 毎号カタログでご報告をしている福祉プログラムに必要な支援金の大きな部分はサポート会員の方々からの会費が活用されています。4、5年の長期間に渡り、会員登録を継続して応援してくださっている方も多く、スタッフ一同励まされています。
 昨年末、サポート会員の方54名にアンケートをお送りし、25名の方からお返事をいただきました。お忙しい中、丁寧にご記入いただき、ありがたく1通1通を拝見しました。お寄せいただいたお声の一部をご紹介させていただきます。

◆ネパリ・バザーロの活動を知ったきっかけは?

友人の紹介、フェアトレード店で見かけて、本屋でカタログを見つけて、新聞記事で、イベントで・・・と様々でした。学生時代に研究テーマだった、学園祭で出店をしたという方もいらっしゃいました。

◆活動の中で特に興味を持たれている部分は?

「生産者と密接なつながりを持っていること」「現地の文化や技法を活かし、かつマーケットに通用する質とデザインの商品を企画から携わっていること」「丁寧に手作りし、大切に販売していること」を評価していただいていました。そして、「わかりやすく魅力あるカタログを作り、現地の生活や生産者の声を消費者に詳しく伝えるよう努力している」というお声もありました。奨学金やセービングファンドなどの福祉プログラムにも多くの関心をいただいていました。

◆ネパリ・バザーロの活動について、もっと知りたいことは何ですか?

商品に関しては、「ひとつひとつの商品がどのように開発されているのか」「クッキーなどを作っている福祉作業所の皆さんの様子や声」「いろいろな壁に直面したときにどう乗り越えたのか」「村の様子や女性たちの立場」などがあげられていました。また、「福祉プログラムのさらなる詳細や巣立った若者たちのその後の様子が知りたい」という声に加えて、支援を受けている子どもたちの絵日記というアイディアや、ネパリの数年後の未来予想図という声もありました。

◆他にも支援活動をしていらっしゃいますか?

被災地へのカンパ、ユニセフなどへの寄付、絵本を送る運動、ネパールやバングラデシュの女の子へのスポンサーシップなど、社会活動をしている方が多く、障害者支援、フェアトレード店の経営、ソーシャルビジネスを仕事にしている方もいらっしゃいました。

◆スタッフへのメッセージ

「手書きのメッセージをありがとう」「力強いパワーをもらっています」「周りに伝えていくことで、ネパリとつながっていると感じています」「同世代のスタッフが誇りと信念を持って取り組む姿に刺激されます」「カタログや商品を手にすると、ネパールの方達と確実に繋がっていると実感できます」という嬉しいメッセージをいただきました。また「頑張りすぎないようにしてください」「健康を大切にし合ってください」という温かなお気遣いもいただきました。

【写真説明】奨学金を受けて楽しそうに勉強している紅茶農園の子どもたち

ネパリ・バザーロのスパイスを使ったカレーの食べられるカフェ (vol.31)

ウィメンズショップ パッチワーク

 季節の野菜がゴロゴロ入った、マイルドなベジタブルカレー。子どもでも安心して食べられるように、チリは控えめで、玉ねぎやかぼちゃの甘みがふわっと広がります。ヘルシーな雑穀米のごはんと、サラダ、ウーロン茶がついたネパールカレープレートは、毎日限定15食で700円、お昼過ぎには売りきれてしまうことも多いそうです。
ネパールカレーを出すようになったのは、代表の長谷川輝美さんが、スパイスのパッキングを行っている「SHS」の代表シターラさんに会ったことがきっかけでした。2003年にネパリ・バザーロのセミナーで、直接話を聞く機会があり、感銘を受けました。「自分の収入でカレッジに通い、村の女の子たちが学校に行けるようにサポートしているという若い女性がいるという話を聞き、仕事を得たことで、生活が変わったということが実感できました。自分の店で販売することが、工房の女性たちに確かにつながっているという流れが頭の中にイメージできて、ストンと納得できました。実際にお会いして、お話を聞いたので、自分の言葉でお客様に伝えられることがうれしいです」
「レシピのポイントは?」とお尋ねすると、「ていねいに、心を込めて作ることでしょうか。スパイスを育てる農家や工房の皆さんのことを思うと、美味しくつくらないと!と思います」と長谷川さん。ネパールのスパイスは香り高いので、仕込みをしていると、お客様が香りに吸い寄せられるように来られるそうです。ネパールの方々とお客様の心をつなぐ、ネパールカレープレート。ぜひ美味しい“「出会い」を味わってみてください。

