いつも心地よい音が響いています。
左手には彫刻刀を、右手には木槌代わりの木片を持ち
縁取りは力強く、『タタタン、タン』
慣れているラインは、『トントン、トントン』
仕上げの微調節はやさしく、『トトン、トトン』・・・
その間に、板はクルクル回り、彫る刃は次々替わります。
傘の骨や自転車のスポークから作った、
カーブが急なもの、なだらかなもの、
太いもの、細いもの、
全てが微妙に違う25種類の刃から
ラインに合わせて
どれがちょうどいいか瞬時に判断し
少し彫っては、クルクルっと板を回して彫る角度を変え
溜まった木くずを『ふぅー』っとやさしく飛ばし
そしてまた刃を替えて彫り進めます。
一連の作業がリズムにのって繰り返され
少しずつ、少しずつ、スタンプが完成に近づきます。
一日に作れるのは5、6個くらいだそうです。
シディマンさんと出会って20年以上。
このリズムの繰り返しが
色々なことを物語ってくれているような気がしました。
お孫さんのプラさん君が仕事場に現れた瞬間、
緊張感がふっと緩み、あたたかい空気が流れました。
今までに見たことがないような、シディマンさんの表情!