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代表:長谷川輝美
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5-53-67東京ウィメンズプラザ1F
Tel&Fax:03-5469-1612 
Open:10:00~19:00(月~土)/10:00~17:00(日、祝日)
定休:毎月第3水曜日、年末・年始
patchwork@mtc.biglobe.ne.jp
http://www5b.biglobe.ne.jp/~patchwrk/
渋谷から徒歩10分ほどの「東京ウィメンズプラザ」1階にある、様々な国で作られた手作りの衣類、バッグやアクセサリー、環境にもからだにもやさしい食品や生活雑貨、女性問題に関わる書籍などが集まるオシャレな空間、「パッチワーク」。北京女性会議に参加したことがきっかけとなり、女性を中心とした共同出資で運営するお店として1998年にオープンしました。
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森のカフェレストラン 灯鳥(ぽとり)

 オーナーの日登ゆうこさんは、以前別のカフェを経営していた時に、ネパリ・バザーロのスパイスに出会いました。「早速レシピ通りに作ってみました。あまりにもシンプルだったので、これだけで大丈夫かなと思っていたのですが、味見してみて、『これは旨い!!』と、びっくりしました。スパイスの質は、本当に大切だと思いました。特に香りがとても良く、フレッシュというか、いきいきしていて、生き物なんだなぁ・・・と思いました。このカレーは、スパイスと塩と油と野菜だけなんですよ、とお客様にもお伝えしています。お野菜やお豆のカレーを作っているので、油はたっぷり使った方が美味しくできます。玉ねぎも、トロトロになるまで炒めています」その言葉通り、地元山梨で採れた無農薬野菜とスパイスの相性が抜群で、シンプルですがコクがあって、とても美味しいカレーでした。以前、引きこもりになっていた男の子が、「このカレーを一口食べると、体が熱くなって、エネルギーを感じる!」と言って、わざわざ食べに来てくれたこともあったそうです。
 また、以前たくさんのスパイスが必要だった時に、ネパールからの入荷が遅れて間に合わなくなってしまったことがありました。その時、ネパリ・バザーロのスパイスを扱っている知り合いのお店にお願いをして、スパイスを借りました。山梨は小さな地域なので、人と人がつながっています。スパイスを通して、またつながりの輪が広がったそうです。
 大自然の中、地元で採れたこだわりの素材を使って、心を込めて作られた料理をゆったりと愉しめる場所、「森のカフェレストラン 灯鳥」。フレッシュなスパイスと野菜のハーモニーをお愉しみください。

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代表:日登ゆうこ
〒408-0315山梨県北杜市白州町白須8056 白州・尾白の森名水公園べるが内
Tel&Fax:0551-35-3146
Open:10:00~18:00/冬期は10:00~17:00 
定休:水曜日(夏場は無休)cafepotori@mail.goo.ne.jp

http://potori.net/

大自然に囲まれた尾白の森。森林浴を愉しみながら、良質の源泉を有する温泉や、隠れ家的な宿泊館など、思いっきり楽しめて、リラックスできる「白州・尾白の森名水公園べるが」内に、「森のカフェレストラン 灯鳥」はあります。ゆらゆら揺れる、ことりの看板が目印です。地元で採れた有機野菜や顔の見える食材を使って、心を込めて作った料理を出しています。
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ネパリ・バザーロの服づくりのこだわり:リメイクで新たな命を! (vol.31)


 最近、マーケットでは安価な服がたくさん出回っています。東京の地価の高い一等地に店を建設しても、安い服で楽に経営ができるほど大量に売れるようです。一着の服を大切に長く着るより、その時その時の気分で選んではあまり着ないで捨ててしまう人が増えているのかもしれません。安く作るには素材を大量に仕入れて原価を下げられるだけ下げ、それを労働力の安い国の大規模な工場で短時間に作って売るのですが、まるで洪水のような商品の流れ方です。本当に洪水のようなものすごいパワーで環境も人と人のつながりも破壊してしまうのかもしれません。ネパリ・バザーロの服はそれらの服と比べると価格は少し高目です。しかし、環境になるべく負荷をかけないように、貴重な自然素材を無駄なく使い、自然染料や安全な化学染料で時間をかけて染め、一枚一枚裁断や縫製をし、丁寧に作り上げているので、単純比較はできません。そして、どのデザインも少量しか作りませんから、まるであなたのためだけに作られたような貴重な服です。あまりにも着心地がよく、他の服は着られないと言ってくださる方も多いほど好評です。
 その服には他にもたくさんのこだわりがあります。それは共に生きる社会、人と人が支えあい、大切にしあう社会を目指す時、物づくりにも自然に表れるこだわりだと思っています。

仕事を創るためにも手間をかける

 服づくりは裾野の広い産業で多くの人々に様々な種類の仕事を創ることができます。そして、家に居ながらできる手仕事もたくさんあります。仕事を得る機会の限られた女性たちや昔からの伝統的な手仕事を続けてきた職人さんたちにとってうれしい仕事です。それを更に大勢の人の手が加わるようにデザインし、仕事を増やしています。
 それは、効率やコスト削減を優先したデザインと違い、着る私たちにとって、着ているだけでふんわりと包まれて大切にされているような、豊かで温かな気持ちになれる不思議なパワーを秘めた服になります。

最後まで売り切る

 自然界からいただいた大切な素材を端切れまで大切に使い、心を込めて丁寧に作り、多くの人々の温かい手を経て届いた服たちですから、最後まで売り切りたいと努めています。デザインなどの企画からサンプル製作、オーダーへと続く中で、売れる数の見込みをたてますが、予想より人気があって直ぐに売り切れてしまうものもあれば、残ってしまうものもあります。残っても次のシーズンで完売することが多いのですが、離れがたいのか、まだ居残ってしまうものがあります。それをブラウスからワンピースに、ベストからチュニックにというようにリメイクしたり、新たな色に染め替えて再登場させます。そうやって長いもので3、4年かけ、全て離れていきます。長く居残った服たちに愛着が湧き、生まれ変わって行く先が決まると本当にうれしくなります。
 リメイクしたり染め替えたりなど様々に手を尽くし、最後まで正規の価格で売れるように努力をし、セールはしないようにしています。限りある自然界の素材を使い、手間をかけて作り、作る人も 売る人も、使う人も皆が納得できるよう考えて価格を設定していますから、その価格を否定するとどこかにひずみが出ます。それは持続可能ではなくなることを意味します。リメイクや染め替えはとてもコストと手間がかかるので、セールをしたり、廃棄してしまう方が楽ですが、同じ失敗を何度も繰り返すことにつながりかねません。環境を考え、作り過ぎないことが大切だと思っています。

値打ちと値段

 以前は身近に見ることができた物作りが遠く離れてしまい、お金さえ出せば何でも簡単に手に入るようになりました。最近では物づくりの大変さ、どれほど手がかかるか、大切なものか分からず「値打ち」を判断することができなくなり、買い物をする自分にとって都合のよい「値段」だけが基準になっているようです。値打ちのあるものを、長く大切に使えば自分にとっても地球にとっても、とても経済的ではないでしょうか。

これからも・・・

 時代に流されず、これまで通り丁寧な仕事を続けていきたいと思っています。着る方の個性を爽やかにひきたて、長くご愛用いただけるデザインを心がけ、日々の生活を心豊かに過ごしていただくお手伝いができれば、生産者共々なによりうれしく思います。
 物を大切にすることは、人を大切にすること…と信じて。(文:土屋春代)